第14部*キミが幸せならば
「お兄ちゃん…」
そう呟いたように聞こえただけだったろうか?
空耳だったのだろうか?
夢でさえもオレの事を考えているのか
そう思って
水城の事が愛おしく感じる。
だから、
抱きしめたくなる。
そして水城に手を伸ばし、
壱は触れようとする。
そのとき、水城の目がゆっくりと見開かれたが
壱は気付かなかった、、
(ん〜…?)
何か近くに誰かいる?
気配を感じ、
その方に目をやってみると、兄が立っていた。
(おぉお、おにいちゃん!?)
その手が水城に触れようとしているかのようで、ドキドキと緊張で、動けなかった。
「只今ーっ!」
その声に驚いたように飛び退く壱。
びくっとして水城も起きようとしてバランスを崩しソファーの上から落ちる。
「っ!大丈夫か水城っ」
壱はすぐに水城に駆け寄って問う。
「お兄ちゃ…?」
近くにバスタオルが落ちているのに気がついて
「これ、お兄ちゃんが?」
「あーうん、今被せてたとこ。」
じゃあ、どーしてお母さんが帰ってきてからそんなに驚いたの??
バスタオルをかぶせてくれたくらいで
どうしてそんなに
動揺しているの?
「何してるの、あなた達は〜」
のんびりとした口調で
母が問う。
「や、別に」
そういっていた兄の顔が赤面していたのが分かった。
…そんな顔、みせないでよ。
そんな顔みせられたら
素直に陸のものになんてなれないよ…
だから、唐突に問う
「お兄ちゃん、今、幸せ?」と。
「…水城が幸せだったら」
そう返した兄は、ヘラっと笑う。
そんな返答が聞きたかったわけじゃないけれど。
でも、お兄ちゃんのために幸せになろうかな、なんて思えたから。。
陸と恋人でいようって決めた、、
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