【5】
必然的に、道は別の所にある。
今の今まで、踏破不可能だったダンジョンは無いに等しい。
正確に言うと、理論上は踏破可能なダンジョンしか、この世界には存在していない。
どうしてそう言う理屈になるのか分からないが、頑張れば踏破可能である仕組みに必ずなってしまう。
例え、作り主が完全に不可能な造りにしてしまったとしても、不思議な力が働いて、いつのまにか可能な状態へと変革されて行くのだ。
一体誰が何のためにそんな事をするのかは、全くもって不明。
一説では、ダンジョンの神様がいて、その神様が不可能だと分かった時にダンジョンを書き換えてしまうとの事だが、その真意は不明だ。
この関係もあり、どんなに高難度と言われるダンジョンであったとしても、必ずクリア可能な仕組みになっているのだった。
そうなれば当然、このオナハの塔も踏破可能な仕組みになっている。
……とは言え。
「見る限り、階段を登る以外に上へと進む方法がないんですよねぇ」
「……そうだよなぁ」
どうしたものかと頭を悩ませていた時だった。
「……ん?」
「どうしたの、ういういさん」
ういういが、中央にあるマグマの辺りを見た。
見る限り、そこにはグツグツと煮立つ様なマグマが、勢い良く沸騰しているだけに見える。
しかし、だ。
「あれ、入り口じゃないか?」
答え、指を差す。
ういういの差した先にあるのは、確かに門の様な物が存在していた。
そう、存在はしていた。
していたんだけど……だ?
「あれ、どうやって行くんだ?」
門があるのは、完全にマグマの真上だった。
あの門を開けるには、マグマの上を歩いて行かないといけない。
あるいは、浮遊魔法でも使えと言う事なのか?
「まぁ、空が飛べれば簡単ですねぇ」
実際、身体をふわりと浮かしてマグマの真上に近付こうとする。
その瞬間。
ゴゥゥゥゥッッ!
「およ~っ!」
まるで意思でもあるかの様に、みかんを襲った。
「みかん! 大丈夫か! 主に金目の物!」
「身体を心配なさい! 身体を!」
心配するういういの叫び声を前に、みかんは眉をつり上げて叫んだ。
「う~ん……どうやら、ズルをすると、マグマが飛び出す仕掛けになってる見たいですねぇ」
つまり、浮遊魔法等ではなく、ちゃんとこのダンジョンの種を暴けと言う事になる。
「参ったなぁ……」
ちょっと、眉を捻ってしまう。
……とは言え、このダンジョンは浮遊魔法なしでもちゃんとクリア可能な造りの筈。
そうなれば、普通に歩いてあの門を開く事が可能となる。
「歩いて……か」
思い、みかんはとことこと周囲を見渡す。
そこから、近くにあった溶岩に氷の魔法を軽くかけ、ただの石ころ状態になったものをポイポイ投げて見せた。
「……何やってんだ?」
「思うにです~」
顔の上にハテナマークを乗せたまま言ったういういを前に、みかんは何個目かの小石を投げながら返答した。
「見えない道があると思うんですよ~?」
「見えない道?」
そうと、ういういが答えた時だ。
コツンと、小石があさっての方向に飛んだ。
前に飛ばした筈なのに、途中でなにかに当たり、違う方角に飛んだのだ。
「……今のって」
ういういは少しだけ驚いた目をする。
「どうやら、当たりの様です」
再び、同じ位置に小石を投げる。
やっぱり、コツンと見えない何かに当たり、あさっての方向に行く。
「そこだな」
「……ですねぇ」
大体の方角がわかり、二人は小走りに小石が不自然にぶつかる場所へと向かう。
そこで、ういういが小石をひょいと軽く放った。
カツーン!
……と、甲高い音を出して、小石は何かにぶつかった後、そのまま宙に浮いた。
それは、見る限り浮いている様にしか見えなかった。
「もう間違いない。ここに見えない道がある……あるんだけど」
ういういは少し苦い顔になった。
「見えないって事は、一歩踏み間違えると、マグマにドボン……だよな?」
「でしょ~ねぇ」
「かなり、怖くないか?」
「まぁ、ほら~」
そこで、みかんがにこりんと笑みを作り、再び口を開いた。
「見えない道がそこにあるのなら、道標を作れば良いわけですよ~?」
「道標を作る? どうやって?」
相変わらず謎だと言うばかりのういういに対し、みかんはそこで魔導式を頭の中で紡いで見せる。
魔導式と言うのは、この世界で言う呪文の様なもので、この魔導式を組み合わせる事で魔法が発動する。
果たして。
氷魔の吹雪!
魔導式を完成させ、みかんは魔法を放つ。
その瞬間、マグマの中に強烈な吹雪が生まれた。