表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こうして私は無双する・みかんVer  作者: まるたん
無名のトレジャーハンターでも一攫千金の夢くらいは見る
9/1278

【7】

 突進して来たういういを前に、十体はいるだろう炎の化け物は、各々の意思でういういへと攻撃して見せるが、全て簡単にかわされるだけに終わった。


 ザンッッ!


 そうこうしている内に、ういういは一体を一刀両断する。

 間もなく、二体目。

 そこから三体、四体と、極々当然の様に炎の化け物をぶった斬って行く。


 まさに神業級だった。


「なんだ、大した事ないな」


 軽く笑みまで作り、悪態を吐く余裕さえあった。

 気づけば、十体はいた炎の化け物は全て消滅していた。


「……なんだよ、消えるのかよ。倒し甲斐のないヤツらめ」


 倒してから敵の一部を剥ぎ取り、素材として売る腹だった模様だ。

 なんだかんだ言って、商魂たくましい。


「お~。なんか早かった~」


「てか、みかん。お前も少しは戦闘に参加しろよ。私だけしか倒してなかったぞ?」


「まぁ、いいじゃないですか~。とりま何かしようとはしたのですが、それより先に終わってしまいましたし~」


 実際、みかんがなんらかの行動を取ろうとしていた所で、既に炎の化け物は半分以下にまで減少していた。

 この時点で、みかんが戦闘に参加する意味はなかった。


「そんな事より、あれを見て下さい」


 みかんが指で軽く示した場所には、階段が。


「ん? いつの間に出来たんだ?」


「さっき、ういういさんが最後のモンスターを倒したと同時に、どこからとなく出現して来たです」


「ほ~」


 多分、そう言う仕組みなのだろう。

 どう言う造りから、そうなってるのかは知らないし、興味もないが、眼前にある階段を登れば良い事だけは分かった。

 現状では、それさえ分かれば十分なのだ。


「よし、それじゃあ今度こそ登るか。流石にマグマがやって来る雰囲気もないし」


「まぁ、別のトラップがあるかもですがねぇ」


 もしそうなら、面倒だな……そんな事を二人は考えつつ、慎重に階段を登って行く。

 途中、弓矢が飛んで来るトラップが何個かあったが、それ以外は取り立て問題なく登れた。


 簡素に言うのなら、


「どうやら、この道で正解らしいな」


 ういういは少し確信を持つ感じでみかんに答えた。

 みかんも軽く頷きを返してみせる。


「その様ですねぇ……まぁ、油断しない程度に登って行きましょ~」


 しばらく階段を登ると、再び門が。

 今度の門は他より少しゴツい。

 いかにも、この先に何かいますよと言わんばかりだ。


「二階のボスかな?」


「多分、そうじゃない? もう結構登って来たしねぇ」


 正直、二階と言うより二層目と表現出来るくらい、結構な高さを登って来ていた。

 飽くまでも予測だが、既に塔の中腹近辺まで登って来たのではないかと思われる。


「よし、取り合えず開けて見るか。みかん? 準備は良いか?」


「いいよ~。いつでも大丈夫~」


 門に手を掛けながら言うういういに、みかんは能天気な笑みを浮かべながら陽気に声を出していた。


 ギギギィィィィッ………


 まるで大昔の洋館みたいな、ひしゃがれた音を大きく出しながら門が開いて行く。


 その先には……。


「こりゃまた、面倒なのがいるなぁ……」


「およ~」


 少し苦い顔になったういういと、地味に驚いた顔のみかんがいた。

 どうでもいいが『およ~』ばかり言っていた。


 門を開けた先にいたのは、緑の鱗がいかにも固そうなドラゴンだ。

 但し、ただのドラゴンではない。

 頭が三つ、身体から生えていた。


 胴体を中心に、三つの長い首が生えている。

 パッと見る限り、そんな表現が正しいと思える。


「あれですかねぇ~。三頭竜とか言うのですかねぇ?」


五頭竜ヒュドラとかなら聞いた事あるんだけど、そいつらの親戚かな?」


「多分、そうなるんじゃない?」


 門から室内に入って間もなく、二人は悠長に眼前の三頭竜を見ながら会話する。


 当然、襲われても文句は言えなかった。


『ゴガァァァッ!』


 重低音の咆哮を放った三頭竜は、その三つの口から炎を吐いて来る。


「うぉわっ!」


「おふぅ~」


 二人は咄嗟にかわした。


 その瞬間、三頭の内、一頭が再び炎を吐き出す。


 ボゥゥゥゥゥッ!


 更に他の二頭が、それぞれみかんとういういを別々に噛みつこうとした。


「ちっ! 厄介なヤツめ!」


 けど、素材は高く売れそうだな。

 なんぞと、胸中でほくそ笑むういういがいたが、敢えて口にはしなかった。


「とりゃぁっ!」


 かみつきを避け、そのまま地を蹴ったういういは、素早く剣を抜いて三頭竜の首を斬ろうとする。


 ガキィンッッ! 


 しかし、固い鱗に阻まれる様にして、剣は弾かれてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ