第9話 ステータスと資料庫
二日サボっちゃいましたが、無事投稿!
よろしくお願いします!
ミリスとの夕食を終え、俺は今ベッドの上に寝そべっている。ちなみに氷像はバレなかった。セーフセーフ。
それはさて置き俺が何をしているのかと言うと、ステータスのチェックだ。
種族:人族
名前:エイト
年齢:16
職業:無し
体力:120/200
筋力:150/190
魔力:1150/1400
精神力:300/340
運:100
スキル:《言語理解》《成長促進》《剣術Lv.1》《魔法Lv.3》
称号:《勇者》
今のステータスはこんな感じ。昨日に比べると大分上がった。
そしてこのステータス、ちょっと色々弄っているともっと詳しく見ることが出来る様なのだ。
例えばスキル。
《言語理解》:ありとあらゆる言語を理解、及びに発音することが出来る。
《成長促進》:ステータスの上昇やスキルの取得に補正が掛かる。
《剣術Lv.1》:剣の扱いに補正が掛かる。(Lv.1)
《魔法Lv.3》:魔法使用時の消費魔力を減らす。魔法の威力が上昇する。(Lv.3)
こんな感じで詳しい説明まで見ることが出来る。思っていた通り、《成長促進》はシンプルだがかなり強力なスキルだ。自分の戦力の増強を図る事がこのスキルにより大分楽になる。
他のスキルは、まぁ妥当だと思う。
次に称号の《勇者》を見てみる。
《勇者》:初期ステータス、ステータスの上昇に補正が掛かり、全属性に対する耐性を得る。勘が鋭くなる。
見た限りとても優秀な称号だ。《成長促進》と似た様な効果が得られるらしい。「勘が鋭くなる」というのはなんとも曖昧な感じだが、心当たりはあるので、実際に効果は出ている筈だ。
全属性耐性は…試す機会は無い方が嬉しい。魔法が体に当たるとか怖すぎる。いや、だってウィルの魔法とか的を消し飛ばしてたし、あれが体に当たったら何も残らないと思うのです。
取り敢えず今日は疲れたし、寝る事にする。明日は資料庫に入れる様になるし、忙しくなりそうだ。
翌朝、俺は普通に目を覚ました。何事も無い平穏な朝だ。取り敢えず昨日支給された私服に着替える。激しい運動にも耐えられる黒のシャツだ。
ついでに部屋の備え付けの水道で顔を洗おうとして…辞めた。魔法で水を出してみる事にしたのだ。出す量が少ないので消費魔力は小さいが、精密な魔力操作が必要なので、難易度はむしろ大量の水を出すより高い。
「よし、やるぞ!」
そう言って気合いを入れてから、イメージを開始する。精密な魔力操作の練習は殆どしていなかったので、今回はやり易い様に蛇口から水を出す感じでイメージする。そうすれば水の勢いとか量とか想像しやすいからな。
すると段々と水が流れて来る。ゆっくりゆっくりやっているので、まだちょろちょろとしか出ていないが、ここから勢いと量を増やしていく。
5分程で丁度良い水の量になったので、制御に気を使いつつ顔を洗う。
「よし、いい感じだな」
するとそこに、トントンと扉をノックする音が聞こえた。
「キョウ、居ますか?開けますよ?」
「あぁ、いる…」
と、ミリスが来たことに気を取られたからだろうか?水は俺の魔力制御を離れ、勢いと量は一瞬で爆発的に増え、近くに居た俺を吹き飛ばした。
思いっきり背中を打ち付けたが、その衝撃で水も止まった。
「いってぇ!」
「…朝から何をしているのですか?」
「いや、魔力制御の練習をな。もうちょっとで成功だったんだけどなー」
ミリスは多少呆れた顔をして、部屋の外に居たメイド達にびしょびしょに濡れた部屋の片付けを頼んだ。
メイド達は火の詠唱魔法を使って、水を蒸発させていく。勿論この時、焦がしてしまう様な事は一切無かった。
「キョウは魔法を使い始めたばかりでしょう?ならば出来なくて当たり前です。彼女達だって何年も修行してここまで出来る様になったのですよ?」
「いや、でも…」
「でも、ではありません。一歩間違えれば大惨事です。そういう事は訓練場で行ってください」
「はい…わかりました…」
朝から怒られてしまった。というか、出会って間もない女の子に怒られる男ってどうなのだろうか?
「次からは気を付けてください。あぁ、そうだ。資料庫の方は本日から使えるように手配しておきましたので。後程案内しますね」
「ん、さんきゅ」
それからは昨日と同じだ。二人で雑談や今後の方針を話し合いながら朝食を取る。相変わらずミリスの表情は変わらないが、俺は結構楽しんで食事をしている。
「体の方は大丈夫ですか?ウィルはともかくダンの訓練は大変だったでしょう?」
「大変だったなぁ。ミリスも受けたことあんのか?」
「私はウィルに魔法を教えてもらっただけで、ダンには特に。けれど、ダンの訓練は見ていた事があるので」
まぁ、王女なんだし剣術というのは似合わないだろう。ミリスは華奢だしな。
「そっか。ま、大丈夫だ。無理はしない」
「はい。それが良いと思います」
こんな感じで本日の昼食も筒がなく終了したのだった。
食事が終われば、次は訓練の時間だ。昨日と同じく午前はダンとの打ち合い、午後はウィルに魔法を習う。
「来たか!エイト。ビシバシ行くから覚悟しとけよ?」
「お手柔らかに…」
結局訓練は昨日以上に大変な物になった。なんというか、昨日は受け止めるだけだったのに、ちょっと剣を押し返してきたりと何かにつけて負担を掛けて来る様になった。
お陰で昼食の時は腕がパンパンだった。
ウィルとの魔法の訓練は昨日とは特に変わらなかった。的に向かって魔法を放つ。少し違ったのは、俺が魔力制御の練習もした事だろうか?
最大火力でぶっぱなす分には問題無いのだが、威力を抑えたりすると、何度か暴発してしまったりした。暴発すると自分の体が吹き飛ぶので思ったよりも体力が減ったりと意外と大変だった。
そして今は一通りの訓練を終えた俺はミリスに案内され、資料庫に来ている。
「うへぇ…凄い本の量だな。俺が頼んどいてあれだけど、ちょっと気が滅入るな」
「そりゃそうですよ。ここは建国当時からずっと本を集めているのですから」
「へぇ」と感心しつつ、俺は一冊の本を手に取る。表紙には「アグレシア王国作法の手引き」と書いてある。今は特に必要としていないので、そっと戻しておいた。正直、この国の作法とか今のところ覚える予定は無い。
「それでは夕食までには戻ってくださいね」
「りょーかい」
そう言ってから出ていくミリスを目で追いつつ、この大量の本をどう攻略するかを考える。
取り敢えず読みたい本は「この国の歴史」、ミリスの言っていた「精神干渉系魔法」、できれば「スキルや称号について」、ざっとこんな感じだ。
この中から探すのは大変だが、歴史書くらいなら直ぐに見つかるかもしれない。
「さて、どこから見ていくか…」
「なに探してんの?」
「いや、この国の歴史が分かる本をな」
「分かったよ、ちょっと待っててね!」
そして、ドサッと俺の前に数冊の本が置かれた。
「よいしょ、っと!どうぞ!他にも何かあったら声を掛けてね!」
「あぁ、ありがとう」
そして、俺は一番上の本を手に取り開く。表紙には「アグレシア王国」とシンプルに書いてある本だ。
「えぇっと、目次目次…あった。隣国フォレスガルム」
目次に従い、248ページを開いてみる。そこにはフォレスガルムとの交易や、交流について記載があったが、戦争に発展しそうな大きな確執は無いように見える。
とは言っても、小さな争いはあった様だし、他のページにもそれについて記述はあるかもなので、一概にそうとは言えないが。
ふと、ここで違和感を覚える。
「あれ?これを持ってきてくれたのって誰だ?」
「ようやく気づいた?全然違和感を感じないみたいだから逆にビックリしちゃった!」
そこに居たのは、俺の身長の半分程の大きさの女の子だった。