第115話 壊れたフェンリル神像 炎メイド、イフリータにお任せ!
あらすじ114話
フェンリル神像の調査隊、隊長ジャンヌとの戦いは、誰も死ぬ事なく終わった。
大天使ガブリエルが悪魔だった事に、ショックを受けて、ふさぎ込んでいたジャンヌに『本物の天使エクリア』が呼ばれたと勘違いして話しかけていた。
おバカ天使が何をするのかと見ていたら、ジャンヌがざんげを始めた。
エクリアは、ジャンヌのざんげに答え、落ち込んだジャンヌを元気付けてしまった。
ジャンヌは、エクリアにひざまずき祈りを捧げていた。どうやらガブリエル教から、おバカ天使エクリア教に、転職したようだ。
あのまま、ジャンヌが落ち込んだままよりは、よかったよな。
ジャンヌと、これからの事を話した。
宣戦布告し、敗北したジャンヌは、裁きを受けると話していたが。
そんな事をすると、人間の国と本格的な戦争になりかねないので、ジャンヌの部隊には、王都に帰ってもらい。
今回の出来事を、国王に報告してもらう事にした。
ジャンヌとの話が終わると、仮面の説明役、シンリーは、私の役目は終わりましたから、と、どこかに帰ってしまった。
これからの話をするために、先ずは気絶したままの女狼族を起こして、ジャンヌ隊長に勝った事を話した。
女狼族は、喜んだ後。フェンリル神像の頭がもげた事が、夢じゃなかった事に絶望していた。
女狼族は、しばらくそっとしておいて、その間に、大天使ガブリエルに魔力を吸われ気を失った、フェンリル神像の調査隊を起こした。
大天使ガブリエルを見てすぐに、気を失った調査は、ガブリエルがいない事に混乱していたが。
調査隊には、大天使が悪魔だったとは教えずに、俺が天界におくり帰し、ジャンヌを倒したと話した。
ジャンヌの大天使が悪魔だったと分かると、せっかく俺がジャンヌを処罰しないのに、王都で死刑になりかねないからな。
隊員達は、王都に帰れるけど、任務失敗だから、どんな罰があるかわからないと、不安がっていたので。
フェンリル神像の調査を嫌がった、我ら女狼族がフェンリル神像を壊したと、人間の国王に渡す手紙に書いておくと伝え、調査隊を安心させた。
すると、姿が見えなくなっていた天使エクリアの声が聞こえた。
どうやら、エクリアは、俺が王になった事が面白かったらしく。里の外で待機していたイフリータ達を呼んできて、俺を見せ物にしていた。
女狼族の長、ヴィルディースにはめられ、女狼族の国王になった事を楽しんでいる、おバカ天使エクリアは。
待機していたイフリータ達を呼んできたようだ。せっかくなので、みんなに、これまでの話をした。
フェンリルが召喚できないので、フェンリル神像を調査に来た、王都の調査隊の事。
大天使ガブリエルに化けていた悪魔を倒した事。
フェンリル神像の首をへし折った事だ。
「なるほどね。大体わかったわ。私達にお礼をしたいとか言っておいて、ヴィルディースの本当の狙いは、ご主人様だったわけね」
「まっ、そういう事だ。イフリータ」
「ふふっ、わたくしを騙すなんて、本当ならお仕置きしてあげたいのだけど……」
「タヌヌ! ダメですよ。クイーンさん! ヴィルディースさん達は、みんな死んでるみたいに、どこかを見つめています!! これ以上はタヌヌなのですよ!!」
「わかってるわよ。タヌヌ。女狼族達は、フェンリル神像の生首を囲んで、魂が抜けてるみたいだものね。さすがのわたしも、あれにムチは打てないわよ」
「タヌ! わかってるのなら、よかったです」
「それでマスター、これからどうするのですか? まさか本当に国王になるのですか? だまされたのですから無視しても、よいのではありませんか?」
「そうだな。エクスの言う通りだまされたわけだし、無視してもいいんだが」
「うっうっ、かみざまぁ」
「フェンリルじんざま、からなず、なおしますからね」
「タヌ、かわいそうですね」
「あれを見たら断りずらいわよね」
「クイーンの言う通りなんだよなぁ。あれを見ると断りずらいし。それに、女狼族の領土を俺が増やしちゃったから前より、領地の管理が大変だろうし、フェンリル神像も壊れたし。しかも守り神を壊したのは、うちのフェンリだからなぁ」
「いやぁ、はは、なんといいますか、そのですね……ほんとぉにすみませんでした!!」
ズザザーー!!
いや、フェンリ土下座されてもだな。
「はぁ、本当に仕方ないわね。あなた達は。まぁいいわ。ごたごたで、すっかり酔いも冷めちゃったし。ここは、私が人肌脱いであげちゃおうかしらね!」
「ほう。こんな場所で脱ぐとは、まだ酔っているのですか。イフリータさん!」
「ふふ、エクリアあんたの白い羽出しなさい。今すぐ! 黒こげにして堕天使にしてあげるから!」
「のぉぉぉぉ! まだ悪魔がいましたよ! エクス聖剣を出すのです!」
「ふぅ。ぼくを君達のノリに巻き込まないでもらえるか」
「ノリが悪いですねエクス」
「私も同列にされたくないんだけどね……」
「それでイフリータ。フェンリル神像の折れた首はどうにかなるのか?」
「そうね。案外頑丈な作りしてるみたいだから、大丈夫なんじゃないかしら。まぁダメでも溶けるだけよ」
【とける!】
「なによ。どうせ折れてるんだから、いいじゃないの。どうするのやるの、やらないの」
「そうだな。とりあえず、長のヴィルディースに聞いてみるよ。勝手に壊せないからな」
「それもそうね。わかったわ。ご主人様」
「みんな。そろそろ落ち着いたか。国王様を待たせているんだぞ」
「そうだな。ヴィルディース。フェンリル様に情けない姿を見せてばかりじゃダメだよな」
「そうですわね。国王になられた白銀様に、ご挨拶もちゃんと、できていませんものね」
話すなら、今が良さそうだな。
「ヴィルディースちょっといいか」
【白銀様!】
「白銀様。お待たせして申し訳ありません。フェンリル様とのお別れは終わりましたので」
「いや、いいんだ。それより、そのフェンリル神像の、頭の事なんだが」
「フェンリル様の頭がどうかしましたか?」
「ヴィルディース達が良ければ何だが、治してみても構わないか」
【治せるんですか!】「ですの!」
「あいや、絶対ではないんだが。うちのメイドが治せると言っていてね」
「ふん、私にかかれば余裕よ。まかせときなさい!」
ん? 女狼族の表情がひきつってる?
「白銀様が治すんじゃ、ありませんの……どうしますの」
「えと、ヴィルディースどうするんだよ」
「いや、あぁ見えてイフリータ殿は、奴隷だった我らを助け出す時に指揮をとっていた方なんだ。だから実力は確かなはずだ」
【おぉ!】
「そうは言っても、初めて見る私には、あんなチンチクリンメイドに、治せるとは思えねぇんだけどな」
「ぷふぅ! チンチクリンメイド」
ボボ!
「わちゃ! あついですよイフリータさん! 体から炎出さないで!」
「エクリア! 羽出しなさい!」
「なんでですか! 私は何もしてないですよぉ~! エクス助けてください!」
「僕に近づくんじゃない。聖剣が溶けるでわないか」
「大丈夫ですよ。前に聖剣は、イフリータさんの炎でも溶けてませんから!」
「そういう問題でわない! それに、その理屈だと僕は溶けないが。エクリア、キミは溶けてしまうぞ」
「はう! そうでしたぁ!」
「ふん! もういいわ。聞きなさい犬ども! 私に文句があるなら、かかってらっしゃい! 全員まとめて相手してあげるわよ」
ザッザッ!
【いえ! めっそうもございませんイフリータ様、我らの神フェンリル様をどうぞお願いいたします!】
「ふん、わかればいいのよ」
「エクスなんですかあれは! 女狼族が全員、イフリータさんに服従のポーズをしてますよ」
「たぶんですが。イフリータがエクリアに向けた殺意を、女狼族は、動物の本能で感じとり、イフリータには逆らってはいけないと思ったのでしょう」
「そうでしたか。私が役に立ったようですね」
「……そうですね。エクリア」
次は土曜日、予定です。
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