第15部*想・1つ
午後4時。。。。
「水樹…」
陸が水樹を抱き寄せてベッドの上でキスを重ねる。
今日は一緒に水城の家で勉強をしていた。
今日の学校は半日授業だったから
家には誰もいない。母も父も、…お兄ちゃんも。
一番早く帰ってくるお兄ちゃんでも帰宅は6時頃になるだろう。
名前をよばれ、
…陸をみつめる。
好きって気持ちを伝えたくて。
私は陸を見つめているつもりだった。
なのに、、
「お前はどこみとるん??」
俺じゃねーだろ、と悪態をつく陸。
「そんなこと」
ないよ、と続けようとするが、
手で
口を塞がれる。それ以上の言葉は聞きたくないよ、というような仕草。
「あのときさ、、」
「お前がお兄さん見てたときあっただろう?」
「その時の、お前の熱い瞳が目に焼き付いて離れないんや。」
陸には判っちゃうんだね。。多分、判るくらいあたしの事みてくれてたんだ、、
だから、ぎゅっと陸に抱きついた。
「…違う、よ。」
もうお兄ちゃんの事はけじめをつけれたはずなの。
だから、奪ってよ
もっとあたしを溺れさせてよ
「陸、好…」
そういいかけたら、深い口づけをされる。
いつもとは違う激しいキス。
「んぁ…っ」
息もつけなくて。。喘ぐように呼吸。
突然、陸の冷たい手がするりとTシャツの下に入ってきた
「ひゃ…ぁっ?!」
驚いて声を上げる。
「いいんか?」
「ぅ…あ…」
涙目になりながら頷く。
まだ忘れられないけれど、
でも
…あたしは陸がいいって決めたんだ。
陸はあたしが頷くのを確かめて、Tシャツを捲りあげた、
「…白い肌やな、、」と陸が呟く。なぞるように腰に触れられればびくついてしまう。
「…っ」
そんな風にふれられて、震える。怖い、と感じたカラ。
陸が自分の上着を脱いで上半身を露わにする。
その筋肉のついた肌に目を奪われる。
「ただいま〜。」
突然、ドアを開けた音、そして兄の声が聞こえた。
(お兄ちゃん…!?)
胸に触れられる直前、兄が帰ってきた。
うそ、今日遅いんじゃなかったの?
お兄ちゃんが帰ってきて、ほっとすると同時に、
あたし、何してるの?という気持ちが大きくなる。
驚いて起きあがろうとすると、陸がおヘソ辺りを舌で舐めた。
「っ、ひゃ…」
力が抜ける。
え、続けるの?
兄が帰ってきたのに、これ以上するの?
お兄ちゃんの部屋は隣だ。
声が聞こえてしまうかもしれない。
こんな事をしているなんてばれたら…どうしたら、いいの??
そう思って
「…や、やだっ!止めて、」
声を上げるが、陸は
「聞こえてもいいの?」と脅しのように答えた。
陸を怖いと感じた。
涙が止まらなかった。
「や…っお願い、止めてっ」
やっと、陸が離れて問う
「なんでや?」
「ぉに…ちゃんに、っ…バレたくなぃ、よっ」
乱れた服、こんな汚れたあたし、見られたくない
そう思って自分の体を抱く。震えがとまらなかった。
「やっぱそーなんやな」
ぼそりと呟く。
「お前。兄さんの事好きなんか?」
そう叫ばれてびくっとする
「なんなん、お前等は…ほんまもんの兄妹やあらへんのか?」そう問われて
「…ごめんなさい」
という一言しかでてこなかった。
「ごめんなんて許さへん…っ」
がんっ
と、何かを殴るような音が2階から聞こえた。
「何してんだ、水城?」
まさかストレス発散だとかなんかやってんのか?と思ったが、
争うような男の声が聞こえて
急いで階段を登る。
「おい、何があったんだよ!?」どんどんっと鍵の掛かっている水城の部屋の前で叫んだ。
「別に、何もあらへん。」
あの関西弁男の声が部屋の中から聞こえた。
そしてドアがあく音がした。
「水城…っ」
その部屋の光景に驚いて、怒りしか沸いてこなかった。
「お前‥水城に何しやがった」
乱れた服装のまま
床にへたん、と放心したように座り込んでいる水城。その目には涙。
この状況で何かしていないなんて、ありえるわけがない。
「‥恋人同士の営みや」
冗談のように答える関西弁野郎に本気ギレる。
そんな風に答えるな。
何が恋人だ。
そんなん関係ねぇ。
水城が泣いてるんだ。
「恋人のお前が水城を、泣かせるような事をしたんだろう?!」
ふざけるな。
恋人ってもんは、もっと優しいもんだろう?
お互いが好きあって発展していくものだろう?
「お兄さんにとって水城は何なん?はっきりしてもらいたいとこなんやけど」
真剣な眼差しで問い詰められる。
男と男の真剣な会話なわけだから、逃げることは許されない。
だからオレはいう。
けど、こんな風に伝える日が来るなんて。
「…オレは水城が大切なんだ。」
そう、言葉を口にする。
「でも、お兄さんには、恋人がおるんやろ?あの美人な人と一緒にクレープ屋行っとったやろ?。」
「は?」一瞬、放心した。
美人?クレープ?
…夏森の事か?
「恋人なんかいねーって!クレープ屋いったやつはただの友達!」
あの場面を目撃されていたのか。そういえば、陸に宣告されたのもあの付近だったよーな気もする。
「オレは…水城一筋で生きてきたんだっての!!」
その言葉を聞いて、陸が微笑んで言う。
「兄さんなこんなに想われとってよかったなあ、水城。」
ぽんっと水城の頭を軽く撫でて陸は出て行った。
陸が帰ったあと、水城が口を開いた。
「ほんとに?彼女いないの?」
「あぁ。」
「よかった…」
床に座り込んだ水城に自分のジャージの上着を羽織らせ、
陸によって乱れさせられた服装を隠す。
「………水城」
そしてオレは決心をして水城に手を伸ばす。壊れ物に触れるように軽く。
「どんな無茶をしようとオレは、お前の事を守っていく。」
そういわれて、はっとする。幼い頃に同じような事を兄にいわれたような気がする。
それは確か4才の頃、、
近所の男の子たちに虐められた覚えがあるの。
やめてって叫んでも私の髪をぐいぐい引っ張ったり、石を投げつけられた。
道で泣いていると、お兄ちゃんがあたしを探してきてくれてたのか、汗だくでかけよってきてくれた。
『ごめん‥っ水城ちゃんっ!』そういってあたしを引き寄せてあたしよりも大きくて、でも子供の小さな腕で壱に強く抱きしめられた事があった。
『ごめん、守れなくて‥っ』
『だから、どんな無茶をしようとオレは、お前の事を守っていく。ちゃんと、
水城のお兄ちゃんになるから』
そうして、はっとする
「お義兄ちゃん…?」
その言葉を、水城は口にした。