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第103話 偽りの妹エルザと領主の息子フレディーノア《ヒゲ》

 ん? あれ? 俺は部屋のベッドで寝たはずだが?? だれかの部屋を見下ろしてる?


 あぁ、前にもあったな。寝ると誰かを覗き見る力が発動したのか。


 この部屋は見覚えがあるな、エルザの部屋だ。えぇと、エルザは? 寝てるのか?


 ギィィィィィバタン。ペタペタ。


 ん? 扉の音と足音? エルザは寝てるのに誰だ?


「ふぅぅ、さっぱりさっぱり!」


 な! あの姿は! はだかだと! 風呂入ってたのか。


 だが、魔王の娘とは思えんほどに、白く輝く肌だ……ゴクリ。


「えぇと、服はこれでいいかな」


 いや、これって……全部黒い服に見えるんだが。


 シュ!「ふぅう」


 黒のシャツに隠された、レースの下着。


 全裸も悪くないが、やはり! 隠してる方が魅力的だ!!


 ボフン!「ん、んしょ、んしょ」


 ベッドに腰掛け、黒いタイツで、白い足が黒に染まる姿は、俺も黒く染めてほしいと思うほど魅力的だ!



 ふぅ、生着替え、たんのうしたぜぇ。いい夢だったなぁ……じゃねぇ!


 なんで、エルザが2人いるんだ!!




「さてと、強力な魔力結晶が手に入ったなら、この町にモンスターは簡単には近づけないだろうし。私が、この町に居なくても問題ないかな」


 エルザは町を守るために、この町に居たのか? いやベッドで眠る、もう1人のエルザを守るためか。


「エルザ、お別れの前に記憶をあげるね」


 記憶をあげる? なんか眠ってるエルザと中良さそうだな。


「魂の分身体に見せよ! 私の辿たどった道を『記憶転写メモリーロード』」


 おぉ、エルザの体から無数の風景が飛び出したら、ベッドで眠るエルザに吸い込まれていったぞ。


 ギィィィィィ。


「おやおや、行かれるのですか」


「だれだ! な、お兄様」


 なに! ヒゲだと! やばい、早く起きて助けに行かないと殺されるぞ!


 ふん! ってどうやったら目が覚めるんだこれ!!


「身構える必要はありませんよ。エルザ」


「この状況でなにを」


「ここでやりあっても、町に被害が出るだけですからね。それにベッドで眠るエルザにも」


「………………」


「領主に代わり、お礼を言いに来たのですよ。今まで妹を守ってくれて、ありがとうございました」


「そこまで気づいていたのか。貴様には最初から警戒はしていたが、まさか全部バレていたとは」


 ヒゲ……まじで、何者なんだ。魔王の娘に気づいていたのか。



「それで提案なのですが」


「ていあん?」


「せっかくですから、ユーリ殿について行って、人の世界を見てはどうですかな?」


「ユーリに?」


 なんだと! なに面倒ごと押し付けようとしてんだよヒゲ!


「あなたは、この町で楽しそうに暮らしていた。ならば他の町でも、楽しめばいい」


「……なぜユーリなんだ」


「わたくしには、あなたの正体が何かまでは、わかりませんが。ユーリ殿達もまた。あなたが人でない事には、気がついているようでしたから」


「まさか!」


 げ、バレてる。てかバラすなよヒゲ!!


「ユーリ殿は、あなたの事を、チラチラと見ていましたからね」


「わたしを、確かに何度かユーリと、目があったな……」


「まぁユーリ殿は、前の町で、思春期でも有名でしたから」


「ししゅんき?」


 ん? ヒゲ何の話だ?



「ただ単に、あなたの胸などを見ているのだとも、思っていましたがね」


「にゃに! むねだと!」


 何言ってんのこの状況であのヒゲは! むしられてえのか! ヒゲ!!


「ですが。ユーリ殿の周りの者たちも、あなたを気にしていましたから、全員気づいているのでしょう」


「まさか、ユーリの仲間全員にバレていたのか。そんな事にも気づかないとは、情けない」


「ユーリ殿達は、明日旅立ちますから、それまでに答えを出すと良いでしょう」


「はい……」


「それでは、さようなら、もう1人の妹エルザよ」


「……さようなら、お兄様」




 おわったか……でだ! どうやったら俺は、目が覚めるんだ?


 目が覚めるまで、ずっとエルザの寝てる姿を、ながめてるしかないのかな?




「ああ申し訳ない。わたくし、とした事が、大事な事を忘れるところでした」


「まだ何か、お兄様?」


「ユーリ殿が、あなたの着替えを、のぞいていましたよ。エルザ」


 なに! ヒゲのやろうなぜそれを!


「へぇぇぇ、すごいなぁユーリは、私がまったく気づかなかったよ。さすがですね、お兄様」


「ふふ、ユーリ殿には、興味がありましたからね。気配を調べていただけですよ」


「そうでしたか」


 いやいや、この状況は、気配じゃわからねぇだろ!!


「それでは、お兄様。私は用事ができましたので。これでお別れとさせて頂きます」


「えぇ、さようならエルザ」


 ダッ! ドガガガガガ!!!


 まさか! 俺の部屋に来る気か! 早く起きないと!


 けど! どうやって起きたら! あのヒゲェェェ! ん? ヒゲと目があってる? まさかみえ


 ドゴォォン!!「ぐぼふぉ!」


「ふふ、ユーリ。私の着替えをのぞいてから、寝るには早いんじゃないか!」


「グガァァァァ! 起きれたのはよかったが。もっと優しくしろよ! エルザ!」


「へぇ、顔も見ないで、私ってわかるって事は、やっぱり! 覗いてたんだな! ユーリ!」


「いやいや、声でわかっただけだよ! ヒゲとの話なんて知らないぞ!」


「そこまで覗いてたなら話が早いね。私もユーリ達と、一緒に行くからよろしくね」


「いやいや、俺1人ではきめれない」


「ふぅん。えいや!」


 ビリビリ。


「なにタイツやぶいて……は!」


「気がついた? この状況で私が悲鳴を上げたらどうなるかなぁ。ユーリ」


 深夜に、貴族のお嬢様が、男の部屋で、タイツが引き裂かれた状態!!


 どう考えてもヤベェ!


「はは、はぁ、仕方ないか。一緒に行こうエルザ」


「当然だね。これからよろしくね。ユーリ」


「あぁ、よろしくな。エルザ」


 はぁ、魔王の娘が仲間とか大丈夫じゃないだろ。


 けど、この状況じゃ断れないもんなぁ。



「おやおや、騒がしいので来てみれば、やはりエルザさんは陥落かんらくしましたか」


「変な言い方するな! エクリア!」


「ふん、やはり胸なのね。ご主人様!」


 いや、イフリータ。今そんな話してないから。


「やはり私の鼻にまちがいはありませんでした!」


「何がだよフェンリ」


「エルザさんは、悪い魔族じゃないって思ってたんですよぉ!」


「まぁ確かにな」


「みんなが認めるのならば、僕も異論はない。僕の力で消えないように、エルザを認識しておこう」


「よくわからないけど、ありがとう。エクス」


 まぁ、エクスは聖剣だからなぁ。エクスが認識しとかないと、エクスが力を使ったら魔族のエルザ、クイーンが消し飛ぶんだろうな。


「お姉さんも、新しい仲間を歓迎しちゃうわ」


「タヌヌも、エルザさんが仲間になって嬉しいです!」


「みんな、ありがとう。これからよろしく」

次は来週水曜予定です。


来週で4章は終わります。


ブックマークありがとうございます。


5章も書きますので、よろしくお願いします。

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