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こうして私は無双する・みかんVer  作者: まるたん
最下級の冒険者と最頂点の冒険者
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【24】

「……前にやった中間テストで全教科満点取ってた理由が分かったかも知れない」


 無造作に置かれた紙切れを見つめながら、フラウは誰に言う訳でもなく独りごちていた。


 余談だが、その後のリダは流石に大人気ないと悟り……怒られも誉められもしないラインの点数を狙って取る事にした。

 しかし、狙い過ぎたせいで職員室に呼ばれる羽目になる。


 全教科全てキッチリ七十点と言う、非常に器用な点数の取り方をしていたからだ。

 二~三教科程度なら偶然もあり得るのだが、これが全教科全てがピッタリ七十点ともなれば、もはやバカにされてるんじゃないかと言わんばかりだ。


 その後、再テストを喰らい……仕方なく真面目にテストを受けた所……またしても中間と同じ全教科満点が出てしまい、逆に怒られると言う奇跡を作り出していた。


 その後、常人では理解出来ないおかしな存在とされ、テストの問題もリダ専用のテスト用紙が出現し……このハンデを貰う事でようやく他の生徒と同等の結果になるのだが……後日談と言う事にして置こう。


「……やばい……体力と言うか精神が限界近いぞ……」


 魔法陣に魔力を放出しつつ、リダは心からのぼやきを口にしていた。

 だたでさえ難解な魔導式を使用していると言うのに……その上、超複雑な魔導式を頭の中で紡いでいる。

 これだけでも神経を大いにすり減らしているのだが、そこに必要な魔力も膨大だった。

 レベルの低い魔導師ウィザードであるのなら、数秒で廃人になれる程の魔法力を……かれこれ一時間は放出している。


 正確に言うと、魔法陣に吸い取られていた。

 ……故に、リダは思う。

 みかんは私を殺す気だったんじゃないだろうか……?


 割りと本気で思っていたリダであったが、そこから休憩を挟んだ一時間後に、ようやく完成を迎える。


「や、やっと……終わっ……た!」


 完全に精根尽きたリダは、魔法陣完成と同時にその場に倒れてしまう。


「リ、リダ様! しっかりぃっ!」

 

 直後、蒼白になったユニクスが受け止め、


「ああ、ありがとう……けど、もう……だめだ。爆破魔法ボム一発すら撃つ魔法力マジックパワーが残ってないや」    


 完全に衰弱しきったリダが、苦笑のままで抱き止めてきたユニクスへと答えた。


 瞬間、ユニクスの心によこしまな心理が生まれる。

 いっ今のリダ様になら、あんな事やこんな事をしても大丈夫なのではないかっ!


 ここでは敢えて、あんな事とかこんな事にして置く。

 ちゃんと書くとR指定をマジで上げないと行けなくなるからだ。


「ユニクス……お前、今……凄い事を考えてなかったか? 頭の中を映像化したらモザイクが必須になりそうな事を考えてなかったか?」


 直後、精根尽きていると言うのに、物凄い形相で睨むリダがいた。

 普段から比べると威圧感はやはり減っているが、それでもかなりの眼光を誇っていた。


 故に、ユニクスはおもむろに首をブンブンと高速で横に降りながら、ふためき口調で叫んでみせた。


「い、いえいえっ! 滅相もございませんっ! そ、そんな弱っているリダ様を良い事に、色々と快楽の園にご招待しようとか、そんな事は全く考えておりませんからっ!」


「考えているじゃないかっ!」


 言い訳にしても、全然言い訳になってなかったユニクスの台詞に、リダは思いきり眉をつり上げ、間もなく右手をユニクスに向けたのだが、


「だ……だめだ……マジで魔力がない……」


 魔法は発動せず……そればかりか意識を失った。


「……え? リダ様?」


 ユニクスは本気でリダの容態を心配する。

 こう見えて、人一倍の心配性だったのだ。


 ……だが、しかし。


「……すぅ……すぅ……」


 規則正しいリダの寝息を耳にして、ホッと胸を撫で下ろす。

 どうやら、魔力が尽きて眠ってしまっただけの模様だ。


「全く……驚かせないで下さいよ……色々な意味で」


 ホッと胸を撫で下ろしたユニクスは、そこで瞳をキラキラと輝かせた。

 来た! 来ました! 私の時代っ!

 果たしてそれは、どんな時代だと思わず言いたくなる所であったが、このチャンスは神様が自分に与えてくれた千載一遇の大チャンスだとユニクスは勝手に解釈してた。


 そんな時だった。


「……どうでも良いけど、リダに変な事してたら、私が全部リダに言うけど良いかな?」


 横槍を入れる形でフラウがユニクスへと声を掛けた。

 その瞬間、ユニクスの額に滝の様な汗が浮き出ていた。


 しばらく、微妙な空気と無意味な沈黙が生まれた。


 そして、ユニクスは意を決する様に答えた。

 

「そ、そんな……私がリダ様に何かするなんて、ある訳ないでしょ? いやだな、フラウったら~」


 ユニクスは笑顔であっけらかんと答えていた。


 ……でも、心の中では泣いていた。

 出ていた涙は血の涙になっていた。


 ついでに鼻血も出ていた。

 てか、こっちは心の中だけではなく、リアルでも出ていた。

 せっかくの美人なのに、色々な意味で残念な人になっていた。

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