リピート
前回のしりとり。
しりとり→リンゴ→ゴリラ→ラッコ→コマ→摩擦係数測定器→救急自転車→車間距離不保持違反取締装置→超能力開発用右脳活性化カセットテープ
「次は"ぷ"だぞ"ぷ"」と、ショウタがリクに向かって言った。
リクは「じゃあねえ」と、左上を見ながらつぶやくと、今度は深く考えることなく発言した。
「プチ整形キット」
「ぜってえあぶねえじゃねえか。整形外科なんて素人が手をだしちゃダメだろ」
すでにおなじみ、トモキの『じゃねえか』ツッコミが飛び出した。
続いてショウタ。
「韓国から輸入したっぽいよなあ。あっちじゃ流行ってるみたいだし」
「内容は?」と、いつものようにリュウセイが掘り下げる。
「注射器でしょ。麻酔も必要。あとは……クエン酸?」
「健康にはいいけどな。あんまプチ整形じゃ聞かねえぞ。ヒアルロン酸ならシワ取るのに使うけど」
リュウセイがそういうと、リクはすぐに反応して、「ああ、それそれ。間違えた。」と、訂正した。
ショウタが「ほかには?」と、質問した。
「あとは、ほら、あの、ボツリヌス菌?」
またまた疑問符が出たところで、リュウセイが再び「ボツリヌス菌は自然界最強の毒素をもってんだぞ?」と、コメントする。
それを聞いたトモキが気が付いた。
「細菌兵器じゃねえか!!プチとかかわいい響きをつけてる場合じゃねえ」
プチがかわいいかどうかはさておき、リクが言った。
「あれ?なんかボツリヌス菌を注射するとどうにかって言ってたなかった?」
どうなんですかリュウセイ先生?
「ボトックスのことな」
「ああ、それだそれ。たぶん」
「ボトックスってなに?ボツリヌス菌に関係あんのか?」と、トモキが質問した。
リュウセイは「ボトックスってのは、ボツリヌス菌の毒素から抽出した成分で」と、言ったところでいったん動きを止めると、大きく息を一回吐き出してから「調べりゃわかる」と、めんどくさそうに言った。
コレが出ちゃったら、もう何を聞いても答えてくれないと知っているトモキは、自分から聞くのをやめにして、「"と"か。ええっと」と、自分からしりとりを再開させた。
「じゃあ、トマト皮むき機」
「え?もしかしてトマト専用?」と、ショウタが確認すると、トモキは「あたりめえじねえか」と、すぐに答えた。
「普通の皮むき機しか想像できないね。てか、普通の方が万能だよね。もちろんトマトもむけるもんね」と、リク。
「いいんだよ。もうトゥルって剥けるから。驚くほどキレイに剥けるから」と、トモキがジェスチャー付きで有効性を説明する。
次はいつものようにリュウセイの番だが、このリュウセイの発言が3人を驚愕させることになる。
「キュウイ皮むき機」
「え?もしかして次、言っちゃった!?」と、リクが確認する。
「しかもパクリじゃねえか!!皮むき機はオレの発明だぞ!?」と、トモキが反発する。
ショウタはあまりに予想外の出来事だったため、口を半開きにして固まっている。
そしてリュウセイはいつものテンションで「こう、トゥルっと」と、言いながらジェスチャーをつけた。
「そのトゥルっもオレのじゃねえか!!皮むき機なんて使わないでスプーンで中をくり抜いとけ!!」と、トモキが違う方法を提案した。
すると、先ほどもまで固まっていたショウタが目を覚ました。
「きゅうり皮むき機」
「パクリ反対!!皮むき機に権利を!!」と、トモキがわけのわからない権利を主張しだした。
トモキのテンションはあがりまくっている。
「こう、トゥルっと」
「奇跡じゃねえか!!きゅうりでソレが出来たら奇跡だぞ!!ってか俺も見てみてえ!!ってかパクるなっつの!!トゥルには著作権が発生してんだぞ!!死後50年有効だかんな!!」
トモキのテンションは最高潮に達していた。
「そんなに皮むき機で熱くなるなよ」と、ショウタがトモキを落ち着かせようとする。
いまだに顔を真っ赤にしているトモキを見て、ショウタは続けて「もう皮むき機は使わないから、な。」と、説得した。
「な、なら、いいけどさ」と、いまだ少し興奮気味に了解するトモキ。
そんなやり取りを、ほんの少し微笑みを浮かべながら眺めていた、この騒動の張本人でもあるリュウセイが「じゃ、次」と、リクへとバトンを渡した。
「ああ、ええ、救急三輪車」
「オレのじゃねえか!!!救急もオレの!!!」
再びテンションが最高潮に達したトモキをよそに、今度はショウタが「よけい遅い乗り物になっちゃったよ」と、指摘した。
トモキのテンションが落ちる気配はないが、やはりリュウセイが冷静に的確なコメントを言って、また次回なのである。
「キッザニアにもねえよ」
今回のしりとり。
プチ整形キット→トマト皮むき機→キュウイ皮むき機→きゅうり皮むき機→救急三輪車