シュレディンガーのぬっこ
写真のアップがよくわからぬ。
どうにか上げれたと思うがどうぢゃ?
写真は本文に出てくる猫さまのモデルであるところの姫ちゃん【推定5歳】(野良)
『あんた、何か困り事かい?』
なにやら渋い声が頭の中に響いてきたような気がしますん。
ん? まさかね。でもひょっとして、ひょっとするんでしょうか?
さっきから色々とおかしなことがこう連続しているわけだし、あってもいいのかなぁ。
あり? なし? まぁいいや。とにかく聞いてみましょう。
「えぇっとー、あのですねぇ、んぁあ、kこのビル? こkここ? ここへの入り方なんですけども、んーっと、はぁーひょっとしてご存じ……だったりしますかね?」
『ふむ、やっぱり困っていたようだな。ほら、こっちだ。おれについて来な。』
そんな声がやっぱり聞こえてきたような気がしますん。
ダンディな猫? さまは、2足歩行のままこの俺を先導してくれるようです。
ほかにあてがあるわけでもまったくないので、猫さまのうしろを大きな?マークを頭上に載せてふらふらとついていきます。
途中蝶を追いかけたり、突然走り出したかと思えば立ち止まり、見えない何かに向かって威嚇してみたり、ふり返ってドヤ顔で俺を見てきたり?
えっ、ここですか? わりと近かったですね。その割に少し時間かかったようですけど。はい、時間的に、いまちょっとピンチですよ。
はぁ、ここですか? といわれましても? いったいどれですか? あれ? はぁ? ……ここから入れる? マジで? マジ? 本当に?
でもねぇ、それって、猫ちゃん用のドアですよ。 俺そこからはちょっと入れませんよ。
ほら入れって? いやいやいや、ですから、サイズ的にほら。
「えっとですね、あぁ……、ご案内いただきましてまことにありがとうございます。感謝は尽きないわけでして大変ありがたく思う所存でありまして、猫さまの親切心のおかげでここへと連れてきていただいたわけなんですけれども……、えー、あー、実のところですね、んー、そこからは、あーちょーっとですね、あのサイズ的に、んー、まぁ、その、んーですね、なんといいましょうかですね、かなり無理、っぽいんじゃないかなぁなんてですね、思う次第であったりとまぁ、するわけなんですよ。」
片腕ならなんとかなるかな。二の腕までならいけそうですね。足はどうだろう? 無理かもしれないよ。
そもそもそのドアに俺の頭入らないしね。
『まじで?』(脳内補完)
「まじです。」
さっきまでの猫さまのドヤ顔がしおしおと萎れてしまいました。
猫さまは腕組み? をして長考に入られるご様子。
実の所もうあまり時間無いんですけどね。ほぼほぼあきらめかけてますですよ。蝶を追いかけたのが痛かったなぁ。やっぱり途中で威嚇してたのは霊的な何かなのでしょうか。この辺いるんですかね?
……………………………
…(猫さま考え中)…
…(猫考え中)…
……(考え中)……
…(考え中)…
…(考え)…
…(考)…
…………
……
《ピコーン!ヒラメイタ!》
猫さまのドヤ顔復活のご様子。どこかの国の元総理大臣みたいな感じです。
トラストミーですか? 猫さまはタイヤ会社と関係ないので信じてあげますよ。
関係ないですよね? 中国資本の銀行とも関係ないですよね?
無いようです。宇宙人でもないよね?
猫さま、足元を指さしてますね。あれ? 指? 猫って指させたっけ?
それって何指? 肉球プ二っていいですか?
いまはだめ?
あとならおk? っ、じゃあとでお願いします。
約束ですよ。
で、
マンホールですか?
そのマンホールから入れる? ふむふむ、本当に? ほんとう?
さっき、信じるって決めちゃいましたから、やってみますけどね。
意外と重たいマンホールの蓋。日ごろの運動不足がこうゆうところで響いてきますね。帰ったら南米熱帯雨林でダンベル買いましょう。あとプロテインも買いましょう。そうしましょう。
マンホールの下は暗くてよくわかりません。
猫さまが先に入って下さるようです。
蓋は危ないから閉めとけですか。
わかりました。そうですね、了解です。
では、後に続いてみましょう。
猫さまはそのまま飛び降りてしまいましたが、俺は、はしご段を降りていくので時間がかかります。
ようやく足が地に着いたと思ったら、突如として照明がつきました。
「ンギャー」
ゴメンナサイ。猫さまのシッポを踏んじゃいました。アイムソーリーです。総理じゃないですけど。
猫さまが涙目でしっぽをフーフーやってます。
「ゴメンナサイ。暗かったからね。良く見ずに足降ろしちゃった。メンゴメンゴ」
猫さま、涙目ですが、許してくれました。
マンホールを降りたらそこは地下通路でした。そして通路はビルの地下へとつながっているようでございます。
良かった。これでどうにか間に合いそうです。
間に合うといいなぁ。
16キロ走った。疲れた。