第117話 女狼族、国王白銀の願い。フェンリル召喚! チワリル!
あらすじ116話
フェンリル神像の胴体から折れてしまった頭を、イフリータが治せると言うので、女狼族の長ヴィルディースに許可をとり、治すことにした。
女狼族が数人係で、フェンリル神像の頭を持ち上げようとしたが、頭は重く、胴体には上げれなかった。
どうするかと悩んでいると、ジャンヌ隊長から重い物を軽くできるマジックロープを渡された。
マジックロープだけでは無理だったので、木を切り、かっしゃを作って、みんなでマジックロープを引っ張り、フェンリル神像の胴体に頭を乗せた。
フェンリル神像の胴体に、頭が乗ると、イフリータは炎の輪っか、フレイムドーナツを作り出し、フェンリル神像の首に、首輪のように、投げかけた。
炎の首輪フレイムドーナツは、フェンリル神像の胴体と頭を、つなぐと固まった。
無事、フェンリル神像の修復は終わった。
やはり酔っていないイフリータは頼りになる。
まぁイフリータは、フェンリル神像を治すなり、犬神祭とか言い出して、さかだるで、お酒を飲み出してしまった……
フェンリル神像の胴体から折れた頭をイフリータが治して、フェンリル神像は復活した。
そのままフェンリル神像の復活を祝うため、犬神祭を開催し、気がつけば昼だった。
フェンリル神像の復活と言っても、王都で騒ぎになっているフェンリルの召喚はできないままだ。
あたりまえだよな。フェンリル神像の中に居るはずの、召喚獣フェンリルの本体は、俺が永久召喚してしまったんだから。
そんな事を考えながら、里を見て回っていると、フェンリル神像を調査に来ていたジャンヌの部下達は、王都に帰る前に、フェンリル神像に手を合わせて願い事をしていた。
なんか調査隊員が真剣におがんでるが、何を願ってるんだ?
「ふぬぬぬ!!」
「あんたなに、おがむだけで力んでんのよ」
「いやだってさ! フェンリル神像は、金運アップの力があるって聞いたからさ」
「それで、何お願いしたのよ」
「とりあえず、任務失敗の減給回避を頼んだよ!」
「確かに減給は辛いけど、フェンリル神像様が治ったから重罪は回避してるし、減給回避は、かなってるわね」
「なんの! もう一声だよ!! ぬぬぬ!」
「……わたしも。少しでいいので、減給が減りますように……」
確かに減給は辛いよな。社会人は異世界も大変だな。
ふむ。フェンリルの中身いないけど、俺からもお願いしとくか。
えぇと、みんなのやり方は、願ってからフェンリル神像の足をなでるのか。
元の世界にも、なでると、願いがかなう神様が居たっけ。
フェンリルは犬だし、なでると願いが、かないそうでわあるな。
最後尾はあそこだな。コツコツ。
「白銀様! あのお先にどうぞ」
む! みんなが俺を見てる。本当なら割り込みはしたくないが……俺が後ろにいたら、ゆっくり願い事もできないか。
「そうですね。ここはお言葉にあまえるとしましょう」
【はい! どうぞ白銀様】ザッザッ!!
……人が左右に分かれて、人の道ができた。有名人って感じだな。
とりあえず今は、みんなの安全な王都帰還と減給回避を願って、しょみんの邪魔者は退散するとするかな。
カツカツ。足音? ん? 人が近づいてきたと思ったらジャンヌ隊長か。
「騒がしいと思えば、白銀様でしたか。白銀様もフェンリル神像に、願い事ですか」
「えぇ、みんなが願い事をしていたので、せっかくなので、みなさんが王都に無事、帰れる様に、私も願おうと思いましてね」
「そうでしたか。わざわざ、ありがとうございます白銀様」
「いえ、わたしが勝手にしてる事ですから気にしないでください」
「わかりました。白銀様」
「でわ。みなさんの邪魔になるといけませんから、さっそくフェンリル神像に願うとしましょう」
さて、願い事は、調査隊の無事と、戦争回避、あと異世界での平和な暮らしをたのむぞ! フェンリル!……って、フェンリに頼んでも仕方ないか。
今も、フェンリル神像に人が集まるのを見て、シッポふりまわして、よろこんでるし。
「いやぁ、なんだか頼られてるみたいで、てれますが。わたしに、そんな力ないんですよね!」
あれだからな、まぁみんなが盛り上がってるならそれはそれでいいよな。
えぇと、願いが終わったら、次にフェンリル神像の足をなでるんだったな。
キュッキュッ!!
これでいいんだよな。ん? あれ、フェンリル神像の足青かったかな?
【んぎゃぁぁぁぁ!!】
「なにごとだ!」
【白銀様! 何事じゃないですよ! あれあれ!】
ん? みんながフェンリル神像を見てる。
いったい、なんだというんだ……これは、フェンリル神像が青くなっている。
「ヴィルディース! これって」
「あぁ、間違いない。この輝きは、フェンリル神像様の魔力の光だ」
【フェンリル様! ワォォォォン!】
なんだ? 女狼族が遠吠えをはじめたぞ?
「女狼族のこのはんのう、それに、このかがやきは……」
ん、ジャンヌ隊長?
「フェンリル神像に、輝きがよみがえった。召喚できる者は誰でもかまわん! いますぐフェンリルを召喚してみろ!」
へ? フェンリルは召喚できないんじゃ……
ポン!【ワォーン!】
ほう。チワワみたいなのが出てきたけど。
「フェンリル! お帰り!」
「わふ!」
あれがフェンリル。彼女達の魔力が低いから小さいんだろうな。
あれじゃあ。チワリルだな。
「ジャンヌ隊長! 召喚できる者は、みなフェンリル召喚に成功しました!」
「そのようだな」
「よぉしよぉし! よく帰ってきたなフェンリル!『キャンキャン!』これで減給回避は間違いなしだぞ! フェンリル神像様、ありがとう!」
「いや。減給回避もだけど、フェンリル神像様ってより、フェンリル神像様を治したのって……」
あれが普通のフェンリルか、彼女達の魔力が低いせいか、ただのペットに見えるな。まぁ減給回避できたみたいだし、よかったよな。
「白銀様、これは、白銀様が、何かしたのですか」
えぇと、俺がフェンリル神像、さわったら光ったんだし、俺しかいないよな。適当にそれっぽく話すか。
「私はただ、みなさんを安全に帰したかったので思いついた事を、試しただけですよ」
「でわ。やはりフェンリル神像が停止し、フェンリルが召喚できなくなった、原因がわかったのですか!」
「えぇ、成功するかは分かりませんでしたが。どうやら、うまくいったようです」
「驚きました。我々が調査しても、何もわからなかったというのに……」
「気にする事では、ありませんよ。それぞれに適した役目があるだけですから」
いや、なんで、治ったか俺もわからないんだが。けどフェンリル神像の中身のフェンリは、あそこで、よろこんでるんだよな。どうなってんだこれ、さっぱりだ。
「白銀様。度重なる無礼を許してくださっただけでなく、我らの任務であるフェンリル神像まで治していただき、ありがとうございます」
【ありがとうございます。白銀様!】
【我ら女狼族も! 我らの国王白銀様! ありがとうございます!】
何かした感覚はないんだがな。
フェンリル神像を、さわっただけなんだが……どこかにボタンでもあって、フェンリル神像の光消せるんじゃないのか?
さすさす。
シュゥゥ……ポンポンポポポン!
【フェンリル!!】
あ、あれ? 召喚したフェンリルが全部消えた。
「あのこれは、白銀様」
えと、ボタンはなかったが、俺がさわったのが原因だよな。
「驚かせてすまない、なれない力の使い方をしているのでね。力のコントロールがまだ十分ではないようだ」
「そうでしたか。驚きましたが、それならよかったです」
「でわ。フェンリル神像を起こしてみましょう」
起きてくれよ! さすさす。
ピカァ! はっ、よかった。フェンリル神像が光った。
「本当に、さわるだけに見えますが。私がさわっても、何も変化がありませんね」
「さわってるだけに見えるでしょうが。魔力を送り込んでいますからね」
まぁ、さわってるだけだが、わからないだろうし、いいよな。
「そうですよね」
「ジャンヌ隊長! 出発の準備が出来ました!」
「わかりました。すぐ向かいます。白銀様、お世話になりました」
「えぇ、無事を祈ってますよ」
「はい! みな、王都に帰還しますよ!」
【了解しました。白銀様! 女狼族のみなさぁん! さようなら!】
【さようなら! おげんきでぇ!】
来週水曜日、予定です。
遅いですが、更新しますので、また来て下さい。