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こうして私は無双する・みかんVer  作者: まるたん
最下級の冒険者と最頂点の冒険者
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【6】

 巨大魔導人形ゴーレムが消滅して間もなく、今度は上から宝箱が落ちて来た。


 ズガンッッ!


「……お、なんだろうな、これ?」


「トラップはない見たいですね。開けて見ましょうか?」


「ああ、頼む」


 リダが頷き、ユニクスが落ちて来た宝箱を開けて見せる。

 宝箱の中には、大きい卵が。

 みた感じだと、ダチョウの卵にも見えなくはない。


「なんでしょう?」


「ああ、昔は結構流行ったんだけどな……てか、まだあったのか」


 大きな卵を手にして、ハテナ顔になって小首を傾げていたユニクスに、リダは何か思い当たるフシがある模様だ。


「多分、あれだ。魔導人形ゴーレムの卵だ」


魔導人形ゴーレムの卵ですか?」


 ユニクスが眉をひそめる。

 魔導人形ゴーレムと言うのは、土で出来た人形だと思っていたからだ。


 その人形が、卵からかえると言うのは初耳だったのである。

 かく言う、フラウも初耳だった。

 ……と、言うかリダは何を言ってるんだろう? なんぞと心の中で言ってた位だ。


「昔な? 好きな人間そっくりの魔導人形ゴーレムを作るのが流行っていた時があってさ? その時に作られたのが、この魔導人形ゴーレムの卵でな? その卵の一番上についてるボタンみたいなのあるだろ? そこを押すと、押した人間そっくりの魔導人形ゴーレムが卵から孵化する仕組みなんだ。最初は小さいけど、段々と成長して、最後は本人と全く変わらなくなる」


「へぇ……なるほど」


 ユニクスは卵をまじまじと見ながら、リダの説明に相づちを打っていた。

 すると、このボタンをリダに押させると、リダの魔導人形ゴーレムが出来るわけか、とユニクスは考える。


「リダ様、これ押して見ません?」


「……いや、私の話を聞いてなかったのか?」


「はい、聞いてました」


 ユニクスはにこりんとキラキラした笑顔を満面に浮かべてみせた。


「つまり、この卵のボタンをリダ様が押せば、小さいリダ様が誕生され、それを私が育てれば、近未来に私の自慢のリダ様が爆誕すると言う訳ですよね?」


「いや、私は押さないからな」


「えぇぇ………」


 ユニクスは心底残念そうだ。

 リダを尊敬し、誰よりも敬愛するユニクスは、魔導人形ゴーレムでも良いから、自分の子供としてリダが本気で欲しかったのであった。


 なんて歪んだ愛情なのだろう。


「ただ、この魔導人形ゴーレムの卵なんだが、最終的には絶版になる」


「え? こんなに素晴らしい卵なのにですか?」


「素晴らしいかどうかは分からんが……そうだ。この卵には色々と問題がある。まず一つに本人の見分けが付かなくなる。本当に忠実に本人と同じになってしまうからな。孵化した時点での年齢差が限りなくゼロだった時に、大きな社会問題にもなった。そして、一番の致命的な理由は……」


 リダはそこで真剣な顔になった。


「……魔王が自分の兵隊を作るのに、これを使った」


 ……あ、なるほど。

 フラウとユニクスは納得した。


 簡素に言えば、自分の分身をそのまま自分の配下にしてしまったのだ。

 こんな事をされたら、人間側はたまった物ではない。


「これは、最終的に魔族側でも、自分の配下が下克上を出しまくるせいで、自ら封印してしまうんだが……能力の極めて高い存在を大量コピーする事が可能だった、魔導人形ゴーレムの卵は、危険すぎるって事で絶版する形に決まるんだ」


「なるほど……それは確かに恐ろしい事になりそうですからね」


 一つ間違えたら、世界が滅んでしまいかねない。


「そうだね……リダみたいなのが、この世界に百人もいたら、世界は破滅すると思うもの……」


「ちょ!……そ、そんな事にならないからなっ!」


 フラウは青ざめた顔になって言うと、リダは憤慨して喚き声を上げた。


「そうか……そうなってしまうのに……私はなんて恐ろしい事を」


 他方のユニクスは蒼白になって声をフルフルと震わせていた。

 

「いや、ユニクスさん? 私がこの世界に一人、二人増えたって何も変わらないからね? そんな、世界の滅亡に踏み込む所だった的な顔したらいけないトコだからね?」


「ユニクスお姉……その卵はボックスの中に封印して置いた方が良さそう」


「そうね……危うく、パンドラの箱を開けてしまう所だったわ」


「私の存在はパンドラの箱かよ!」


 リダは猛然とがなり立てた。

 もう言われたい放題だった。


「ともかく、そう言う卵だ。別に私が卵のスイッチを押しても世界は破滅しないけど、みかん辺りが押すと世紀末覇者が二人になってしまう恐ろしいボタンだ。決して安易に作らない事! 以上だ!」


 リダは強引に話しを打ち切ると、新しく出て来た階段へとスタスタと歩いて行ってしまった。


 二人もそれに付いていく形を取る。

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