【14】
リダが手を虚空に向けた直後、ガーゴイルから弓矢と火球魔法がやって来る。
そして、その攻撃をかわして態勢を悪くした所をすかさず追撃してやろうと、槍を持ったガーゴイルが自分の武器を構えていた。
リダの魔法が三体のガーゴイルに炸裂したのはこの直後だった。
断罪の爆雷!
カッッ!
ドォォォォォォンッッ!
想像を絶する巨大な稲妻が三体のガーゴイルを直撃して、大爆発を起こした。
「……流石はリダ様、やることが派手ですね」
呟いたユニクスは思う。
ここが街中じゃなくて良かった。
三体のガーゴイルは一瞬で跡形もなく消え去る。
ついでに攻撃して来た弓と火球魔法は、リダの眼前にやって来た所で消滅していた。
リダの周囲には、戦闘が開始されると見えない壁の様な物が自然と発生し、一定の攻撃を全て無効にしてしまうのである。
軽くチートだ。
「よし、片付いたな。次に行こう」
「……」
あっけらかんと答え、上に続くスロープを歩き出そうとするリダに、フラウは無言だ。
リダは眉を捻った。
「なんだよ。今度はちゃんと一緒に戦ってやってるだろう?」
何が不満なんだと言いたそうなリダに、フラウはため息を吐いて……そして言った。
「本当、リダが本気出すと、私達の戦うトコないんだよね……はぁ、どうやったらリダみたいな人になれるんだろうって、ちょっと本気で考えちゃったよ」
そして出た答え。
どうやっても無理。
……吐息しか出なくなった。
正確に言うと、何年も精一杯努力して、初めて足元が見えるかどうかと言う感じだった。
しかし、その数年でリダが更なる高みに行ってしまったのなら、もうフラウは追い付ける自信がない。
「うーん……ま、あれだ。私も似た様な経験がある」
「みかんさんの話?」
「それだ……で、今の私がいる」
リダは快活に微笑む。
「……なるほど」
この時、フラウは思った。
私は私なのだ、と。
当時のリダはどうだったのかなど知らないが、きっと今のフラウの様に、越えられない壁の様な存在がみかんであり、頑張っても無理なんじゃないかと思える相手でもあった。
しかし、リダはそれを無理とは思わなかった。
あるいは無理だと思ったかも知れないが、それでも自分なりにあがいてやろうと精一杯努力した。
その結果が今のリダなのだ。
無敵の会長として存在する、今のリダなのだ。
そんなリダは、良くフラウにこう言っている。
やる前から諦めるんじゃないよ!……と。
また、そう言われてる気がした。
「リダはリダで苦労したんだね」
「ああ、もちろんさ。伊達や酔狂でお前らに忠告をしてる訳じゃない。私なりの経験から、そう言ってるんだ」
やる前から諦めるな、と。
「……そうだね」
フラウは短く頷いてから笑った。
なんだが、少しだけ前向きになれそうな……そんな気持ちになった。
▲△○△▲
他方、その頃。
ガーゴイルとの戦闘を鮮やかにスルーした関係で、結果的に先行組となっていたみかん達三人は、途中数匹の大鷲に襲われるが、特に問題もなく蹴散らしつつ、上へと進んで行く。
ひたすらスロープを登って行くと、かなり広いエリアに出た。
相変わらず葉っぱの様な床だが、歩いている感覚はただの床にしか感じない。
これがダンジョンではなかったら、違和感しかないだろう。
見る限り、葉っぱで出来た床が一面に広がっているだけの場所にしか見えなかった。
それ以外と言えば、中央にポツンとある宝箱くらいだろうか?
「おおおっ!」
ういういの瞳が光る。
相変わらず、宝箱を見るや一直線に全力で走るういういの姿があった。
きっと、この性格は死ぬまで治らないのだろう。
もの凄い勢いで宝箱に近付き、極々当然の様に開けた。
「……ん?」
宝箱は空だった。
……否、違う。
その瞬間、宝箱から煙が上がる。
モクモクと上がった煙は三人の頭上で固まり、
『あっはっは~! バカな冒険者め!』
と、嘲笑う感じの声音を放って見せた。
その瞬間、みかんとシズの二人が心外を顔に浮かべる。
「失礼ですね! バカはういういさんだけです!」
「う! みかんさんの言う通り!」
「うるさいよっ!」
二人とも怒った顔でういういを指差しながら言い、ういういが即座に喚いてみせた。
そうこうしている内に、煙は何か得体の知れない者へと変化して行く。
そうして具現化した者は、身体がライオンで頭が鷹で背中に羽があって、尻尾が蛇になってる化け物だった。
合成獣だった。




