第118話 フェンリル神像の真実を語る者。泥酔メイド、イフリータ!!
あらすじ117話
フェンリル神像、調査隊ジャンヌ達との戦いに決着が付き。
フェンリル神像の折れた首も、イフリータが治してくれた。
フェンリル神像が治った事で、お祭り騒ぎになり、気がつけば、次の日の昼になっていた。
俺は、女郎族の里に着いて早々、ジャンヌ隊長ともめたので、まだ見ていない里を見て回っていた。
里というだけあって、草木の多い、田舎の集落みたいだった。
そんな事を考えながら、里を見て回っていると、フェンリル神像を調査に来ていたジャンヌの部下達は、王都に帰る前に、フェンリル神像に手を合わせて願い事をしていた。
どうやら、フェンリル神像が治ったので、極刑はないが。
結局任務は失敗だけど、減給もいやだ!と、フェンリル神像に減給回避を願っていた。
せっかくだから、俺もフェンリル神像に、おがもうと、列に並ぶと、騒ぎになってしまった。
有名になると、普通に行列にも並べないようだ。
仕方ないので、先におがませてもらう事にした。
願い事は、調査隊の無事と、戦争回避、あと異世界での平和な暮らしを。
あの、フェンリに頼んでも仕方ないか、と思いながらも願い事をして。
みんながしたように、最後に、フェンリル神像の足に、ふれた。
すると、周りが大騒ぎしはじめ、フェンリル神像を見ると、青く光っていた。
ジャンヌ隊長が、部下にフェンリルを召喚するように命令すると、チワワサイズのフェンリルが召喚された。
召喚獣の大きさは魔力で決まるので、あのサイズは魔力せいだろう。
だが問題は、フェンリル神像は治っていたが。
フェンリルは、召喚できないままだったのに、今召喚できている事だ。
ジャンヌ隊長も、俺が何かしたのかと言ってきた。
何かした覚えはなかったが、俺がフェンリル神像をさわったら、フェンリル神像が光って、フェンリルが召喚できたんだから俺しかいないよな。
仕方ないので、それとなく、話して誤魔化す事にした。
だが、話していても、なんで治ったが自分でもわからなくて、フェンリル神像にボタンがあるじゃないかと、足をさわると、フェンリル神像の光は消え、召喚したフェンリルも消えてしまった。
当然だがボタンはなかった。
もう一度フェンリル神像を触ると、フェンリル神像に光が戻った。
ジャンヌ隊長たちは、フェンリル神像が治り、安心して王都に出発した。
フェンリル神像、調査隊ジャンヌ達は、王都に帰り。
俺がフェンリルを永久召喚したせいで、召喚できなくなっていたフェンリルも、召喚できるようになった事だし。
次の問題は女狼族の国王に、俺が選ばれた事だな。
断れる雰囲気でもないし、それにジャンヌが王都に帰って、今回の事を報告したら、戦争になるかもしれないから……どの道残った方がいいか。
俺はともかく、イフリータがいれば負けないだろ。
まぁ、イフリータは、女狼族に囲まれて、酔っ払いになってしまったがな……はぁ。
「それで、イフリータ様。聞きたい事があるんですが」
「なにかしらヒック。今は気分がいいから、答えてあげるわよ。わんちゃん」
「ありがとうございます! イフリータ様のご主人様、白銀様は、どうやってフェンリル神像様を復活させたのでしょうか?」
む?
「あぁ、それ私達も気になります! 調査隊がいくら調べても何もわからなかったのに、さわっただけで、治ってたし」
治した俺も、どうやってフェンリル神像を治したか気になってたが、イフリータにわかるのか?
「あぁ、それね。話は簡単よ」
かんたん?
「簡単とは! どんなやり方なのですか!」
「ご主人様は、フェンリル神像に、フェンリルの魔力を少し帰しただけよ」
【フェンリル様の魔力を、フェンリル神像に返す?】
「ヒック! だからね。フェンリル神像の魔力を全部抜いたのは、ご主人様だから、それを少し帰しただけよ」
!!!なにばくろしてんの!!! この泥酔メイド!!
「えと、それって、つまり……」
「白銀様が、フェンリル神像様を壊した犯人だったのですか?」
「ヒック、まぁ、そんなとこね。グビグビ。ぷはぁ!」
ぐっ、どうする。みんなが見てるが。なんて言えば、女狼族がコソコソ話し出した……
「えと、今の話はほんとなのかな? 白銀様いるし、誰か聞いてよ」
「キャン、むりむり!! 本当だったら、白銀様と戦うんでしょ!」
「勝てる気しないよね。ヴィルディースどうするの?」
「そうですね。事実なら許される事ではありません」
ですよね……
「ですが。フェンリル神像には、現在魂が宿っています。たぶん!! 誰も死んでいないのですから、すぎた問題で、無駄な争いはするべきではありません。白銀様も同じ考えでしょうか」
「あぁ、その通りだ。ヴィルディース」
「では、問題はありませんね」
はぁ。助かった。
「いやぁ、マジあせったよ。けど、白銀様は、なんでフェンリル神像様の、魔力を抜いたのかな? 結局元に戻してるし」
話すべきかな……
「むふふ! 知りたいですか!」
「これはフェンリさん」
「知りたいです!」
おぉい、フェンリ何してるの。
「コホンそれはですね。ここにおられる白銀様が、フェンリルである私に、肉体を与え、第二の人生を、あゆませるためなんですよ!!」
えっと、何全部話してんの……フェンリ。
「すごくないですか! みなさん!」
「えと、フェンリさんが、フェンリル様? 確かにすごいですし、匂いも似てるとは思いましたが……」
「今回の騒動、全部の原因は白銀様になるんじゃ」
「あ、あれ? 変ですね。なんだかみなさんの、雲行きが怪しいですよ! どうしちゃったんですか!」
そりゃそうだろ。ん? ヴィルディース?
「女狼族の神フェンリル様を、人の姿にし、フェンリル神像の力も復活させたのだぞ! まさに我らの王にふさわしいではないか!! なっ! なっ! クゥリュアもそう思わないか!」
ぐっ、ヴィルディースの奴、王を強調してやがる。
「ジャンヌに、負けた私に、反対する理由はないさ。たしかに原因はそいつだが。解決したのもそいつだからな」
なんか。火事起こして、自分で消したみたいな、言われ方だな。間違ってないけど。
「まぁ、白銀様と戦っても勝てないし、いいのかな?」
「そうだね。長のヴィルディースも言ってるし。フェンリル様も、自由になれたんなら、その方がよかったんじゃないかな。ねフェンリル様」
「もちろんですよ! ですが私の今の名は、フェンリですから、間違えないでください」
【はい! フェンリ様!】
「いや、様もいらないから」
【はい! フェンリさん!】
はぁ、酔っ払いには、困るな。まぁ説明の手間が省けたからよかったか。
フェンリルの話をしたし、王の話は、受けるしかないか。
ヴィルディースに完全にやられてるな……
来週、木曜日予定です。
読んでくれて、ありがとうございます。