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恋の蕾  作者: カラフル★
11/26

第10部*交錯


水城がどうしてあんなに熱い瞳でお兄さんを見つめていたのだろう、

なんであんな切なそうな顔をしていたのだろう、そう思って、

オレは昨日みかけたあの駅の商店街で、

水城のお兄さんを待ち伏せする事にした。




「お兄さん?」


下校中、

関西弁なまりの男の子に話しかけられた。みれば、水樹と同じ高校の服を着ている。

ということは水城の友達、または…彼氏か?という複雑な疑問を抱いて

「何。」と、答える。


「そんな構えんといて下さいな。俺、中村 陸といいます。」


「妹さんの事なんやけどな。」

「水城の事か?」

そういう水城とは何一つ似ていいお兄さんに向かって問う。


あんたら、兄弟なんやろな?


そう聞いてみたいところをぐっと押さえてあえて

「オレの彼女なん、せやからお兄さんには伝えて置こうと思ていいにきたんです」

といって反応をみてみる。


「…本当か?」

慎重に言葉を選んで答えた。

もし本当なのだとしたら、

水城が選んだ彼氏なのだから、2人の幸せを願うべきだ、と考えて。


「彼氏、なんて、未来の話ですけどね。」

未来の、つまりは宣告しにきたわけか。なんちゅー根性してんだこいつ。。

「でもお兄さんなんやから、幸せ願ってくれるやろ?」


そういって不適な笑みを浮かべ、ほな失礼しますわ、といい陸は駅の方向へと歩いていった。


「…幸せを願う?」


彼氏ができたとしても、、

水城は

誰にも、渡したくない


それがオレの本当の気持ちだった。



……………………………………

そんな事があったとはつゆ知らず。

GWになった。



「だーっ、ツマンナイィ!

せっかくのGWなのに、彼氏いないし・会えないしッ!」


あたしは鬱憤をはらすためお兄ちゃんの部屋の床で、寝転がりながら大声で叫ぶ。

「や、当たり前だろっ?いるはずもない彼氏とやらと会える訳ないからな。」

うっとーしいぞ、お前。という仕草をしながら冷静に突っ込む壱。

そして思うのはあの陸とかいうやつのこと。宣告しといてまだ告ってなかったのか、というアンドと、焦りが一緒に湧いてくる。


「違ぁうっ!そ、そりゃ、お兄ちゃんみたいにモテないから、彼氏なんてできないけどっ」

「ちょ、ちょっとまてぇ!なんだかそのいいかたは誤解を招くおそれがあるんでないか!?俺に彼氏がいるみたいなっ」


そんなことはない。この間だって、ちゃんと彼女らしき人と歩いてるのをみたのよ、と心の仲で返してやる。

とっても、綺麗な人だった。


「とにかくっ」

あたしは、お兄ちゃんの暴走思考を無視して続ける。

「ツマンナイのっ、好きな子にもあえないしっ」


そういいながら、携帯を開いて陸の名前を画面に出してみる。


陸は今、何をしてるのだろう?休みが終わったらまた一緒に何か食べにいきたいなあ、、


そんな事を考えてふぅっ・と、ため息。



「‥いるの?水城が好きな男」

お兄ちゃんが驚いたような顔で尋ねてきた。

「いますともっ」

ふふんっと気取ってみせるが兄は彼女持ちなわけで。こんな事自慢にもならないが。。


しかし、兄は眉をよせて不愉快そうな顔をする。


そんな顔をみてどんなもんだ☆なんて思っちゃうお子ちゃまなあたし。

彼氏歴=年齢なんだからねっ

おこちゃま女子高校生を甘くみないで欲しいわねっ


「どんなやつ?」

たぶんあの関西弁野郎なんだろうな、と思いながら問う。

「うーんとねっ、かっこいいのっ……お兄ちゃんより☆」

最後の言葉は嫌みったらしくいってやる。


本当は、お兄ちゃんよりかっこいい人なんて学年に2・3人いるかいないかなんですが、、

でも陸はなかなかお兄ちゃんにも負けないような人だと思う。

「付き合いたいとか、思うんだ?」

「……多分」

お兄ちゃんの事を忘れるためとか、そんな理不尽な理由付きで、だけど。


「ふーん、じゃあさ…」

どさっと、

「うわぁあ!?」


なんの前触れもなしに、壱が水城をベットに押し倒し、馬乗りになる。


「ちょ、何すんのぉっ」

新種のプロレスごっことかそういった類のものかと思い、反撃をしようとする。

が、動こうとしても手首をつかむ壱の力が必要以上に強い。

手の跡がついてしまうような押さえ方。


まるで、逃がさない、というような…

「……っ」

その雰囲気に押されて

無言で壱を見やる。


「…お、兄ちゃ‥ん?」

返答を求めるも、兄は答えない。

ただ、水城を見つめる瞳が真剣なものだということ事は、肌で感じられた。


(…?お兄ちゃん?)


ピリピリとした空気が部屋の中を包む。


突然、壱が水城の顎を掴む。


まるで、キスをするかのような動作。

一瞬思考が動かなくなる、

「…い」

ぎゅっと目をつむり、兄の動作を待つ。

お兄ちゃんなら、

いいよ。

そう思ったら、顔が赤くなるのが自分でもわかった。

でも、、

彼女がいるんでしょう?

その人以上に私を選んでくれるの?


そしてー…

2人の唇は、重ならなかった。


「ふはっ」


壱がピリピリとした空気をやぶるように笑い声をあげた。

「冗談だ、ばか。」

「…っ!ばか兄っ」


部屋の扉をばたんと閉めてダッシュで自分の部屋へと戻って、へたんっと体の支えがなくなったかのように座り込む。


(冗談‥?)

逃げられないような強い瞳、力、

しかも、ファーストキスさえしたことのない水城の唇を奪うかのように、唇が触れあってしまいそうなところまで近づいておいて、、

‥冗談なの?

重ならなかった唇にもどかしささえ感じてしまう。

キスを

言葉を

してくれたら、言ってくれたらどんなによかったか。

寸止めだなんてまるで、彼女の方を選んだかのような仕草。


(バカ兄…)

どくどくと心臓が胸をうつ。

これからも、

兄妹のまま線引きをしていられると思ったのに、、

この日

あたしは、

お兄ちゃんの事を

「男のコ」なんだと意識した‥

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