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こうして私は無双する・みかんVer  作者: まるたん
最下級の冒険者と最頂点の冒険者
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【23】

 こうしてみかん達は、カサブ池の迷宮を全く戦闘する事なく終了し、カグとの間に起こっていた過去のわだかまりを清算した形で無事に終わらせて行くのだった。


 カサブとカグのわだかまりを解いて、互いに仲直りをした後に封印の魔法陣を作った後、カサブ池の迷宮から出て来たみかん達は、新しくカサブをパーティーに入れて次のダンジョンを目指して行く。


 リダ達がしっかりと上手く攻略したと仮定するのなら、五大池の迷宮もいよいよ次回で最後の迷宮となる。


 最後の迷宮は、本来であるのならダンジョンの守護者が混沌龍・ヒャッカがいるゴヒャク池の迷宮。

 カサブの姉にして、本来なら心優しい混沌龍カオスドラゴンがいるダンジョンになっていた。


 しかし、当然ながら守護者となる混沌龍は、悪党の魔法使いによって催眠魔法を受けてしまった為、狂った凶暴な混沌龍となってしまい……悲劇の末に封印されている。

 もちろん、ボス不在の状態と言う事になる。


 逆に言うのなら、攻略をする上で他のダンジョンよりもボスがいない分だけ楽と考える事も出来るのだが……そもそも、ヒャッカが狂乱状態にならなかったのなら、このダンジョン攻略自体もなかった筈なので……なんとも複雑な所でもある。


 なにはともあれ。


「それにしても、リダは上手くやってますかねぇ……」


 ダンジョンを終え、街の中心市街地にある冒険者協会のホテルへと戻ろうとしていた時、みかんはふと思い付いたかの様に答えていた。


「大丈夫なんじゃないのか? 伊達や酔狂で冒険者協会の会長をしてる訳じゃないだろうしさ?」


「まぁ、そこは大丈夫だと思っての事なんですがねぇ……みかん的にダンジョンで全滅とかの心配はしてないのですよ~」


「そうなのか?……じゃあ、何が心配なんだ?」


「封印の魔法陣ですかねぇ」

 

「ああ……そっちか」


 みかんの言葉に、ういういは納得加減の頷きを口にした。


 言われて確かにそうだなと考える。

 ダンジョンの難易度も去る事ながら、封印をする為に製作している魔法陣の設置も今回の重要ポイントだった。


 そして、この魔法陣を構築するに当たって、本来であるのなら高位(ハイ)魔導師ウィザードが百人掛かりで取り組み、そして数日を要するまでの極めて困難な魔法陣である事も、いつぞやシズから聞いていた。


「別にリダの事を信じてない訳ではないんですよ?……ほら、みかんだって十分位で作る事が出来ている訳ですし」


「それは参考にならないタイムだと思うんだがな……」

 

 あっけらかんと答えたみかんに、ういういは渋い顔になっていた。

 実際、今回のカサブ池にあった迷宮の最深部で製作した封印の魔法陣は大体十分程度で製作と設置を終了している。


 だが、それは反則的な魔力と魔法的な技術を持つみかんであるからこそ可能であって、それと同じ事をやれと言われても途方に暮れるだけだと、ういういは思ってしまう。


 少なくとも、ういういが同じ事をやれと言われたら三秒で呆然となれる事、請け合いだ。


 そう考えると、


「……いくら会長とは言っても、ちょっとだけ心配にはなるな」


「そうなんですよねぇ……大丈夫だと良いんですがねぇ」


 二人は、地味に素朴な理由から『う~ん』と唸り声を上げていたのだった。




    ●○◎○●




 他方、その頃。

 みかんの予測はある意味で当たっていた。


「…………ふ」


 なんか、難しい顔になって呆然となるリダが、そこかしこに虚ろな目になって魔法陣を製作していた。

 製作開始から数時間。


 途中、精神が持たないので、休み休み魔法陣を形成しながらやっていたら、既に数時間が経過していた。


 また、設計図にあった魔導式だと、どうしても上手に頭の中で纏まらず、魔法として使用する事が大変であった為、ナナからわざわざ紙とペンと用意してもらって、自分にやりやすい魔導式に変換していたりもする。


 この関係もあり、周囲にはびっしりと魔導式が書かれた無数の紙切れが、無造作にばらまかれている。


 リダいわく、みかんの魔導式は最短の公式ではあるんだけど、複雑過ぎるから、より自分に分かりやすくする為、長くはなるんだけどより簡単に形成出来る魔導式に変更しているらしい。


 簡単になったのなら、少し位は分かるかなと……自分の勉強もかねて、使用済みの紙切れを一枚手にして、つらつら読んだフラウがいたのだが……やっぱりただの暗号にしか見えなかった。


 ハッキリ言うのなら、何処をどんな風に簡素化したのかすら分からなかった。


 世の中、上には上がいる……ここまでは良いのだが、雲の上所か大気圏を突入してるかの様なレベルの内容には、もうどんな返事をして良いのも分からない心境になっていた。

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