トモキ復活
前回のしりとり。
プチ整形キット→トマト皮むき機→キュウイ皮むき機→きゅうり皮むき機→救急三輪車
「うおい!オマエの番だって」
ショウタがトモキに語りかかけても、トモキは机に突っ伏したまま起き上がろうとしない。
「ヘッ。もうしりとりなんていいよ。みんなパクるし」
トモキは完全にいじけていた。
自分で考えた言葉が、みんなに良いように流用されてしまい、それがトモキに大事なおもちゃを取られてしまったような感覚を思い出させていた。
いの一番にトモキの言葉をかっぱらったのはリュウセイだ。
そのリュウセイはというと、我、関せずという意思を表すように、どこか見当違いの方を眺めている。
しかし、その顔には若干の楽しさが滲み出ていた。
「だって、トモキがおもしろいから」
リクがあっけらかんと言い放った。
トモキの体がピクッと反応を示した。その反応をショウタは見逃さない。
「そうだよなあ、まさかあそこで皮むき機だもんな。さすがだよな。発想が違うよね。なんていうんだろうね、神のお告げとでも言っていいぐらい、こう、悟りを開かされたっていうのかな。そのぐらい笑撃的だったよね」
ショウタは自分でも何を言っているのかさっぱりになりながらも、トモキが勘違いしそうな単語を並べ立てた。
リュウセイは見逃さなかった。
突っ伏しているトモキのかすかに見える横顔から、にやりと伸びた口元を。
「じゃあ、オマエ負けで、俺が続けるからな。しゃ」
次の瞬間、トモキが飛び起き絶叫した。
「シャンプー&リンス&漂白剤!!」
ショウタは待ってましたと言わんばかりに呼応した。
「絶対肌に悪いだろ!!髪真っ白になっちゃうから!!」
トモキが続けて効能を語った。
「美白効果抜群」
対してリクが思ったことを素直に口にした。
「漂白と美白はちがうんじゃない?危険な匂いがぷんぷんするよ。あの漂白剤独特の匂いがぷんぷんするよ」
トモキが使い方を説明する。
「お風呂に入るときは夕食後のお皿も一緒に持ってっちゃう。そんで、頭を洗うついでにお皿もささっと洗って、湯船に自分と一緒につけておくだけで、あら不思議。真っ白綺麗」
そして最後はいつものようにリュウセイの番だが、やはりというかさすがというか、やっぱりリュウセイはどこか違う視点を持っているのであった。
「食べ終わった後、台所で皿洗うついでに髪洗ってもいいよな」
今回のしりとり。
シャンプー&リンス&漂白剤