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たなびく戦旗の下に   作者: 澤木無我
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第五王子と仲間たち

読んで楽しい架空軍記物を目指したいと思っています。正直、自分が書いていて、楽しいか面白いか、他の人が読んで面白いと思うか?自信はありません。

                 1

 小高い丘に設置された本陣のテントの前で、若い二人の武将が眼下の戦況を眺めていた。三重に取り囲まれた味方の包囲網の中で、孤立した相手側の城塞ゴール城はまだ落城の様子は見せていなかった。城への援軍は姿を見せることなく、すでにこの城塞を囲んでから七日を過ぎ、囲む大軍に今にも飲み込まれそうに見えるのにもかかわらず、城はまだ今までの攻撃に持ちこたえていた。かえって城を囲む兵士たちの方に疲れが出てきたようにさえ見える。

 テントの前に立ち、この膠着した戦況をしばらく眺めていた二人の若い武将も憮然とした表情にならざるを得ない。二人のうちの片方、灰色の髪に灰色の鎧、指揮官を表す赤いマントを纏う武将が口を開く。

「貧乏くじを引かされたかな」愚痴のような言葉に、隣に立っていた赤い髪に黒い装備を身にまとった武将ベルトが、頬を覆う無精髭をなで、苦笑しながら言い返す。

「おいおい、アラン。軍の総大将がそんな弱気では困るではないか」

 主将のアラン・カリガンと配下の武将ベルト・フランケルトは幼い頃からの友人であり、今は上司と配下の関係になっても二人だけの時は軽口を言い合う仲であった。

「弱気?・・・ふん。ならば総大将を譲ろうか」

「それは無理だな。王子を差し置いて、ただの伯爵家の息子がしゃしゃり出るわけにはいかん」

「王子・・・?。王子も五番目では重みもなかろう」

 アランは身を翻して、本陣のテントに足を進めた。ベルト・フランケルトも彼に従うようにテントに向かった。歩哨兵がテントの戸口の幕を開いて、二人を中に迎え入れた。テントの外では肌寒い風が吹いていたが、中は風が遮られるだけ多少外よりは温みが感じられた。大きなテントの中央には大きなテーブルが置かれ、そこに大きな地図が広げられていた。ゴール城と周辺の地図である。地図の上には多数の駒が置かれていた。駒には、攻城戦に参加しているそれぞれの諸侯と王家の各隊のマークが記されている。駒は城の外郭を三重に取り囲んでいた。

 アラン王子はテーブルの奥の方に置かれている主将の椅子に座った。左肱をテーブルの上に置き、腕を立てて顎を置き溜息をついた。

「膠着状態だな」

「ゴール城の城主は、ベネット子爵だったけ。なかなかしぶとい」ベルトが言う。

「誰だ?ベネット子爵は現在闘病中で兵の指揮は無理だから、今が好機だと言ったのは」

「ん・・・、確か、我らが敬愛する王太子殿下、あるいは宰相閣下ではなかったかな」

「どこから、その情報を得たんだ。敬愛する殿下と閣下は?」

「そりゃ、王家の優秀な情報部からだろうな?」

 アランはベルトをジロリとにらむ。

「ベルト。お前、俺をからかって遊んでいるだろ」

「遊べるほどの・・・、余裕はないな。」ベルトは王子の隣の席にどっかと座った。

「ところで、王太子殿下のところからは何か言ってきたか?」

「兄上からは、速やかに小城を落として、合流せよとのことだ」

「事情もわからず、難儀なことだ。あちらの方が軍勢は多いのだから、少しこちらに兵をよこしてもらいたいものだ」

「そんなことを伝えたら、役立たずと言われ、国に返されて、二人とも牢獄か田舎で一生を過ごすことになるだろうな」

「牢獄は嫌だが、田舎で王子と一緒なら楽しいかもしれん」

「お前と一緒か。俺は嫌だな」二人は顔を見合わせて笑った。


今後、空間的な広がりを見せると思います。

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