第22話*親友
家に帰ると水城がリビングで電話をしていた。
何分か話をしていたようだが、
「うん、大丈夫…ありがと」
と笑って答え、電話を置いた。
「誰と電話してたんだ?」
久しぶりにみた水城の笑顔、それを作ってくれるような友達ができたんだろうか。
「うん、陸のお姉さんの、海ちゃんと」
まさか陸がでてくると思わなくて驚いた。
「協力、してくれてるの」
あいつが、、?
宣告をしてくるような奴な上、
水城を襲った野郎が
協力?
信じられなくてしかめっ面をする。
「まだあいつと関わってたのか?」
「壱が心配するようなやましい事はないよっ!」
あたしは壱一筋だもん、
と小声で漏らすのが聞こえて抱きしめたくなる。
あんな奴に、ヤキモチやいてる訳じゃないケド、、
オレの知らないところで水城が男と話してるのか、とか思うとモヤモヤする。
「陸と海ちゃんがいてくれるから
学校で壱に会えなくて辛くても、頑張れるよ」
この年の差ももどかしい。
守ってやりたくても一日中一緒にいられないのだから。
協力してくれる奴がいるだけで心強いって事はわかってる。
オレは夏森に頑張れって支えてもらえて水城とつき合えるようになった。
だから
水城がこうして笑えているなら、
あんな男でも…いい奴なのだろう、
多分。
「そうだな、協力してくれるなら、、」
「…壱は?市倉さんと綾瀬さんには言ったの?」
そう聞かれて俯かざるおえない。
和也と流とは
水城とつきあっていると告げてからまったく会話を交わしていない。
この頃は夏森と行動している事が多い
だけど
このままで良いわけがない。
水城も頑張っているのだから、
自分も努力をしていかないと、と
覚悟を決めた。
……………………………………
「和也、流」
しばらくの間、きいていなかった声を耳にして
足を止めると
壱がそこにいた。
「話があるんだ」
「…あの事?」
こくっと頷いて和也達を見据える。
とたん、
「友達だと思ってたのにな。」
この間と
同じような事を言い放たれてオレはびくっとする。
この間、、親友に向けられた言葉が痛かった
同じ事をいわれるのなら耳をふさぎたいとも思った。
だけどいわなくちゃ。
「…和也、流、ごめん、、こんなオレがお前らの親友なんて名乗れねーよな」
言わなくちゃ伝えられない。
親友だから知って欲しいんだ。
支えてくれるような言葉をくれたら、それだけで頑張れる。
認めて欲しいんだ。
「でも、水城とつきあってる事は本当だし、好きなんだ」
水城を好きな気持ちは何よりも譲れない。
…例え親友に見放されようとも。決めたんだ、
前に
未来に歩んでくって。
「お前がそんな奴だなんて、思ってなかった」
そう言われて俯く。
親友にさえ
受け入れられないのだろうか、、
だけど
言葉が続いた、
「でも、友達だと思ってる、親友だと思ってる」
優しい言葉が。
そんな事をいわれてはっと顔を上げる。
「だからこそ、僕らに相談してくれなかった事がショックだったんだよ、それが許せなかった」
そうじゃ、ねーか
大切な友達にこそ、
だからこそ
言わなきゃいけなかった。
「ごめん…」
一瞬の沈黙。その沈黙を破るように和也が
「あーあ、僕・水城ちゃんの事狙ってたのになあ」
そんな間の抜けたような声をあげた。
「おれだって、ロリコンだとかいって壱のことからかえねーじゃねーか」
おまえの問題はそこかよっ
なんて、いつものように和也が流につっこみをいれる。
こんな友達がいてくれてよかった、オレは本当に幸せだな、、
そう思えたらなんだか涙がでた。
「なんだよ壱、ちょっぴり泣けてきちゃうの☆なんてゆーつもりか」
「ばかか、、」
そんなんじゃねぇ、
これは男の友情の涙なんだ。
お前らみたいな友達がいてよかったよ、
なんて素直にいえねーけど
…ありがとう
なんて
ぼそっと
呟いてみた。
昨日出せなくてごめんなさい、、 今日は15時頃にもう一回だせる予定です