第1話 日常は唐突に
1話投稿!
ちなみに、この作品、作者の好みでシリアス展開は早く回します。
でもカッコいい戦闘シーンとか、カッコいい主人公は書きたいのでそう言った物が読みたい方は是非。
ヒーローしすぎて人間味が薄くならないように気を付けます
俺の日常は午前7時半に起きることから始まる。今日もいつも通り起きるが、いつも通りでない点がある。
そう、今日は誰もが嫌がるテストの日だ。
テストは嫌だし、部屋は寒いしで正直布団から出たくはない。出たくは無いのだが、そろそろ1階から母の美奈が声を掛けて来るハズだ。
「永斗!起きてる~?」
「起きてるわっ!」
俺、狭間永斗の恐怖の象徴は母さんだ。
前に呼び掛けを無視した事があったのだが、あの時の恐怖を俺は生涯忘れないと思う。普段はおっとりしているのだが、おっとりした人は怒っても怖くないなんて誰も言っていない。
という事でさっさと着替えてしまおうと、着替えを始めようとしたその時、部屋のドアがガチャっと音を立てて開いた。そこからは姉の那奈が顔を出していた。
姉は「クール系美人」らしい。実際外では誰にでも頼られ何でも出来る格好良いお姉さん的ポジションを確立しているらしい。だが家の中ではただのナマケモノなのだから弟としては首を傾げざるを得ない。
「おはよう、永斗」
「あ、あぁおはよう、姉貴」
「もう8時半だけど大丈夫?」
え?いや、部屋の時計は7時30分なんだけど……それにそんな時間だったら母さんが爆発するぞ。
それでもなんとなく嫌な予感がした俺はスマホの電源を入れ、画面を見る。
そこに映った数字は、8と3と0。
「あれ?俺のスマホ壊れた?」
現実逃避気味にスマホをしゃかしゃか。目も擦ってみる。
「そんな訳ないじゃない。ほら」
姉貴がそう言って見せて来たのは姉貴のスマホ。そこにはやっぱり同じ数字が……
「遅刻じゃねーか!」
遅刻も遅刻、大遅刻だ。テスト開始が8時30分なので、まさに今始まったところである。
大変な事実に気づいた俺は制服をひったくり急いで着替え始める。こういう急いでいる時というのは中々ボタンがはまらなくてイライラするものだ。まさに今がそうである。
着替え終わった俺は荷物を手に持ち階段を駆け降り、居間のドアを開け放つ。
そこには新聞を読んでいる父、裕介と母さんの姿が。
父さんは少し目付きの悪いが普通のおじさんだ。俺の目付きの悪さは父さん譲りらしい。
「お前なぁ、今日からテストだろ?父さんも何度か起こしにいったんだぞ?」
「マジか……あ、母さん、朝飯は食ってる時間ない。もう学校行ってくるわ」
「もう、今日はどうしたの?今まで寝坊なんてしなかったでしょ?」
母さんの笑顔が怖い。帰宅すればこっぴどく怒られるのは間違いなさそうだ。
俺は品行方正良好な優秀な生徒だったってのに。初の遅刻がテストの日とは運が悪い。
とは言ってもやってしまったものは仕方ない。母さんにパンを1枚だけ貰って口にくわえ、玄関から出て自転車に跨がり全力で漕ぎ始める。
外はうっすら雪が積もっており、凍結している場所もあったが、特に転ぶことも無く学校前の交差点に到着。
トラックが走ってくるのは見えるが、信号は青。残っていたパンの一欠片を口に放り込み急いで渡ろうと左右の確認もそこそこにペダルに足を掛け、漕ぎ出す。
まだ学校に着いてもいないが、「帰りたくねーなー」なんて呟き交差点を中程まで行ったところ。
キィィィィィィガシャン!
「ガッ……」
瞬間肺の中の空気が全て抜けた。なんとか新たな空気を貪ろうとするが上手く行かない。
次に感じたのは痛み。身体中が悲鳴を上げている。視点の定まらない視界に意識を向ければ、地面に赤い物が広がっているのが見えた。視界の奥にはこちらに走りよる複数の人影が見える。
身体中の感覚が消えていき、何故だか少しだけ考える余裕が生まれた。「俺、死ぬのか。意外と呆気ねーな」なんて、他に色々あるだろ、俺。
そして俺の意識は完全に消えた。
4/17 主人公の名前を変更しました。&全話改稿しました。
主人公のこの名前、作者的に使いづらいんですよ。
ほんとにその程度の理由なんで、この名前が気に入ってた方はすみません。これからは永斗くんをよろしく!