第112話 裁きの涙エンジェルレイン! ガヴリエル先輩!!そんなの居るはずありませんよ!!
111話あらすじ。
奴隷だった女狼族を解放したまではよかったが。
お礼をしたいと言われ女狼族の里に到着したが。
里にはフェンリル神像の調査隊が来ていて、里を占領していた。
フェンリル神像の調査をしたいと言われ、断ると、調査隊と戦う事になってしまった。
里の長、ヴィルディースに騙され、俺は女狼族の国王になったが。
速攻で、調査隊長、隊長ジャンヌの魔法に捕まってしまった。
抜け出し方を考えていると、突風が吹き、背後には、フェンリル神像の生首が転がっていた。
それを見た女狼族は、みんな気絶してしまった。
調査も、調査対象のフェンリル神像が壊れて、任務失敗にショックを受け、国に帰れないと騒いでいた。
そんな中、ジャンヌ隊長が、フェンリル神像の調査の代わりに。
国を作ると言う、女狼族の国王を捕らえ、国を作らせなければ、任務の代わりになると、言い出してしまった。
戦いの準備を始めたジャンヌは、祈りを捧げ、大天使ガブリエルを召喚してしまった。
話し合いを試みたが、大天使ガブリエルは、決められた相手としか話さないと、ジャンヌに言われてしまった。
女狼族が全員気絶するなか、どう戦うかと悩んでいると、調査隊の団員が次々と倒れてしまった。
大天使ガブリエルの話では、俺が奇襲をしたと話していたが。
だが、俺は何もしていない。
精霊神の仮面、シンリーの話では、調査隊から魔力を吸収していたのはガブリエルだった。
つまり調査隊が気を失ったのは、ガブリエルが原因だ。
そんな事も知らずに、ガブリエルの言う事を信じて、ジャンヌはやる気に満ちていた。
「先ずは、女狼族国王、白銀様の首をいただきます!」
ふきつなこといってんな! 聖女ジャンヌだろうが!
「参ります」ダッ!
げ! 能力向上でさらに速い! シンリー! 仮面の力でスローだ!
(はい、今すぐ。あ、もう目の前ですね)
ちかいちかい! 何してんの遅いぞスロー「くっ」シャキン!「覚悟!」ガシッ! バキン!
これはフェンリの手! ジャンヌの槍をつかんで、折りやがった! 助かった!
「私が相手をしてあげますよ。ジャンヌさん!」
「くっ! あと少しのところを、鋼鉄の槍をへし折るなんて、ありえない馬鹿力ですね」
グッ! グググ……
「くっ槍がびくともしない。女狼族を倒した私の力で、なぜ動かない」
「むだですよ! 私と力比べしてもね。なにしろ、わたしのお家も、ひとなで、でしたからね……はぁ」
「……ん? いえをなでた? なんの話をしている」
「あいえ、こちらの話です。気にしないで下さい」
はぁ、まだ心臓がバクバクいってる。
(いやぁ、マジやばかったですね。まさかあんなに速いとは)
まじギリギリだったな、フェンリが居なかったら死んでたぞ。
次は頼むぞシンリー!(次はお役に立ちますよ!)
とりあえずジャンヌは、ディフェンスするみたいに、通せんぼしてるフェンリに任せるか。
「フェンリ殺さない様に足止めを頼むぞ」
「あいあいさー!」
「くっ、わたしを足止めしたところで、大天使ガブリエル様が貴様らに裁きを下してくださる!」
「そうですね。聖女ジャンヌ。共に人々の歩む道を作りましょう。人々を導く神よ。わたくしの行う、裁きをお許し下さい」
「ぎゃくさつだと!!」
ガブリエルが見てるのは、気絶した女狼族! まじかよ! 天使だろあれ!
「人々を惑わすケモノに浄化の涙を捧げましょう『天使の涙エンジェルレイン』」
「あれは……無数の天使の羽が空中で光だした」
(ふむふむ、調査隊の魔力を吸収してから、羽に圧縮して、一気に放出って感じですかね)
のんきに解説してる場合か! 全部停止だ!
(あいあいさー! 羽根さんと、天使をオールロックオン『神の眼ディオ・アイン』停止発動!)
お! 羽の動き止まった! 何か言った方がいいよな。えぇと。
「羽虫の分際で! 誰の国で我を見下ろしている! 地に落ちるがいい!」
「なにをしたのだ! 羽が落ちていく。からだも、動かない。おちる……」
ズガァァァ……
「ガブリエル様! 何が……おきたのだ……」
「くっ! 体が動かない。なんだこれは、ありえんありえんぞ!! 人間風情が!! 私に、なにをしたぁぁぁぁぁ!!!」
「おやおや、大天使様は、選ばれた人間としか会話をしないのではなかったのですか」
「くっ!」
(なかなかの演技力ですなぁ。主人様)
シンリーも中々の力だぞ! 気を抜くなよ! 相手は天使だからな!
(了解です)
さて、天使のくせに、鬼の形相で睨む、ガブリエルをどうするかな。
シンリー、ガブリエルは動けなくても話せるんだよな?
(当然です。話せないと意味ないですからね。あんなことや、そんなことする時にも、話せる方が興奮しますよね!)
いや、わからんが。
(いえ、待ってください。この場合は、話ができなくて、気づいたら、脱がされてるの方が、むしろ……)
いや、その話はまたな(仕方ないですね)
それよりこの後どうするかな。天使殺すのは……やっぱり、まずいし……とりあえず話をしてみるか。
「それで、大天使ガブリエル殿、我の力を前にしても、まだ戦うつもりですか」
「愚かな人間よ、神にはむかって、世界を無に返したいのですか。あなたがどんなに強くとも、神には勝てないのですよ」
神か、俺の知ってる神とは別で、異世界の神様がいるんだよな、やっぱ。
異世界の神と会いたくもないが、天使のぎゃくさつを、許すわけにも……
「さぁ、わかったでしょう。神に従うと決めたのであれば、私を拘束している魔法を解除してください。今なら神も許して下さいます」
むぅ……しかたないか……ん? この能天気な力の抜ける声は、うちの天使か。
「はくぎんさまぁ! エクリアを呼びましたかぁ?」
「またないかエクリア! マスターの命令を無視して、1人で出歩くんじゃない!」
「おや、おかしいですねエクス。先程まで羽が空で踊っていたのですが? まさか! 祭りは終わったのですか!」
「確かに、羽が舞っていましたが。あれは祭りではないであろう」
「そうですかねぇ? 白銀様が仮装していたのは、祭のためじゃなかったんですかねぇ」
「エクリア、これは仮装ではない。私の正装だ」
「ぷふぅ。そうでしたねぇ」
本当に能天気な奴だな。まぁ丁度いいし、天使のエクリアにも話してみるか。
先ずはエクスに、話を聞いてからだな。
「どうしたんだエクス。エクリアが馬鹿騒ぎしているが」
「すまない、マスター。エクリアが『くしゃみをしたのはマスターが、私がいなくて寂しいから呼んだんですよぉ!』と意味のわからない事を言い出して、来てしまったんだ、僕は止めたんだが……」
確かに噂話をした記憶はあるが……偶然だろうな。
「そうか。確かにふざけた理由だが。丁度エクリアに用事ができたところだ」
「そうだったのですね。無駄にならなくてよかったです」
「エクス、エクリアのおもり、助かったよ」
「いえ、これくらい問題ありませんよマスター」
うちの仲間でエクスは、まともだな。さて問題児に話を聞くかな。
「エクリア話があるんだが」
「はい? なんですかぁ?」
「ちょっと問題があってだな。大天使ガブリエル様をしってるか?」
「そりゃあ、もちろん知ってますとも! おや? けどなぜ、ガブリエル様の名前を……まさか!! ガブリエル先輩がいるんですかぁ! どこですかぁ!」
「やはり知ってるのか」てか先輩って。
「えと、それでガブリエル先輩はどちらに」
「何言を言っているんだ。地面に倒れてコチラを睨んでいるだろう」
「はぁ? ふざけないでくださいよ! ガブリエル先輩があんな神々《こうごう》しいわけないでしょうが!」
「ちがうのか?」
「ガブリエル先輩は、ヤンキーの女番長みたいな大天使で『はぁ? なんで私が人の願い聞かなきゃ何ないのよ。エクリアあんたやっときなさい』って大天使ですよ」
「そうか……」あの神どんな選び方して天使、決めてんだよ。
「先程から聞いていれば、その様な子供に、私が大天使ガブリエルかを聞いているのですか。人間の考えはわかりませんね」
「むふぅ! いくらガブリエル先輩があれな天使でも、天使をかたる、悪党には、天罰をお見舞いしますよ!」
エクリア何する気だ?
「あなたの様な子供に何ができるのですか。早く私を自由にし、神の使命に従うのです」
「『にっくきあんちくしょうに、祈りなど捧げたくはありませんが! これも、闇よりも深い、邪悪を討ち滅ぼすため! 純粋なる我が身に宿し聖なる両翼! 悪しき者を浄化の光であぶり出すのですよ!』」
つまり羽を出したら、ガブリエルの正体がわかるのか? なら仕方ないが……
「エクリア、詠唱が長いんだが。言わないといけないのか?」
「いえですねぇ。相手が動けないみたいだったので、かねてからの夢! 戦隊ヒーローの決め台詞を! 一度でいいから、言ってみたかったんですよ!」
「ならつばさは?」
「そりゃあもちろん。何も言わなくても、出るに決まってるじゃないですか。私の羽なんですから!」
「なら早く出せ!」
「仕方ないですね。こんな機会ないんですがねぇ」
はぁ、エクリアに頼るしかないとはいえ、これは疲れるな。
「つばさよ! きやがってください!」
ピカァ……バサァ!
本当にあっさり出たな。
「白銀殿これは……少女の背中に、まばゆい天使様の羽が……どう言う事ですか」
「この子は、エクリア。わたしの仲間で天使だ」
「てんしさまだと……」
ジャンヌが驚いてるな無理もないか。
天使の羽を出したら、ガブリエルの正体がわかるなら、仕方ない。
他の連中が気絶しててよかった。
「私以外にも天使様から使命を受けた者が居たのですか? ガブリエル様? ガブリエルさま?」
お、ガブリエルが苦しみ出したぞ!
「ぐがぁぁ、ぐぅ、ありえん、このひかりは、こんな、こんなクソガキが天使だと……」
「だれがクソガキですか! しつけのなってない、おばさんには、ちから半分でお仕置きしちゃいますよ!『エンジェルフラッシュ!』
ピカァ!
「グガァァァァ! ジャンヌわたしを、たすけなさい! はやくはやく!」
「え、ガブリエルさま、ですが」
「はやくするのです!」
「うるさいですねぇ。おばさんには、エンジェルビンタですよ!」
バシン!
「グガァァァァ!」
おぉ、天使の羽でビンタは、効果は、ばつぐんだぞ!
ドゴォォン!!
「ガブリエル様が、爆発しただと! いったいどうなっているのだ……」
次は、再来週の月曜日、予定です。更新遅くてすみません。
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