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第11話 王都

1日空けちゃったけど無事投稿!

 資料庫でマインに出会ってから1週間が過ぎた。

 この1週間の生活は特に代わり映えも無かった。午前はダンとの近接戦の訓練、午後はウィルとの魔法の訓練をして、朝昼晩はミリスとの食事だ。

 唯一変わった事と言えば、ウィルとの訓練が終わった後に、マインに精神干渉系の魔法を教わっている事くらいか。

 彼女は精神干渉魔法に関しては、この国にいるどの魔導師よりも実力が上らしい。本人による談だが、一応は信じている。


 という事で、この1週間訓練した成果はこんな感じだ。



種族:人族

名前:エイト

年齢:16

職業:無し

体力:1680/1680

筋力:1110/1110

魔力:3200/3200

精神力:2400/2400

運:100

スキル:《言語理解》《成長促進》《剣術Lv.4》《魔法Lv.4》

称号:《勇者》《無詠唱魔術師》



 こんな感じになっている。ステータスは大幅に伸び、一部ではダンやウィルに迫るステータスになっている…らしい。ダンにはまだまだ子供の様にあしらわれるし、魔法もウィル程威力は出ないし精度も低いので、全く実感はしていない。

 他にはスキルのレベルが上がっている。こちらも上記の理由で実感は中々出来ないのだが。

 次に称号だ。今までは《勇者》のみだったが、《無詠唱魔術師》という称号が増えている。

 この称号の効果は



《無詠唱魔術師》:無詠唱で魔法を使う際に消費する魔力が減り、発動が速くなる。



 というのがこの称号の効果だ。

 そして、最近気づいたのだが、称号の効果だけでなく称号の説明も見れるのだ。



《勇者》:人の身でありながら人外の力を有する者。その力は悪を断ち闇を打ち払うが、心の有り様で光を吹き消す事もある。


《無詠唱魔術師》:無詠唱で魔法を扱う初級術者。極めて魔法の才を持つ者である。



 こんな感じである。《勇者》の称号はシンプルにカッコいいが、反面危うさを持ってる様にも感じる。《無詠唱魔術師》については特にコメントすることも無い。


 以上がこの1週間の成果だ。

 そして今日から、城外での実戦訓練が始まる。とは言っても、3日に一回のペースで、それ以外は普通にダンやウィルとの訓練なのだが。


「実戦訓練ってどんな事やるんだろうなー」

「初めは簡単な魔物討伐の依頼をこなしていくらしいですよ」


 そう言って答えてくれたのは、この国、アグレシア王国の第一王女ミリス。ちなみに王女は第四まで、王子は第五まで居るらしいのだが、ミリス意外は会った事は無い。


「依頼?」

「えぇ、冒険者ギルドに届いている依頼です」

「へぇ!冒険者!」


 冒険者と言えば異世界物のテンプレ中のテンプレだ。武器を手に強力な魔物に立ち向かったり、難攻不落のダンジョンに挑んだりする。この世界の冒険者がどんな物かは知らないが、多分こんな感じだろう。


「けど、俺一人で活動するのか?」

「いえ、サポートに私の騎士団から二人ほど派遣します」

「お、それなら安心だな」

「それでは私はこれで。後程迎えが来ますので」


 その後、もう少し詳しくミリスから話を聞いたのだが、俺の中でこれは必要な事だと判断した。少しスローペースではある物の、隣国との戦争には時間があるし、教官であるダンやウィルとの訓練だけでは成長に限界がある。

 そこで魔物との実戦を行う事で、裏で糸を引いているであろう人物を確実に倒せる様にしなくてはならない。

 ……決して「冒険者とかやってみたい!」何て言う邪な思いで行う訳じゃないことをご理解頂けたと思う。


 そして10分程でミリスの言っていた迎えが来た。


「ミリス私設騎士団所属レイダス・アーザスだ。よろしくな」

「ミリス私設騎士団所属ロームラン。ま、気軽にロムって呼んでくれや」

「多分、ミリスから聞いてると思うけど俺はエイト。よろしくな、レイダス、ロム」

「おいおい、ミリス様を呼び捨てかよ~。気を付けた方がいいぜ?ミリス様には結構過激なファンも居るからな。外で呼ぶときは気を付けとけよ?」

「ロム、あんまり変な事言うなよ?大体お前の呼び方も奴らからしたらギリギリだからな?」

「なんだよ、その危なそうな連中…そういうのってどこにでも居るんだなぁ」


 ミリスのファンに戦々恐々としつつ、ここに来てから一度も出ていない城の外へ向かう。

 とは言っても俺の部屋は意外と城の入り口に近く、直ぐに外に出た。


「おぉ…」


 俺はこの世界に来て初めて街に入った事に感動を覚える。そう考えると、大分引きこもり生活だったんだな、と思う。大分ハードな引きこもり生活だったが。


「おーい、あんまりキョロキョロしてんなよ。置いてくぞ」


 しみじみと中世ヨーロッパ風の街並みを眺めて居ると、レイダスに怒られた。


「まぁまぁ、いーじゃねーか。エイトはずっと城の中にいたんだぜ?俺だったら無理だわ~。退屈で死んじまう」

「安心しろ、ロム。お前には仕事があるからな。出られなくなることは無い」

「あー、やっぱずっと城ん中居たいわ~」

「お、団長との訓練をご所望か。いや、やる気に溢れてるな?ロム」


 そんなコントを繰り広げながら俺達一行は街中を進んで行く。

 途中には野菜や肉を取り扱った店や食堂なんかが多く立ち並んでいた。


 前の世界で見た事が無い店もあった。その筆頭が武具屋だ。比較的平和な日本では全く見た事が無い。


「ん?なぁレイダス。あれなんだ?」


 俺が見つけたのは街中を悠々と歩いている生物だ。大きさは馬の3倍ほど。四足歩行で頭には巨大な2本の角が天を突くように生えている。見た目はサイに近いか?


「あれか?あれは調教した魔物を使った魔車だ。ほら、後ろに車を引いてるだろ?」

「あれ、ホントに大丈夫なのか?暴れたりだとか」

「もちろん、暴れだす事もあるぜ?そういう時に対処をするのが俺達の仕事だ。ま、大抵は街中に居る冒険者が片を付けてくれるんだけどな」

「それにしても、あの魔物は立派だな。暴れだしたら、止めるのに苦労しそうだ」


 見れば、回りにもちらほらと魔車は居るが、あれ程立派な魔物が引いている車は他に無い。

 というか、大き過ぎて通行の邪魔になっている気がしなくは無いが。


「魔物ってあんなんなんだな。ホントに勝てんのか?怖くなってきたんだけど」

「アイツ位なら今のキョウでも倒せると思うぞ?なんせ団長とあそこまでやり合うんだからな」

「いや、ダンには軽くあしらわれてるだけだと思うんだよな~」


 そう言って昨日のダンとの訓練を思い出す。多分、吹っ飛ばされた回数は最初に比べて、寧ろ増えてると思う。

 恐らく、こちらのステータスの上がりに合わせた訓練をしてくれているのだろう。

 …キツイので辞めて欲しかったりもする。


 そして初めて見た物をレイダスやロムに質問しながら歩くこと15分程。

 周りの建物よりも一回り立派な建物が見えてきた。


「よし、あそこが冒険者ギルドだ!」

「へぇ、あそこが…」

「入ってからは堂々としてろよ?冒険者の奴らは気が荒いからな。ま、一度懐に入っちまえばあいつら程気の良い連中はいねーけどよ」


 そう言いながらロムは組合の扉に手を掛けて一気に開け放つ。

 途端に中から酒の匂いや熱気が伝わってくる。

 冒険者と思わしき荒くれ達が大分騒いで居るが、外で聞こえなかった事からすると、防音設備は完璧らしい。

 そんな事を考えながら中を見渡す。一階と二階があり、一階はカウンターと酒場が。二階も酒場があるらしい。

 奥の方には依頼ボードと書かれた板が見えるので、あそこで依頼を選んでからカウンターで受付をするのだと思う。


 と、周りを観察していると一人の冒険者がこちらに気付き声をかけてきた。…あまり友好的では無かったが。


「おいおい、兄ちゃん。ここは兄ちゃんみたいな奴が来るとこじゃないぜ?」

「ガハハハハ!何回りくどい事言ってんだよ、ゴージン!はっきり言ってやれって、『ここはお前みたいな弱そうな餓鬼が来るところ』じゃないってな!」


 一人がそう言うと酒場全体から笑い声が上がる。こういう場合はどうすればいいのだろうか?テンプレ物だと軽くあしらってやるのが正解だが…俺にこの人達をあしらえる力があるのだろうか?


「ほらほら、ちょっと待てって。こいつは俺達が連れてきたんだからあんまりちょっかい出すなよ、お前ら」

「なんだよ、騎士さんじゃねぇか。でもよぉ、そんなひょろっちぃ餓鬼なんか連れてきてどうすんだよ? 」

「いや、エイトは強いぞ?なんなら試してみるか?」

「お?なんだ、自信がありそうだな?よっしゃ、いっちょ揉んでやるか!」


 ゴージンと呼ばれた男がそう言えば、酒場の熱気は最高潮に達した。

 野次を飛ばす者や賭けをする者など、ごちゃごちゃとしている。

 さて、意図せずテンプレ通りになった訳だが、無様を晒さない様に頑張ろうと思う。


※冒険者をやっている理由が弱かったので、追記しました。5/23

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