それぞれの謁見準備
華やいだ声が食堂から聞こえる。
「衣装が整ったのだろう。そろそろ様子を見たい」
シュラは金貨を一枚 服飾支配人に渡し、席を立つ。
『まさか、この場で お代金を頂けると予定しておりませんでした。急いで取りに向かわせます』
タタジクの使節団が 宿泊先で精算する予定だったのだ。
『いや、アヤメとヒムロに一着ずつ。それに見合う装飾品を着けてくれればいい』
使節団の代表者が「大丈夫なのか?」と聞いて来るが、ヒムロの着替えも必要になるだろうと 食堂に向かう。後でヒムロからも徴収するつもりのようだ。
案の定、アヤメだけでなくヒムロも衣装を着替えて二人は嬉しそうに踊っている。
『身丈に合いそうな物をお持ちしましたが、始めから身に付けていらした お衣装の上に セトラナダの貴族が好んで纏う薄手の布地を正装に合わせて纏っていただきました』
沢山 着けていた、形の違う薄い布地の事だ。更に紐や飾りのリボンで絞めただけで、修正する必要は無いと、説明を受ける。
一方ヒムロは、狩衣の上から着付けたそうだが、セトラナダ特有の腰を締める形で整えた衣装が誂えたように丁度よかったようだ。
『旅芸人に扮して、今まで誰にも覚られないように 生きて来られたのか』
舞いに注目する皆の口から、自然に言葉が出ていた。
アヤメは祝詞を古語のまま 主旋律を歌いながら、ヒムロとアヤメで思い思いに動き、シュラに続いて ぞろぞろ入って来た男たちを気にする様子は無い。
着替えの為に準備された絨毯の上で、きつい所を確認して欲しいと言われたまま、アヤメが手足を動かすと「舞いのようだ」と呟く声に調子に乗り、ヒムロも新しい衣装を着て一緒になって踊り始めた結果である。
ロアルを始め、着付けに居合わせた皆が揃って 優雅にアヤメとヒムロの舞いを楽しんでいる。
『何をやっているのか、聞いてもいいだろうか』
シュラが苛立ちを隠せぬ声でロアルに尋ねる。
『うん?ああ、アヤメ様の衣装がちょうど良いか、少し動いていただいてる所だ』
『周りの方が楽しんでいるように見えるが』
ここで初めてロアルがハッと我にかえる。
『祭りとはいえ、皆が大々的に祝う催しは無いだろう?』
明らかに言い訳だが、程好く動きやすい衣装は無事に入手できた。
朝から服飾の店を探した使節団と、大至急でも衣装を整えた服飾の業者には、深く礼を述べてから箝口令を出す。
皆が 状況を察して頷き、部外者にアヤメの所在地を あかさないと約束して出ていく。
『見違えたな。衣装ひとつでも、こんなに変わるとは』
シュラがアヤメをまじまじ眺めて話す。初めて会った時を思いだしながら。
『旅芸人の演舞を観ていた客の連中だからか、少し踊ってもらって、動き難い箇所を直すと言っていたんだ』
『偶然にしても、ちょうど良い衣装を間に合せられて良かった』
代表者が肩の力を抜き、アヤメとヒムロを見る。
『急ぎでありながら、事前に採寸したような衣装ですわ。素晴らしいです』
まだ踊るように服のあちこちを覗き込んでいる。
『ハハッ、素晴らしいな。そちらの神と共に向かえば、ヘルラ様も 次期王を お認めになりそうだ』
代表者は満足した様子で話す。早朝から衣装探しに奔走したのだ、すっかり姫らしく装う姿に 安堵と本音が出る。
しかしラーの他にも龍を探していると知ったばかりだ。契約の終わるラーに代わる、使役する対象として探しているのは、思い違いではない。
『ヒムロは、ヘルラの前に出さない』
『それでは本物の証明をしろと言われた時にどうする?』
『間違いなく本物だ。証明するよりも、必要な事がある』
アヤメ以外は偽物の末路を知っている。
ただ、アヤメに真実を知らせる事は無い。
『アヤメ様以上に重要な もの があるのか?』
『勿論、ございますわ』
優雅に微笑み 皆を見回すアヤメは偽物と勘違いされただけでも 命が無いとは 本当に知らない。
『現在の王ヘルラが国民に、多くの誤報を伝えております。龍神様は、苦しむ人に喜ぶ性癖など ございませんもの』
『私も、今なら龍神の情報がおかしいと思う』
ロアルも同意した。
龍神に対する国民の誤解を解くのが最優先だと伝える。
『穏便に済めば良いが……』
言葉を濁したシュラは、使節団とロアルにアヤメの衣装に対して感謝を伝えるが、アヤメの前で詳細を口に出すのを躊躇う。
ユタたちは、昼を過ぎた頃にタタジクに到着した。砂漠を移動する馬車の速度は早く、馬が疲れる頃に次の馬と交代していた為だ。ルフトの計算では馬の手配と食事の準備にかかった金額だけでも かなりの待遇だと 段取りの良さに 今日中に領主と対面できそうな予想をしている。
演奏隊に囲まれた馬車の中。
「前回のラージャが窓から訪問したって 聞いた時は驚いたよ。トーナ様が冗談を言うわけ無いけどね。まだ信じられない」
演奏の音に負けないよう、アギルが声を張り上げる。
「で、アギル。馬車は何処に向かってるんだ?」
ルフトが自分の荷物に手をかけて睨む。
「昨日のうちに先触れを出したけど、この様子なら 多分 領主様の城に着くと思う」
外の音に負けない音量で対話する。
「ユタ、休憩で食いながら聞いてただろ?」
ルフトの真似をするだけで必死だったと、貯水池の説明やこれからの予定にまで気を配る余裕など無かった事を言い訳する。
馬車の中は充分広いので 着替えぐらいは出来る。
動きやすい普段着から、領主と対面するための服に着替えなければ、不敬だろうとルフトが話し、ラージャは人の決まりに興味を向け ルフトとユタを観察する。
だが、窓の外から中の様子も見えるのは、全く気にしていない。幸い演奏隊に囲まれているため、外からでは動いている様子ぐらいしか確認できない。
砂漠を移動していた時と違い、早歩き程度の速度なのは演奏隊の移動する早さに合わせているからだろうか。
慌ただしく着替え、ルフトが謁見する場合の段取り等をユタに話す。ラージャも人の常識を知って置くべきと、耳を傾ける。いきなり窓から入るのは、人の決まりでは正しくないとは 知らなかった と言いながら。
アギルとバムは兵士として、あまり接する事が無い領主に会うと聞くと、緊張のせいか強張った表情になる。
陽が傾く前に領主の城に着くと、馬車が三台は並べそうな広い階段がある。さすがに階段は馬車のまま上れない。馬車は階段下の中央で止まった。
演奏隊は階段の両脇の二段おきに整列して、一度楽器を抱えて姿勢を直す。
「領主様の城です。到着しました」
アギルが先に扉を開けて馬車を降りる。周りの確認をして、まず降りたのはラージャ。続いてユタ、ルフト、最後にバム。
ラージャとユタが並んで階段を上り始めると、演奏隊が楽器を構えた。
歓声を書き消すファンファーレが両脇から鳴り響く中、階段を上がって行く。
先頭にラージャと並びユタ。数段下がってルフト、さらに下がった位置からアギルとバムは周りに愛想よく手を振りながら、民衆の警戒はしている。
だが、誰もが感激する雰囲気で 緊張感を忘れていそうな笑顔でもある。
最上段に辿り着くと同時に領主ストラークとトーナが現れ、曲も終わった。
一瞬訪れた静寂。
「セトラナダの次期王アヤメが、この土地を訪れた事を知る者は、何れぐらい居るか?」
ラージャがストラークに挨拶する素振りで話し掛ける。ルフトの助言で立場が高い順に口を開くのが、現在の常識なのだと、学んだばかりだ。
「捕獲する計画を隠蔽した。そのため、ほぼ知らぬ」
突然の思いがけない質問に、狼狽える事も無くストラークが応じる。
「では、ここに集う民に、アヤメの姿を見せてやろう。歓迎の気概に対する謝礼だ」
ラージャが民衆に向かい、踊るように両腕が上空をなぞる。城の上に突如 霧が浮かび上がった。
ユタたちを 送り出した後のリリは、まず広場に向かい 集まっている人の所にユタが不在になった事を伝える。
「ユタは、ラージャ様とルフト、バムも一緒になってタタジクに向かったのよ。今夜は帰らないらしいわ」
朝が早いのは、明るい時間にしか出来ない仕事が多い トレザの習慣なのだ。振る舞われる温かい食事も、もう 準備されている。
リリとユタがずっと休む事なく働き続けていた事は、誰もが知っていて、周りの皆がリリの好む食事を運んで来る。
神々に会う前は、家族の他にも通う病人や 泊まり込む病人の世話をしていた。他にも薬草の準備や 普段の生活に欠かせない仕事も多い。
「今日はここで何か食べて帰りな。すぐに食べられる物も持って行くといい」
銅貨でのやり取りが普通なのだが、交易の無かったトレザでは実際に銅貨は無い。
ルフトの発案で、間に合せの木札で銅貨の代用に使われている。厚さと大きさを揃えた正方形で「Cu」の焼き印を押されてある。意味はルフトに言わせれば「銅」なのだが、理由まではバムも知らないと話していた。
リリが銅貨の代わりになる小さな木札を二枚、食事を持って来た相手に渡す。
「こうやって、作った物に値段が付く感覚がさ、まだよく わかってない けど、出せる物が無くなった時に銅貨を数えるのは、面白いんだよ」
恰幅の良い年配の女性が愛想よく笑う。
食事を提供して、出せる物が無くなると獣や野菜を銅貨と交換して帰る習慣が付いて来たそうだ。勿論、仕入れた食材は翌日に広場で振る舞う食事にする為に帰宅して、仕込みをする。料理の味をじっくり探求できると言って、アヤメが教えて行った香辛料の絶妙な組合せも得意になったと話す。
それに、動物の乳を搾乳する方法も、サラが皆に伝えたばかりだ。乳の入った料理は、好評だ。
本当に以前と比べると、提供される料理の全てが美味しく変化している。
「美味しいものを出さないと、帰りに良い肉が仕入れられないからね」
野菜や肉も、良い物を仕入れる為に 料理の仕込みに時間をかける為に、早く売り切って帰るのだ。味が良ければ早く閉められる。料理を出す皆が、互いに情報をやり取り しながら 時間帯を変えて上手く運営されている様子をリリも大きな木札に書き留める。
昼までには、ユタが見て歩く予定だった場所の確認を終える。実際にユタに伝えるつもりで見ると、ユタが興味を持ちそうな所を意識して確認する為に 新しい発見もあり 充実した時間になった。
忘れないうちに、落ち着いた所で書き留めようと帰宅した。
寝室や診察室の布団は朝から外に広げたままだし、ユタやルフト、バムが置いていった洗濯物も洗い終わって外に広げてある。水がすぐに使えるだけでも家事は断然 楽なのだ。家の窓は全て開けてある。誰もいない自宅に戻ったリリは、早速布団だけ それぞれの寝台に乗せて、書き物を始めた。まだ少し湿った衣類は、そのまま外に出しておく。
ユタに伝える内容を書き終えて、ついでにルフトの書き込みが入った手紙や、バムが呻いていた木札にも目を通す。
「本当にルフトの字は綺麗だわ。シュラの文字に似てるのね」
誰に会っても必ず「ゆっくり休みな」といったような声掛けがあったが、確かにゆっくり木札に目を通す時間も無かった事を思い出す。
だが今は、シュラとユタが夢中で作った新しい薬で薬品棚はいっぱいだし、食事の準備をする必要も無い。リリは ゆっくりした時間を過ごそうと、次々と木札や今まで届いていた資料を読んで行く。
「あら、タタジクから届けられた物だけど、まだ必要な所に運び終わってないのね」
ユタが手紙の返事や火薬の実験に時間を取られていたせいで、まだ職人が使う工具が真新しいまま倉庫に置かれている。それにヒムロが子供たちへの「かくれんぼ」の報酬にと用意した文房具もだ。
タタジクに持って行くと ルフトが荷造りしていたのは、ただの綺麗な石や 簡単に作れる傷薬。洞窟で採れる蜜は、ほんの少しだけ硝子の瓶に入れていた。
簡単な彫刻の施された木箱に入れた上に、刺繍した新しい布でくるんで「こうやって価値を上げる」と話していたのを思い出す。
「シュラやアヤメにも、聞いておきたい事が 増えてしまったわね」
金額やら価値観が未知のルフト、タタジクから届いた品物を確認すると、値段も書き込まれていた為に勝手に配る訳にも行かない。
シュラが植えた綿の種で糸でも紡ごうかと考えたが、今は早く糸を紡げる機械も出来た事だし、外に出て 晴れが続いて渇き始めた畑に水を撒く。
「私、今日はずいぶん ゆっくり過ごせたわ」
陽が傾いて来た頃に 乾いた洗濯物を取込み、それぞれの寝台に乗せて一息ついた。リリ自身には働き続けていた自覚が全く無い。
日暮れまで 字の練習をする為に、ルフトがバムに渡した木札の文字を書き写す。
暗い時間にムウがせっせと描き込んだ所は、明るくなると あまり目立たない。それでも広い壁に描き続けたムウが、明るくなっても筆を休める事はなかった。
何度も離れて確認する動作はなくなり、迷わずに色を着けた筆を運ぶ。
朝陽の入り込む洞窟の入口に 光の道が輝き、まるで冷たい風が吹き出して来そうな光景。小さく光る玉からは、キラキラと音が聞こえて来そうな それこそ「その時間を切り取った景色」が完成に近付く。
もう、納得していないのはムウだけで、これは完成したと言っても良い仕上がりだ。
セトラナダではアヤメが謁見の為の衣装を整えた。
トレザではラージャが、ユタを連れて崖を下りている。残された兵士の動向は本体ラージャが隠れて監視しながら、サラがトレザに対する害悪を浄化する流れだ。
クウ自身 この先に続く「未来の形」を探る為に、じっと情報を確認している。
クウが ほぼ完成した作品を、目を細めて眺める。少しムウの動きに変化が出た。ずっと絵具を着けた筆を迷い失く走らせていたのだが、足場を下りて ゆっくり絵から目を離さずに下がって行く。
「ああ、足場が邪魔だな。やっと完成した」
全身から力が抜けたように座り込んで、ムウは壁一面に完成された景色を 今度こそ完成だと満足そうに笑う。
「ムウは食事にするかい?それとも少し休むかな?」
クウの笑顔と かけられた言葉に返答する前に、ムウはその場で眠りに落ちた。
『さて、改めて謁見の手順だが。予約も済ませてある』
代表者も準備は播但だと言う。タタジクの今後がかかっているのだ、セトラナダの奴隷になるか 応戦して滅ぼされるか。それ以外の未来が開けるならば、無駄な努力にはならない。
『段取りを着ける手際が良いな。感謝する』
シュラが単独で行動するならば 夜中に王城のバルコニーに忍び込んで、こっそり紋様の張替えを しようと計画していた。しかしバルコニーに立ち警備する騎士が常に複数いるのだ。交代要員や 状況を考えても、必ず戦闘になる。そうなれば、紋様は広げられない。
しかし ラーに提案されるまで 王に直接 謁見しようとは、シュラもロアルも全く考えはしなかった。
当然、シュラの計画に付いて来るヒムロとアヤメも同じだ。
『私はアヤメ様に着いて行く』
ロアルが立ち上がり、代表者に伝える。
『王との面識を持つのは、店の利点に繋がるのか?』
シュラがロアルに聞くと
『アヤメ様の護衛にシュラ一人では、心許ないだろう。一応セトラナダの常識が判る大人として、頼って良いぞ』
王ヘルラを相手にするなら、店にとって利点など無い。それどころか、アヤメの正体を知って匿った事が露見する。酒蔵の主人名義を変更したとはいえ、ロアルに係わる店ごと危険に曝される事も考えられる。
「ロアルには、地下通路の確実な確保を頼んでよいかのう」
セトラナダの衣装も美しいと、ご機嫌なヒムロが言う。
『塞いだ壁を取り払っておく、という事でしょうか?』
ロアルの質問に頷き、ヒムロが続ける。
「ヘルラは国民の命を低く見て居るようじゃ。アヤメが王になろうが、偽物とされようが、係わりのある者は処分される」
物騒な内容を伝えている割に、ヒムロの動きが踊るようで 意味が正しく伝わっているかは、わからない。
『要は、ロアルに いざという時の逃げ道を確保して欲しい と、言う事だな』
シュラが付け加えた事で、ロアルにも凡そ伝わった。
ラーやアヤメと面識を持った事で、酒蔵の危機は防ぎたいと望めば 謁見の場に居合わせない方が無難だとラーとの通信で判断した。
『ならば、確実に壁は取り除いておこう。一人がやっと通れる程度ならば、そう時間はいらないのだけど』
『追手を罠に仕掛ける方法も、あるのだろう?』
追手を想定した場合、広い逃げ道は確保しなければ ならない。しかも罠は撤去されたままだ。
『私の仕事が増えてしまったな。罠は先に仕掛けておこう』
ロアルが退室する前に、
『謁見は三時半からだ。三時前に噴水で落ち合おう。アヤメ様とシュラ、そして我々 使節団からは三名が向かう。それで良いか?』
代表者の言葉に頷いて、ロアルは出ていく。
『ではシュラ、主だった対話は我々に任せておけ。アヤメ様が直接 応対する事はあるだろうが、こちらは大丈夫だな』
『わたくし、可能な限りヘルラとお話いたします』
アヤメも頷いて、謁見の流れを確認する。
『以前は わたくしが迎え入れる立場でしたので、心改まりますわね』
とても普通の十歳の子供の発言ではない。
『私は 皆に応対を任せている間、バルコニー付近に立てるだろうか?』
シュラの言葉にアヤメとヒムロが口角を上げる。
「バルコニーじゃな。私がこっそり抜け出そう」
そう言った途端、ヒムロの衣装だけがハサリと落ちた。襟元から小さな龍になったヒムロがスルスルとシュラの肩まで上る。アヤメはキラキラした目でヒムロに手を伸ばし、仕方なさそうにアヤメの手に乗る。
「やっぱり可愛いね。アタシが連れてってあげるよ」
「いや、アヤメは一番目立つ所に立つじゃろう。私はヘルラに見付かる訳にいかんのじゃ」
言い聞かせるように、アヤメの顔の前で話す。
少し膨れてアヤメはシュラの肩にヒムロを乗せ直す。
「アタシ、ヘルラの正面に立つんだもんね。シュラに譲ってやるよ」
「アヤメ、対話の時間を稼いでくれ。私が動けば目立つが、この大きさのヒムロならバルコニーに出られるだろう」
ヒムロの姿に驚いた使節団の誰もが黙っている。いや、驚きで声が出ないだけだ。
「タタジクの民よ、私達の策に深く貢献した事に感謝する。トレザを出る前からの準備に 抜かり無しと考えていたのじゃが」
「抜けばかりだったな」
使節団に向けて話すヒムロに、シュラが軽く突っ込む。
「はっ。神々の意向を戴けただけでも充分満足であります」
まだ満足されても困るのだが、と シュラが呟くが、早朝からの準備に まだ食事もしてないと話す。目処が付いて ひと安心した所だ、食欲も出たのだろう。
王城の前、噴水の所に三時前 集合。そう確認し合い、使節団も宿泊先に戻って行く。
思いの外 早く準備が整えられた事で、昼食までの時間に余裕も出た。
閲覧ありがとうございます。
今月は少ししか更新できませんでした。
毎週目標にしてた頃の元気が足りない。
でも、ガンバロウ。




