【5】
フラウが一つ新しい教訓(?)を得た辺りで、少し開けた場所に変わった。
ちょっとした広間程度になっていたそこは、何やら闘技場めいた場所だった。
如何にも、これから死闘が始まりますよと、予告したいんじゃないかって位のスペースがある場所に出た所で、
「………うん? 上から何か来るぞ?」
リダが上を軽く指した。
見ると、かなり高くなっている天井から、なにやら巨大な物体がこちら側に降って来ている事が分かった。
しばらくして、それが巨大な魔導人形である事が分かる。
ズシィィィンッ!
巨大魔導人形は、周囲に派手な重低音を撒き散らしながら、三人の眼前に落ちて来た。
遂に私の出番か!
巨大魔導人形が落ちて来た瞬間、フラウが誰よりも意気込んで見せた。
今度は立ち位置からしてみんな同じだ。
前にリダがいる訳でもなく、後ろにユニクスがいる訳でもない。
言って見れば、横一列に三人が並んでいる。
チャンスだ! 今度こそ戦闘に参加するんだ!
「……これはなんだろうな? 鋼鉄魔導人形か?」
思い、魔導式を展開しようとしていた所で、リダがコンコンと、軽く巨大魔導人形の足あたりを叩いていた。
何で、そんなに呑気な行動が取れるんだと、フラウは素朴な疑問を抱く。
他方のユニクスも能天気に巨大魔導人形を見ていた。
「多分、リダ様の予測通りのモンスターかと」
「ああ、そうなるのか。それにしても無駄にデカいな。燃費とか悪そう」
「いや、ちょっと……」
フラウはツッコミ半分に二人へと声を描けた。
「なんで、二人してそんなに余裕たっぷりなの? てか、襲われたって文句言えないでしょ? もう少し緊張感とか持てないの!」
「……は?」
「……? フラウ? あなた、何を言ってるの?」
真面目にやれと厳めしい顔になってフラウがいる中で、リダとユニクスの二人は互いに不思議そうな顔になっていた。
二人共に、フラウを変な人間を見ている。
フラウは思いきり狼狽した。
一番、真剣に対応している筈なのに、どうしてか自分が一番おかしい人間にされている事に一抹の理不尽さを抱きつつ、それでもあっけらかんとしていた二人に、フラウの謎は大きく深まって行く。
果たしてフラウの謎はリダの口から転がって来た。
「こいつが落ちて来た瞬間、私の裏拳がこいつの顔面にヒットしてる」
「……はぇ?」
見れば、確かに魔導人間の顔面は見事に陥没していた。
「それよりは一瞬遅いけど、私の回し蹴りが、何発か入ってるわ」
ワンテンポ置いてから、ユニクスがコロコロと笑いながら、フラウに言って見せた。
……見れば、魔導人間の背中には、数発分の足跡が痛々しく刻まれていた。
そして動かない魔導人形。
ここから考えられる事は簡単だった。
落ちて来た瞬間に倒された。
「そんな滅茶苦茶なっっっ!」
フラウは思いきり喚いた!
やってる事はイチイチ凄いし、ハチャメチャ過ぎてついて行けないし、もうどんな言葉を出して良いのか分かった物ではない。
「所で、この鋼鉄魔導人形は、何しに来たんだ?」
「さぁ……取り合えず、私達を倒そうとしてのでは?」
「ああ、やっぱりそうか」
ユニクスの言葉に、リダはポンと手を打って納得して見せた。
「いや、そんなの聞かなくても分かりそうでしょ!」
「まぁ、そうなんだけどさぁ……なんてか、さ? 出て来ていきなり機能停止してたからさぁ……」
「そうですね。まさか、いきなり動かなくなるのは、私も予想外でした」
自分らで勝手にやっといて今更何を言ってるんだよと、フラウは心の底から言ってやりたかった。
「まぁ、いいや。じゃ……取り合えず」
言うなり、リダは全く動かない魔導人形に向かって右手を向けた。
同時に頭の中で魔導式を紡いで行く。
「くたばれ」
超炎熱爆破魔法!
ドォォォォォォォンッッッ!
魔導人形は、ド派手に爆発した。
この魔法はフラウも何回かリダが使っているのを見ている超魔法。
そして、フラウも何回か練習してるけど、全然出来ない超魔法。
「……はぁ」
フラウは思わず吐息を口から漏らす。
もう……本当、次元が違う。
違いすぎて、頭がおかしくなる。
超炎熱爆破魔法を喰らった魔導人形は、その一撃で跡形もなく消しとんでいた。
「よし、終わったな。次だ次」
「そうですね……それにしても、私達の油断を誘っての事かも知れませんが、レベルが低いと言いますか……その、余り強くはない相手ばかりで、少し困惑してます」
いや、私はアンタの台詞に困惑してるよ……と、フラウは真剣な顔で言ったユニクスの台詞にツッコミを入れていた。




