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たなびく戦旗の下に   作者: 澤木無我
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第五王子と仲間達

カリガン軍本営の会議。

                 3 カリガン軍本営

 大陸暦1215年五月。フリアノ王国東部国境を侵犯、侵攻したカリガン王国軍の主力6万は、その二週間で、フリアノの穀倉地帯中央平原の入り口の街ブレアに達していた。カリガン軍は街の高級ホテルを軍が接収し、全軍の本営として使った。本営には侵攻軍の総指揮官として、ハインツ・カリガン王太子が到着していた。その日本営では、今後の軍の侵攻方針について会議が行われていた。

「フリアノ軍は中央平原の真ん中より東側ここスーシの街に陣をおいている模様です。斥候、暗部の報告によれば、その数およそ3万を少し超える程度かと」本営の上級士官が報告する。

「なるほど、それがフリアノ軍の限界か。北方に援軍を割けないわけだ」大柄でいかにも豪胆に見えるホイラー将軍が笑う。

「いや。あまり侮らない方がよい。長年の内乱を収めた軍だ。弱いとは思わぬ方がよい」白髪で老練さを感じさせるナロー将軍がホイラーを戒める。

「何が強いものか。この二週間、国境を越えてから戦らしいことをフリアノの奴原はしたか?」とホイラー。

「だから怪しいのだ。奴らは我々を自分の懐に呼び込もうとしているように感じる」とナロー。

「勇将も名ばかりとなったか。それとも年を取り過ぎて、かえって命が惜しくなったか」

「ナロー将軍に失礼であろう。ホイラー!貴様謝罪せよ」若いリサコフ将軍が激高する。

「静かにせよ。諸卿!王太子殿下の御前である」ガルフ・デッサ伯爵が声を発した。ガルフ・デッサ伯は侵攻軍の軍監として会議に参加していた。席を立ちかけたナローとリサコフはしぶしぶといった様子で座り直した。他の将軍達や上級士官達は固唾を飲んでことの成り行きを見つめていた。

 王太子は沈黙していた。軍監のデッサ伯がおもむろに話し始めた。

「諸卿、落ちつきたまえ。確かに我々の侵攻は順調進んでいる。しかし、これはなんと言ってもこの計画を立案された王太子殿下のご威光の賜であることを忘れてはなるまい」

 ガルフ・デッサは彼の隣に座る王太子に一礼する。この様子に苦虫をかんだような顔をした者もいれば、デッサにならう者もいた。ガルフ・デッサはテーブルの方に向き直る。

「さて、今後のフリアノ王国攻略についてだが・・・。我々は明日、ここを進発し、中央平原に入り、数日後にはスーシに対陣する、フリアノ軍を撃破する」

「お待ちあれ、では、アラン王子の北方軍を待たないと?」ナロー将軍は驚いたように発言した。

「北方軍はたかだか1万。ゴール城を落としたとしても、そこから中央平原まで進出までに、将も兵も疲れているはず。我々の役には立ちますまい。これは遠来する王子への王太子殿下の温情と言えるものです」

 ガルフはさも当然という顔をして言い放った。

「しかし」とナロー将軍。「今急いでスーシを目指さなくても、アラン王子がゴール城を抜けば、その後ろの街道を通って南下できる。そうすればスーシの西に出て、フリアノ軍の背後から我が軍とで挟撃できるではないか。急いで中央平原に出て決戦する必要はないと考えるが」

「ナロー。老いたか!」今まで沈黙を守っていたハインツ王太子が怒気を含んだ声を発した。

「私は、我が軍で敵を葬ると言っているのだ。始めから、アランに期待はしていない。その為にアランには別働隊を任せたのだ」

「仰せの通りにございます。それに小城一つ落としたという知らせはまだ来ておりません。いくら待っても決戦には間に合わないのではありませんか」ガルフは頬に冷笑を浮かべた。 


 

次はフリアノ軍陣営。

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