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第12話 模擬戦

ギリギリ日付が変わる前!

いや、もっと早く書き終わる予定だったんだけどね?

 俺は今、ギルドの前の少し大きな広場で、冒険者ゴージンと向かい合っている。

 わざわざギルドを出たのは周囲への被害を考慮したためだ。

 周りには野次馬達が大量に居るが…そいつらが巻き込まれて怪我をしても自己責任である。


「よし、坊主、準備はいいか?」

「おう!いつでもな!」

「ハッハ!威勢はいいな!よし、騎士さんも見てる事だし、しっかりとルールを決めるか…そうだな、魔法とかスキルは禁止だ。相手が武器を手放したり降伏を宣言、もしくは戦闘不能になったら勝ちだ。おっと、殺しはダメだぞ?」

「わかった」


 そう返事をした俺は、背負っていた長剣を正面に構える。ちなみに訓練で使っていた木剣ではなく、本物の鉄剣になっている。

 同時にゴージンも武器を後ろの冒険者から受け取り、構える。彼の武器は巨大な金槌だ。あれで殴られたらひとたまりも無いだろう。


「両者準備はいいな?それでは…始め!」


 レイダスが合図をした瞬間に俺は距離を詰める。まずは蹴りを放つ。そのまま当たれば頭を打ち抜く軌道だ。

 鎚の柄でガードするゴージン。しかし、俺の筋力ステータスはかなり高い。それだけでゴージンは1m程後退した。


「ぐっ…中々やるじゃねぇか坊主!」


 俺は反撃する隙を与えない様に長剣で連撃を次々と放っていく。しかし、その全てをゴージンは避け、受け流していく。受けても最初の様に後退する様な事は無かった。

 それどころか、段々と反撃をしてくる様になった。流石に鎚による大きな攻撃は来なかったが、蹴りや拳が飛んでくる様になっていく。それに対応している内に俺のペースは乱されていく。


「おらっ!」


 そして遂に鎚による反撃を許してしまう。流石に体勢に無理があったので、本来の威力は出ていないだろうが、受けた剣を持つ手が痺れる。

 俺の動きが止まったのを見たゴージンは距離を取った。


「くそっ!」


 思わず悪態を吐くが、体は直ぐ様動き、もう一度距離を詰めようとするが、中々接近が出来ない。

 ゴージンは鎚を巧みに動かし、受けと反撃を同時にこなす。

 心の中に焦りが生じたのを感じた。


 落ち着け、俺。俺がゴージンに勝っているのは?

 恐らくステータスは勝っている。だが技術で負けている。ゴージンの受け流しは騎士団長であるダンよりは雑だが、それでも俺よりも圧倒的に上だ。

 ならば最初の様にステータスでごり押しするしかないだろう。


「ハァッ!」


 俺は全力で剣を振り下ろす。分かりやすい攻撃だったので、簡単に受けられたが、ここまでは想定の範囲内だ。

 俺はそのまま更に力を込める。


「おぉっ!?」


 しかし、ゴージンが驚いたのは初めだけだ。直ぐに押し返してくる。それでも、やはり筋力は俺の方が上のようでじわじわと押し込めている。


「力比べは俺の方が分が悪いか…だが今回は俺の勝ちだな」

「なんだと?」


 次の瞬間、俺の長剣からミシミシと嫌な音がする。慌ててバックステップで距離を取るが、既に追撃に移行していたゴージンの一撃を受け、ガキィッ!という音と共に破壊されてしまった。これで俺に武器は無くなった。柄を手離していないので、まだ敗北では無いが…


「俺の負けだな、降伏する」


 そう言った俺は、急に緊張が解けその場に大の字に倒れ込んでしまった。

 最初から分かってた事だが、ステータスのごり押しってのはダメだ。今回もステータスで俺に劣っているであろうゴージンに終始良いようにされていた。


 今回の反省をしていると、ゴージンが近寄ってきて俺に手を差し出して来る。


「おう、坊主。馬鹿にして悪かったな」


 その言葉に少し驚いたが、今の模擬戦で少しは俺の事を認めてくれた様だ。その事に嬉しく思いつつ、ゴージンの手を取り立ち上がる。


「いや、気にしてねぇよ。俺も見た目がひょろい事は自覚してるしな」


 そう言って笑えば、周りのゴージンや野次馬達も豪快に笑っていた。

 その空気に心地よさを感じる。


「よし、今からキョウの歓迎だ!今夜は飲み明かすぞ!お前ら直ぐに用意しろ!」


 そう言ってゴージンが声を張り上げれば、野次馬の中の冒険者達がギルドに早速とばかりに入っていく。


「惜しかったな、キョウ。だが落ち込む事は無い。こいつはここでトップクラスの実力を持っているからな」

「ま、その顔を見た限りじゃ落ち込んでる様には全く見えないけどな」

「普通に悔しいわ。確かに落ち込んでは無いけどな」


 今回の事で色々改善点が見えてきた。基本的に俺は攻める練習しかして来なかったからな。これからは駆け引きを覚えたり、技術の方を上達させて行こうと思う。

 そしてこれからの実戦で剣と魔法の併用の練習もして行こうと思う。今まで剣と魔法で別々に練習していたので、一緒に使った事が無いのだ。


 これからの方針を考えつつ、俺はギルドに入っていく。その後ろからゴージン、レイダス、ロムも付いてきた。


「そうだ、レイダス。今日は依頼受けなくていいのか?」

「あぁ、今日はギルドの冒険者達への顔見せだからな。依頼は次に来た時で良いだろう」

「んな事言ってレイダスも休みたいんだろ?なぁ、エイト。レイダスってな、真面目そうに見えて意外とめんどくさがりなんだぜ」

「余計な事を言うな」


 そう言ってパシッと頭は叩くレイダス。


「良いだろ?俺だって最近は働き詰めなんだ。たまには酒でパーッといきたい」


 レイダスはこめかみを押さえ、溜息を吐きながら言う。

 ちなみに俺も飲める。この国では15から成人だからだ。城でも夜は酒が出てくるので、手を出して見たのだが、意外と飲める事が判明した。


「いや、レイダス。今日は俺の顔出しだろ?自分の休暇に使うなよ」


 俺がちょっと冗談目かして言えば、ギルドの中は一瞬で笑いに包まれる。既に酔っている冒険者達は笑いの沸点が低いのかもしれない。


「おほん、エイト、お前は先に冒険者ギルドカードを作っとけ。向こうのカウンターで出来るから」


 軽く咳払いをしたレイダスは軽く頬を染めつつ、カウンターに酒を取りに行ってくると言って逃げ…いや、普通に取りに行った。

 そしてロムだが、彼は意外にも酒が飲めないらしい。見た目はめちゃくちゃ飲みそうなのに…世の中分からないものである。

 俺は取り敢えずレイダスに言われた通り、冒険者ギルドカードを作る事に…長いな、ギルドカードを作る事にする。


 俺はレイダスが行った一番遠くのカウンターではなく、一番近くのカウンターまで行き、受付嬢に声を掛ける。

 赤毛をポニーテールにした、切れ長の紅眼を持つ少女だ。


「なぁ、ギルドカードを作りたいんだが、いいか?」

「貴方はゴージンさんと戦っていた…えっと…」

「エイトだ」

「あぁ、そうでした。ゴージンさんとあそこまで戦える人なんて殆ど居ないんですよ?凄いですね」


 凛とした見た目の彼女に褒められるのは少し照れる。


 と、ふと見た限りのギルド職員全員が付けている名札を見た。

 そこには「アイシャ」という名前の下に他の職員とは違うマークがある事に気付く。


「なぁ、アイシャ。名札のそのマーク、なんだ?」

「え?このマークですか?えっとこのマークは新人が付けるマークです」


 どうやら、アイシャは新人の様だ。他の受付嬢なんて話した事も無いが受け答えがしっかりしていたので、既にかなりの期間仕事しているのかと思ったが、そうでも無いらしい。


「へー、それじゃ俺と一緒か。俺もこれから新人冒険者出しな。頑張っていこうな」


 そう言って笑い掛ければアイシャはちょっとだけ頬を染め、小さな声で「はい…」と囁いた。

 これはもしかしたら頑張れば付き合えるかも…なんて馬鹿な事を考える俺だった。

ちょっとテンプレ破壊に行きました。

正直、主人公にあっさり勝って欲しかったです(おい)

まだまだ成長過程、魔王にも「まだ」ならない彼を温かく見守ってやってください。

凛とした見た目の赤髪ポニテのアイシャは作者の趣味により胸は控えめです。

ちなみにミリスも控えめです。


最後に作者の願望は…回りを男の仲間で固めてぇ

やっぱ男の友情っていいよね。ヒロインは一人…いや、これからどうなるか分からんけど…

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