第116話 フェンリル神像の帰還 頼むからイフリータ!酒は飲んでも飲まれないで!!
「とりあえず、フェンリル神像は、治すので問題ないな。ヴィルディース」
「はい、白銀様」
「わかった。それで、イフリータ何をしたらいいんだ」
「簡単よ。折れた首を胴体に、くっつけといてくれたらいいわ」
「はいはぁい! 私がやります! 壊したのは私ですからね。気合い入れてはりきりますよ!!」
「あぁ、気合い入れてるところ悪いんだけど、フェンリはダメよ。今度は頭が砕け散るかもしれないから、あなたはお触り禁止よ」
「はうぅ! 壊したのは私なのに、おさわり禁止ですか!」
「あなた達の神様なんだから、女狼族、あなた達がやりなさい」
【はい! イフリータ様!】
「じゃあ、私が持ち上げるから、フェンリル様の上で受け取ってくれ」
「りょうかぁい!」
「せーの! ん?」
「何してんのぉ。はやくぅ」
「ぐぐぐ、がは! ダメだ。フェンリル様の頭が重くてびくともしないぞ! フェンリさん片手で持ってたのに」
「さすがは、白銀様のつれてる女狼族だけありますね。とりあえず何人で持てるか、試してみませんか」
「そうですね」
「とりあえず6人でなら、持って歩けるけど……どうするヴィルディース」
「そうだな。6人で持てても、歩けるだけだし、持ってフェンリル様を登るのは無理だな。別のやり方を考えよう」
フェンリが力のコントロールできたらよかったんだがなぁ。まさか女狼族で運べないほど重いとはな。
俺が魔法で運ぶのも、俺の魔法が不安定だから、フェンリルの頭を空中で落としそうだし……むぅ。
「少しよろしいですか、白銀様」
「どうかしましたか。ジャンヌ殿」
「フェンリル神像が治るのでしたら、我々調査隊にも協力させて下さいませんか」
「それは、とてもありがたいお話なのですが。見ての通り、人間よりも力の強い女狼族であっても、フェンリル様の頭を持ち上げるのに苦労していましてね」
「でしたらこの、ロープを使ってみてください」
「ロープですか? この状況で出すのですから、普通のロープではないのですか?」
「このロープは、重い物を軽くできる、マジックアイテムですから、お役に立つと思います」
「ほう。そんな便利なものがあるのですか。でしたら、ありがたく使わせてもらいますよ」
マジックロープを使うと、フェンリル神像の頭は持ち上がったが。胴体に乗せるには安定しなかったので。
木を切って足場や巨大な滑車を作り、魔法のロープでフェンリル神像の頭を持ち上げ、調査隊と女狼族が協力しフェンリル神像の胴体に頭を置いた。
「ぐごご! イフリータさん早くしてください! ロープが手にくいこんで、手が麻痺するほど重いですよ!」
「天使様、頑張りましょう。みんなで協力すれば、不可能だと思った事も、可能になりますよ」
「はは、そうですね。ジャンヌさん(グギギ! わたしの信者から天使様と呼ばれるのも一苦労ですよ!)ぬぉぉぉぉ!!」
「ふふん、もういいかしらね。溶解し結合せよ! 豪炎一体フレイムドーナツ」
ポワン! ブォンブォンブォン!!
「ほう。ドーナツですか。美味しそうな名前ですねイフリータさん」
「元気そうねエクリア。ならあげるわ」
「わちゃぁ! 熱いですよ! 冗談じゃないですか!」
「あら、そうだったの。ならわんちゃんにあげるわ」
ぶんぶん、ブォン! 輪投げみたいに投げたな。
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「タヌ! さすがイフリータさん。1発で、フェンリル様の首にドーナツがハマりましたよ」
「すごい魔力のみつどですよ。あれがメイドですか!」
「なら、ご主人様の白銀様って、どれだけ強いんだよ!」
「声でかいよ。あんた」
「はうわ! 白銀様が笑ってる。ごきゅり」
「みたことのない、魔法ですね。ジャンヌ隊長」
「えぇ、白銀様に支えている者は、特別な力を持っているようですね。私は、とんでもない方達に、ケンカを売っていたようです」
「そうですね。隊長。今、私達が生きているのが不思議な気分です」
「そうですね。神様の導きに感謝いたしましょう」
「あそこで、いいかしらね。収束し、永久の番人となれ、フレイムロック」
シュゥゥ、ガキン!!
炎のドーナツが首輪みたいに、首に巻き付いて固まった。完成みたいだな。
【フェンリル神像様の、復活だぁぁぁぁ!!】
「いやぁ、何もできなかったですが。みなさんご苦労様でした」
「本当に疲れましたよ。フェンリ! 見て下さいよ。わたしの純白の手が赤くなってますよ!」
「エクリアありがとう。今度、家に招待するからね」
「あの家にどうやって入るんですか。てか! フェンリは、フェンリル神像に近づかないでください!」
「なんでエクリア?」
「また壊れたら、大変だからですよ!」
「はぁ、仕方ないですねぇ。遠くからながめるだけにしましょうか」
「そうしてください。私の手の頑張りを無駄にしないでくださいよ」
これでフェンリル神像は解決だな。やはり酔ってないイフリータは頼りになるな。
「さぁ! やろうども! 犬神の復活祭よ! 酒を持ってきなさい! 女狼族!」
【はっ! イフリータ様!】ゴロゴロ! ガゴン!
「ぷはぁぁぁぁ! たまんないわねぇ。この、さかだるが、あるから頑張れるのよねぇ」
酔ってなければなぁ……てか、さかだる、なんて何処にあったんだよ。
更新は、再来週の月曜予定です。
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