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生まれ変わってもアナタと

作者: 幾千転 万起

初投稿!

私のワクワクを他の人にも知って頂けたら良いと

思って書きました。

ぜひ最後までお読みください。

  知らない場所のはずなのに、どこか魂が震えるような気がした。ここは確か、リーリア皇国とドゥーザ獣王国の間に位置するボスカ大森林地帯の通り道だったはずだ。私は家業の商人を継いだばかりで、この道を通ったのは初めてのことだった。...五年くらい親を見習うために一緒に行動していたが、それでも初めてだった。まぁ『継いだ』というのは、私の家系では単独で行動できるということだから、あまり気負うこともないだろう。しかし何だろうか、この感覚は…?分からないから、止まることにした。


「...ちょっと止めてくれないか」

「どうかされましたか?ご主人様」


  馬車を止めて、そう声を返したのはメイドのシャリアだ。シャリアは、見目麗…ようは可愛かった。一目惚れというのかな、これは。親から商人を学び始めた頃、わがままを言って買ってもらった。買ってもらったというのは、彼女は奴隷であったからだ。...心を閉じてた彼女が私に対して普通に接することができるまでが大変だった。


「...いや、なんて言うんだろうね、魂が震える?そんな感じがしてね」

「この道に何か思い入れがあるのですか?」

「いや、通ったことすらないよ。だからちょっと気になって止めてもらったんだ」


  この場所どころか、道そのものにも見覚えはない。...気になるけど、今はそれどころじゃなかったな。


「ごめんね、急に止めてもらって。商談があるから行こうか」

「(ぼーーーー)」

「...シャリア?」

「...ハイっ!!なんでしょうか?」

「どうかしたかい?」

「いえ、なんでもありません。それよりご主人様、どうかされましたか?」

「ああ、ここに止まってても仕方ないし、商談もあるから行こうか」

「承知しました。馬を走らせますね」


  ...一体どうしたんだろう。

  まぁ、肝心の商談だが...とりあえず何事もなく終わった。


「お疲れ様でした、ご主人様。紅茶をご用意いたしました」

「あぁ、ありがとう」


  ほんとに疲れた。商人とはここまで疲れるものなのか。ある意味冒険者などよりも体力がいるんじゃないだろうか。...でも、収穫も多かった。なにせ3日も居たんだからな、収穫がなきゃ何やってんだって話になる。...この後は皇国に戻ってやらなきゃいけないことがたくさんあるし、帰ろうか。


「じゃあシャリア、帰ろうか」

「承知しました。荷物は既に積んでありますし、ご主人様が横になる場所も用意してあります。ご主人様はそこでお休みになられてください」


  ...よくできたメイドだよ。しかし、今思ったがこのまま帰るとすると、どこかで夜営をすることになりそうだ。


「それとご主人様、お願いがあるのですが、今日はこのままお帰りになられてはいかがでしょうか」

「それは構わないが、どうしてだい?」

「先日、ご主人様のお父様とお母様から教えていただいた夜営の仕方というものを実践してみたいのです」

「なるほど…分かった。夜営をする場所は任せるけど、手伝った方がいいかい?」

「いえ、それには及びません。私に全ておまかせください」

「分かった。それじゃあ任せるから、止めたら起こしてくれないかな」

「承知しました。それでは馬を走らせます、おやすみなさいませ、ご主人様」


  ...帰り道、森に入る少し前のこと


「ご主人様、起きていらっしゃいますか...?...よしっ!やりましたわ♪あとはあれを準備して…そしてあの場所で夜営をして…計画は完璧ですわね。うふふ、楽しみですわ〜、あ・な・た♪」


  ユサユサ、ユサユサ。


「起きてください、ご主人様。ここで夜営をしようと思います」


  そこは、この前魂が震えるような感じがしたあの場所だった。


「ご主人様、こちらが夜食になります、いかがいたしましょうか?」

「ありがとう、いただこうか」


  寝起きではあるが、シャリアの顔を見ていたら食べられる気がしてくる。はいそこ、ちょろいとか言わない。...夜食?全部食べたよ。食にはこだわってたから、美味いんだよね。


「食後の紅茶になります、どうぞ」


  相変わらず気がきく。


「今夜は少し肌寒くなりそうですので、温かくなるようなものも混ぜております。いかがでしょうか」

「あぁ、ありがとう。...うん、おいしいよ。シャリア、君には気をつかわせてばかりいるね。いつもありがとう」

「メイドとして当然のことをしたまでです。...馬の手入れをしておりますので、何か御用があればお申し付けください」


  ...このとき、私は知らなかった。彼女が手入れをしながら、裏でガッツポーズをしていたことを。

  ...私はしばらくそのままでいたが、突然異変が起きた。...熱い。熱いのだ。下が、気持ちが。...抑えろ、溢れてはだめだ、治まれ。私は警鐘を鳴らすが、体が言うことを聞かない。ついには彼女の背後まで来てしまった。彼女は振り返らない。私の鼻息が荒いのが分かる。これでは獣のようではないか。控えめに言って気持ち悪い。そして、後ろから抱きしめて言った、魂を震わせながら......


「愛してる」


  真偽のほどは分からないが、思えばこの言葉が、鍵だったのかもしれない。

  突如、もう一人の人生の記憶が湧き出してきた。なぜか分からないが、不思議とそれは私の記憶だと確信できた。そして、その私ではない私が、知っていた。思い出した。この道を。そして…


「ご主人様…いえ、『あなた』。思い出しましたか?」


  シャリアという名で生まれ変わった、前世の恋人。


「シャリアはいつから知ってたの?」

「先日、ここを通った時ですわ。それとシャリアではなく、前の名前がいいですわ。レイア、そう呼んでくださいまし。まあその後から、どうやって貴方から襲ってもらおうかと考えておりましたの」

「...それで興奮剤か」

「私が、薬の調合が得意なのは知っておりましてよ。材料が森に揃っていて助かりましたわ。でもまあ、記憶を思い出した衝撃で効果がなくなるのは予想外でしたのよ」

「全くだ、一生の恥だと思ったぞ」

「まぁ、それももう関係なくなったのですけど。なにせ今から私が襲うのですから。昔も今も積極的にきてくださらないんですもの。奴隷商から、数年後には性奴隷にするつもりだと聞いていたはずでしょう?それなのに私を使わないなんて。それでは私の恥ですわ。...それに、まだ気づきませんの?これをするために、馬車にスペースを作ったのですよ」


  ......どうやら、彼女のほうが何枚も上手だったらしい。私を寝かせてはくれないようだ。

  朝になった。...男として情けないとも思うが、私は得意ではないのだ。…言い訳にしか聞こえないが。ぐっすりと眠っていた彼女が少し恨めしい。


「おはようですわ、あなた」

「あぁ、おはよう」

「すぐに朝食をご用意いたしますわね」

「...口調が混ざっているのは気のせいか?」

「それは言わないでくださいまし。記憶が混ざって、一体なにが正しい口調なのか整理できていないのですわ」

「そっか、少しずつ直していけばいいさ」

「ところで、なんでこの場所で記憶に引っかかりがあったか分かりますの?」

「そういえば、そこだけが分からないんだ。なんでだ?」

「...ちょっと付いてきてくださいまし」


  どこへ行くのだろうか…?

  うっそうと木々が生い茂る中、彼女は立ち止まった。そして地面を掘り返し始めた。急な行動に呆然としながら見ていると、驚くものが出てきた。『それ』は、棺桶だった。そして中には遺体が入っている。無論他人のではない。私と彼女の前世の肉体だ。しかも抱き合うように収まっている。


「貴方が亡くなった後に、私と一緒に埋めてもらいましたの。私は貴方のことが好きでたまらなかった。けれど生き返らせるのとは違う。そんなことをやっても貴方に嫌われるだけですもの。だから必死に考えましたの。どうすればまた貴方と話せるのか。愛し合えるのか。ただそれだけを求めて考え抜いた。その結果がこれ。眉唾ではありましたけれど、このような話がありますの。『互いに愛する者よ。抱き合い地に埋まり眠りなさい。さすれば次の世でも番になれるだろう。魂が、震え。記憶が、湧き出すように思い出すことだろう』…信じて正解でしたわね。だって貴方とまた会えたんですもの。私とっても嬉しくって。...まぁ、貴方がほんの少し幼女趣味だったのが、驚きましたが」


  彼女はそう笑って話を終わらせた。最後の一言は余計だ。...なんだ幼女趣味とは。偏見だと思うが。私は背が小さいのが好みというだけなんだが...。でも、だからこそまたレイアと話すことが出来たから、やっぱり彼女には感謝をしないといけないようだ。

約3500文字のお話を読んでくださりありがとうございます。拙い文章だとお思いになるかと思います。それはそれで感想として、意見として、お伝え頂けると嬉しくなります。

もし、私が次のお話を書きましたら、また読んでくださると光栄に思います。

2度目になりますが、最後まで読んでくださり、

誠にありがとうございます!

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