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第105話 女狼族の里へ。不審な香り。


 エルザの住んでいた町を出発してから、1日が経過していた。


 ガラガラ、ガラガラ。


「何してるんですかユーリ? 穴の空いたバケツなんか取り出して」


「あぁ、これから目立つ時の変装を考えようと思ってな」


「そんなバケツで、変装……バカですかユーリ」


「お前だけには言われたくないぞ。エクリア! このバケツは白銀様として活躍したんだぞ!」


「あぁ、そんな事ありましたね。確か騎士団がバケツ仮面を見て、古代の英雄白銀とか噂話を話してましたね。騎士団のお馬鹿さんは、何をどう見たんでしょうか?」


 まぁ、確かに前回は、魔王の配下が居る緊張で、バケツを被った白いガウン姿を、古代の英雄白銀と誤解してくれただけ、だろうからなぁ。


 普通は変質者だよなぁ……やっぱ。うぅんバケツで変装はダメかな。


「タヌ! タヌヌは、嫌いじゃないですよ。ご主人様」


「ありがとうタヌヌ」


 とタヌヌは言ってくれるが。平常時じゃ……変態にしか見えないし。新しいの買うかな。


「貸してみなさい。ご主人様」


「別にいいけど、どうするんだイフリータ」


「私のご主人様が、こんなダサい仮面つけるなんて、ありえないわ。てかどう見ても、バケツだし!」


「仕方ないだろ。他になかったんだから」


「まったく仕方ない、ご主人様ね。みにくき姿を溶解とかせせよ! フレイムボール」


「タヌヌ! バケツ仮面が、炎のボールに飲み込まれました!」


「むむ? なにやらバケツが、炎の中で、銀色の液体になってますね。これは!」


「ほう、ほう。さすがはイフリータさん! ユーリさんのバケツを溶かして作り変えるんですね!」


「あぁ、フェンリ! 私がいう所だったんですよ!」


「いやいや、誰でもわかりますよ。エクリア」


「むう。そうですかぁ」


「タヌヌ! 形になり始めましたよ」


「全ての精霊の加護を受け、再構築せよ。精霊神の仮面!」


「ほほう。精霊の神ですか。私の知る神は、あれですが。中々に強そうですねぇ。フェンリ」


「ふんふん、平たく薄い! これは投げて遊べるんですね! イフリータさん」


「遊ばないでくれるかしら、フェンリ」


「むぅ。ダメですか。残念です」


「タヌ! さらにカッコ良くなりましたよ。ご主人様!」


「そうだな。タヌヌ」確かにバケツよりはマシだが。今度は仮面舞踏会みたいになったな。


 まぁイフリータ怒らせても面倒だし、今度からは、これを使うか。


「ありがとうイフリータ。大切に使うよ」


「ふん。とうぜんね」




「楽しそうにしてる所、悪いのだが。マスター」


「なんだ? エクス? あらたまって」


「魔族のエルザが居る前で、魔王の配下を倒した、古代の英雄白銀の正体が。マスターのユーリである事を明かしてもよいのですか?」


「げ!」エルザが、こっちを見てる!


「やらかしましたねぇ。ユーリ」


「まぬけね。ご主人様」


「タヌ! エルザさん! あれは相手が悪いんですよ! タヌヌ達は、殺されるとこだったんですから!」


「ふふ、騒ぐ必要はないぞ! みなのもの!」


【へ?】


「やはり、ユーリがマジェスティを殺した。白銀だったか」


「気づいてたのか? エルザ」


「いや、なんとなくだ。マジェスティが死んだ町から来た英雄。そして異常な強さを見て、もしかしたらと思っていただけだ」


「仲間を殺した奴と、知っても一緒に来るのか?」


「魔族の仲間の死は確かに、気にならないと言えばウソになる。だが安心してほしい。私は、人間と魔族の戦争に、興味はない」


「確かにそうよねぇ。エルザは、魔族から町を守ってたわけだし。そのおかげで、私はダンナ様と出会い。自由になれたんだし」


「まぁクイーンさんは、奴隷ですから。自由とは少し違いますがねぇ」


「あら、確かにそうね。エクリア」


「タヌ! これで問題なしですね! ご主人様!」


「あぁ。そうだな」


 そういえば、エルザを始めて夢で見た時も、仲間が死んだのに、明日遊ぶ事を楽しみにしてたな。


 仲間が死んだ日に、遊ぶ事を楽しみにするのは……それはそれで、どうなんだと思うが。


 今回は、そのおかげで、エルザと戦わなくて、よさそうだな。


「エルザ。改めて、よろしくな」


「あぁ、もちろんだ! ユーリ! みんな」


 魔族のエルザは、人間のエルザと間違われない様に、長かった黒髪も切って、短くしたんだし、一緒に来る気持ちは固まってるみたいだしな。




「ユーリ殿が、英雄白銀様? なんだか凄い話で、理解するのに時間かかりそうだが。それより、みんな里が近いぞ」


 ヴィルディースの見てる方は、やっぱり森だな。里は森の中にあるのか。


「タヌ! 楽しみですね。エクリアさん! どんな所でしょうか?」


「タヌヌ。よろこんでいるところ、悪いのですが。この風景を見る限り、ただの草原や山しかない田舎でしょう」


「タヌゥゥ! 木の実、お花に、川もあれば、お魚もいますよ! エクリアさん! たのしみですね!」


「そうですねタヌヌ……ユーリ! タヌヌがまぶしすぎて見ていられません!」


「そりゃ、エクリアと違って、タヌヌは純粋じゅんすいだからな」


「おかしいですね。天使だって純粋なんですよ」


「ふつうの天使ならな」


「ふん! 天使の普通ってなんですかね」


「さぁな」


「なんですかそれは! 人が聞いてるのに!」



 はぁ、ほっとくか。


 ん? イフリータが無言で見てる。あぁ仮面か、つけてほしいのかな? イフリータが、せっかく作ってくれたんだし、つけてみるか。


 カチャ。


「お、全強化魔法がオートで発動したぞ! 能力がグングン上がってる!」


「ふん、とうぜんよ。私が作ったんだから!」


「ありがとう。イフリータ」


「タヌ!! かっこいいですよ。ご主人様! ねぇ。エクリアさん」


「まぁ、バケツよりはマシになりましたかね。エクス」


「僕には……よくわからないよ」



 さて、イフリータに、ごますりは終わったし。仮面は外しとくか。


 グッ! ん? ググ!! ん??「ふぎぎぃぃぃ! あれ?」


「どうかしたのですか。マスター」


「いや、エクス。仮面がな」


「かめんですか? その、ぼくには、よさが理解できません」


「あ、いや。イフリータに聞くよ。あのイフリータさん?」


「なぁに、ご主人様。お礼ならいいのよ」


「いや、ですね。この仮面……外れないんですが?」


「あら、変ね。なんでかしら……あ、そういえば、精霊神の仮面は、魔力を吸い取る仮面だから、もしかしたら、仮面の気がすむまで、外れないんじゃないかしら?」


「なんだよ! その呪われた仮面は!」


「しかたないでしょ。わたしは、そんな道具使わないんだから!」


 はぁ、仕方ない。白銀の仮面だし。仮面が外せるまで、白のガウンも着とくか。


 ファサ。


「かっこいいですよ。白銀さまぁ。ぷふぅ」エクリアのやろうが、俺を見て笑ったが無視だ。



 しばらくして、森の奥深くに入り、土の道を馬車で進んでいた。


「おかしい」


「なにがだヴィルディース?」


「里の方角から、無数の人間の匂いがする」


「エルザの町の部隊がまだ、残ってるんじゃないか?」


「それはないぞ。ユーリ」


「なぜだ? エルザ?」


「女狼族との和解後すぐに、女狼族の里に派遣されていた部隊は、全部隊が撤収したと、町を出る前に聞いている」


「じゃあ。女狼族の里から匂う、無数の人間って、どこのどいつだ? ヴィルディース心当たりはないのか?」


「まったくないな。私達の里に来る人間は、限られている。だから匂いも覚えているが。この者達は、知らない者ばかりだ」


「なら、正面から里に向かうのは、やめた方がいいかな?」



「ふん! 人間なんて瞬殺なんだから、さっさと正面から行けばいいじゃない! ご主人様!」


「いや、むやみやたらと人間殺さないでくれ」


「にゃにが、ダメにゃのよ!」


「いや、うん。イフリータは、酒飲んでていいから、待っててくれ」


「ふん、なら仕方ないわね。グビ! ぷはぁ」


 さっきまで、頼りになったのに、酒を飲むとダメだな、イフリータは。はぁ。


「じゃあ。ヴィルディース。どこか広い場所に移動してから、少人数で里の偵察をしよう」


「あぁ、わかった。ユーリ殿」


 はぁ、落ち着く暇がないな。今度は何があるんだ。


 森の中で、ひらけた場所に移動してから、偵察する事にした。


 メンバーは、女狼族のおさヴィルディース、同じ犬族のフェンリ。


 そして、問題起こされたら困るので、行きたくはなかったが。俺の3人と、数名の女狼族を連れて行くことにした。


 何もないといいなぁ。はぁ。

次は月曜、予定です。


日常会話も書くの好きですが、やはり問題を起こしたいので、普通に町には到着しません。


ペース遅いのに続く書き方が多くてすみません。


なるべくあらすじ書きますので、また読んでください。


読んでくれて、ありがとうございました。

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