第20部*協力者
「壱…っ」
怖いよ
そういって抱きついてきた水城は、
細くて、今にも壊れそうで。
「水城…どうした?」
何があったんだ?
「っ、壱に…、会い、たくて、、」
頷いて
震える肩を抱く。
いつから待っていたのだろうか…
こんなになるまで雨の中で待っていたなんて。
守るって言ったのに…
何もしてやれない自分が不甲斐なくて。
現実ってどうしてこんなにも…
残酷なのだろう
……………………………………
「兄妹で恋なんて叶う訳ないのにな。。」
応援はしている、
それは嘘じゃない。
だけど、、
俺にはどうしてやることもできない。
そんな事を部屋のベッドで考えていたら
「陸ーっ」
ばあっ、と長い髪が寝ている俺の顔に垂れ下がってきた。
「なあに浮かない顔しとんのっ?」
そんな風に顔をのぞき込んできたのは双子の姉の、海。
こいつは同じ高校なに通っているのだか学科が違うためあまり会うこともない。
「あーっ、も・し・か・して、水城チャンに振られた、とかだったりするん〜?!」
「ちがうわっ。
…俺はもう完璧に振られてん」驚いた顔をした。
あんなにべったりだったのにっ!?
「じゃあ、やっぱり噂って本当なん?」
は?噂?
「その水城チャン、お兄さんの事が好きやってきいたけど、、」
水城が兄と付き合っている事を言おうとした時、俺は止めた。
そして、
あのあといつもの雰囲気に戻ったからもう大丈夫だと思っていたのに、、
水城に対しての罵倒の言葉はなくなっていなかったということか…。
「漫画だけの話やと思うとったけどホンマにあるんやなー」
興味本意の言葉。
水城が聞いたら傷つくだろう…
それが容易に想像できるのは、、まだ・好きなんだろうか、、
あいつがみているのは兄だけだってわかっているのに。
「…あいつらはホンマの兄妹やあらへんのやから、恋になっても、そら普通やろ」
そう、言葉にして事実を伝えた。
ちゃんとあいつらを理解してくれる奴を少しずつでいいから増やしていきたいと思ったから。
「…わかった。好きな気持ちは仕方ないもんなぁ。」
海はそれを聞いて納得したようで、
うちの彼氏の
「はーくん」もかっこよくてなぁ
なんてのろけ話を始めた。
っていうか、はーくん、って。オカシいだろう!?
呼びにくい上になんて不自然な…
「うちは協力するっ!女の子の恋のパワーは何にも負けんのやっ!」
海は勝手に話を進めていた。
断じて、
このアホな姉を好きな訳ではないんやでっ?
全力で否定させていだたきます!
だけど姉弟なんかが恋をして、
誰が許すんや?
俺は…
子供の頃、誤って
「お姉ちゃんと結婚する〜」などと言ってしまった事があった。
そのとき、
「はああ?何ゆっとんよ、あんたアホなんか?日本には法律ってもんがあるんやで」
と、
親にバリバリの関西弁でばかにされたのが忘れられない。
だけど、
あれよりもっと酷い罵倒や
周りの目を乗り越えていかなきゃいけないんやろうな…
…あいつらは乗り越えられるんやろか
張り切る海を横目にそんな事を思った。
早めにアップしました、また明日もこの時間くらいです('∇')