表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍の居る世界     作者: 子萩丸
23/59

変化の始まり

 今回も、ご覧いただき有難うございます。


 この頃、ずっと他の人の作品を読んでます。色々と。読む方が好きなようです。時間を忘れて、スマホの充電が切れるまで読み続ける事がしばしば。

 凄いですね。面白いですね。何とも、世界観の違いがわかるように書かれているのが感心します。


 自分の作品を読み返して、なんだか、とても書き直したくなって来ました。

 作文が、ハタシテ私に出来るかな?から始めて、何となく楽しい勢いで活字列を繋げ、キャラクターの人間性がをもっと書き込んでみたくもあり、面倒だなぁとも感じている所。


 反省ばかりの前書きですいません。楽しんでいただけると嬉しいです。






 広場に集まる面々はユタの補佐をする若者達が中心だったのだが、得意分野を大勢に広めたいと望む者や新たな知識を求めたい者を、上手く組み合わせて行く方法で進み始めた。


 まだ手探りだが、バムの知識を口頭で伝えただけでも建築職人の作業が遥かに効率を上げた。

 他にも応用が出来れば、親や知人の職業しか知る機会の無かった子供たちも色々な仕事を知る良いきっかけになるだろうと、全体的に皆が前向きな姿勢で取り組んで、活気付いている。


 ユタに報告があると居場所を探す若者が直接ユタの自宅に行った事で、起き上がれない事態になっているのが知れ渡る迄に、そう時間はかからなかった。

 連絡事項の伝達速度としては優秀だろう。

 だが余計な憶測も同時に伝わった事で、ユタの容態を心配する者が次々と押し掛けて、陽が傾く頃にはユタの自宅は様子を見に来た者でごった返す事になっていた。


「心配させて、済まない。急に痛みが出たけどね、そんなに大変な事じゃないから大丈夫なんだよ」

 次々と心配してユタの所に来る者に困惑気味に応対するが、起き上がれないだけでここまで不便になるとは思わなかった。

 当たり前の事が、自分で出来ないもどかしさと苛立ち。そして何より、これと同じような症状で運ばれて来る人々の気持ちが理解できたような気がした。


 普段から会議にも利用されている部屋に入りきれない程の人数で、外でも心配する者が大勢待っている。


 夕食の支度を早目に済ませたリリが会議室で待つ皆の所に行く。ユタの様子が気になっていた皆の視線が集まる中

「こんなに多くの人に心配して貰えるのはありがたいのだけど、皆にも生活があるでしょ?」

 注目されている中で、何から言うべきか考えながら

「だいたいね、病人や怪我人の心配してここに来るのは、大抵が身内ぐらいなのよ。こんなに大勢の人が気にかけてくれるのは、嬉しいのだけど」

 呼吸を整えるようにしてから、困ったような笑顔で続ける。

「来客をおもてなしする余裕は無いの。ユタは死んでしまった訳ではないし、死にそうな病気でも無いのよ」

 ここでひときわ大きなパウゾが立ち上がる。

「ユタが死んじまいそうだって聞いたんだ。リリの話しが本当なら安心なんだが」

「本当よ。腰を痛めて動けないだけだもの。今は無理に動こうとして、完治する迄の時間がかかる方が心配よ」


 そんな対話がされている中、ユタの様子を見て来た数人が診察室から出てきた。

「あなた達にお願いがあるのよ」

 ただでさえ、人が多い部屋の中に数人増えただけでも狭く感じる。診察室から出て来たばかりの者達から「何でしょう?」と返事があったのでリリが言う。

「外で待っている皆さんには、ユタが腰を痛めただけだって伝えてちょうだい。出来たら、ユタに代わって仕事を頼みたいのだけど、良いかしら?」


 腰を痛めて動けないだけ。しかし、光の花は明日も蜜を出すだろう。採取に向かう者を募りたい。ついでに、リリの花からも蜜を集めてくれると助かる事。

 神々の洞窟に向かえるのは、栄誉ある事に感じた皆が、喜んで応じた。明日はパウゾも向かうそうだ。


 数日は通って貰う事になるだろう。大勢で向かうのも良いが、毎日の事になる。負担になる者も出るかもしれない。数人ずつ交代して通う事に決めた後は、外でユタの容態を気にかけている皆にも伝えて解散した。


 夕食は起き上がれないユタの為に、皆の分も診察室へ運ぶ。

 厨房は見舞いに届いた獣や鳥の血抜きや解体途中の為に手狭になっているという事情もある。

 昨日のからさで香辛料をかなり減らした料理は、ユタの食欲を始め皆にも受け入れられて、よく食べた。


 食事をしながら製図した陣を正確に拡大、縮小する方法をバムが話すと、アヤメよりムウの方が夢中になって聞いている。計算と聞いただけで疲れたようだ。

「模型にも当てはまるのか?実際に造る建物や、仕掛けの必要な道具を造るにも役立つのだな」

 シュラが納得したように、計算の仕方を覚え、アヤメにも覚えるように話す。


 ムウが情報を集めていた、石を粉になる迄磨り潰す方法は、職人達と多く接するバムだからこそ、出来るんじゃないか?と言う話しになったと知らされる。

 それを聞いたムウの目が、期待に輝く。


 水門に使用した黒く大きな岩は、とても硬くて加工するのが大変だったのだ。鋭く加工された岩や石を叩き付けてもそちらが砕けて作業が難航した事。その為に元々の岩の形を利用して水門を完成させた事を教えた時に、

「その黒い岩なら他の石を磨り潰すぐらい出来るんじゃないか?」

 という声があったそうだ。黒い岩の加工は考えなければいけないが、バムもムウとは違う用途で石を細かくしたいらしい。


 翌朝はパウゾを中心に三人が洞窟に向かったと報告を受ける。パウゾは肩に白いヒヨコを乗せて行ったのだが、朝陽を洞窟内で浴びたヒヨコは、その場でニワトリまで育ったらしい。

 真っ白な体に真っ赤なトサカ。ラージャがヒムロにそっくりだとゲラゲラ笑ったらしい。似ているのは色だけなのだが。


 ユタが自分で起き上がれるようになるまで二日。自由に歩けるようになる迄には、まだ数日がかかったが、皆が新しく知識を共有して意見を出し合う事も徐々に定着し始めている。

 医療的な事を覚えたいと求める数人が複数、毎日同じ時間にユタの家に訪れるようになる。


 まずは基本文字や数字を覚えること、これはトレザ全体に広まっているので、誰もが覚えるのに良い環境が出来ている。そして簡単な計算。それから専門的な知識を伝え、それぞれが覚えやすいように書き留めるのだ。



 若者達が中心になり、皆が求める知識のある所を伝えれば、元々の知識に新たな発想も加わって知識の応酬が加速する。ユタが一人で頑張らなくても、上手く進めようと皆が自分の出来る範囲で頑張る。それだけで何もかもが上手く進み始めた。



 シュラの植えた木は、沢山の木の実がついている。始めに植えた木は本当に小さな実で、子供の手で握っても五つ位は持てる。真ん中の木と三本目には大人が片手で一つ持てる位の大きさだが、形は違う。

 下から見上げるだけでも、かなりの量が収穫出来そうだ。

「美味しいかな、どうかな?」

 アヤメが気にしながら、収穫の日を待っている。


 




 次回は木の実がどんな用途になるか、書いていきますね。


 ぎっくり腰ですが、二足歩行が出来る喜びと、長時間の立ちっぱなしがつらい現実との狭間にいます。横になると痛みは忘れるんだけどね。でも起き上がる時は、横向きからゆっくりじゃないと、いつでも振り出しに戻りそうですw


 どうぞ、良い時間が流れますように。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ