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こうして私は無双する・みかんVer  作者: まるたん
最下級の冒険者であっても、最頂点の冒険者とパーティを組む事だってある
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【9】

 森になっているダンジョンを、六人は軽くマップを取りながら進んで行く。

 途中、トレントと呼ばれる木の化け物が何体か出現したが、先行するユニクスによってアッサリ沈んでいた。


 その後、ういういがニコニコにっこりと剥ぎ取りしてたら、シズのゲンコツが落ちていた。


「う~! 人の獲物を横取りしない!」


「いった! 良いじゃん! 同じパーティなんだからさぁ!」


 ある意味でいつも通りの親子喧嘩が勃発していた所で……気付く。


「……あら?」


 先頭を歩くユニクスは少し意外な顔になった。

 ちゃんと前を進んでいた筈だと言うのに、最初に見た場所と同じ所に戻って来てしまったからだ。


「……おかしいわねぇ」


 なんとも不思議そうに小首を傾げるユニクス。


「どうしたの? ユニクスお姉」


「うーん……それが、さっきと同じ道に戻って来てしまったみたいで……」


「……はい?」


 フラウは身体でもホワイ? って感じの態度を取った。

 実際問題、普通に考えたら前に進んでいた筈が、元に戻る事などあり得ない。


 気づいたら違う方角に進んでいたのならまだ分かるのだが、気づいたら元の位置に戻ると言うのは、いささか不自然だ。


「これがリダの言う……常識を捨てないと行けない事、なのかな?」


 う~ん……と、フラウは悩んでみた。

 そんな二人を前に、リダは穏やかに微笑んでいた。

 微笑んでいるだけだった。

 つまり、答えを見つけていても敢えて言わないのだ。


 意地悪に見えるが、先ほども述べた通り、こうやって自分の手で悩んで苦労して踏破クリアしないと、意味がないからである。


「ほむぅ~」


 他方のみかんも悩んでいた。


「うん? お前も分からないのか?」


「いや~。多分、分かった~……けど、リダと同じ理由かな~?」


「そっか」


 みかんの言葉にリダはニッと笑う。


「なんだよ、みかん。分かったんなら、サッサと進もうぜ? カオス・ドラゴンの封印が掛かってるんだからさ」


 そこでういういがひょっこりと顔を見せた。

 直後、シズが厳めしい顔でういういの首根っこを捕まえる。


「う! フラウさんとユニクスさんは、まだダンジョンに慣れてない。どの道、次のダンジョンが解放されるのは三日後なんだから、ここは少しでもダンジョンに慣れさせるべき」


 そこから、シズは更に厳しい顔になった。


「……と、言うか、ういういはここの謎は解けたのか?……まずはお前も自力で解いてみろ」


「……じゃあ、さ?」


 ういういはつまらない顔になってシズに尋ねた。


「母さんは、分かったの? ここの謎」


「う?」


 シズは押し黙った。

 ちょっとだけ、額から汗が出た。

 明らかに分かってない顔だった。


 しばらくして、


「ううぅぅ~」


 シズはいつもの様に唸った。

 もう、なんか……誤魔化している様にしか見えない。


 だが、しかし。


「う~!」


 そこから一分程度唸っていたシズが、いきなり前触れなく瞳をキュピ~ン☆ とさせて叫んだ。


「わかった~」

 

「まじかっ!」


 ういういは驚いた。

 どうやら、う~う~唸っていたのは、彼女なりの精神統一もかねているらしい。

 ここまで来るとシズの神秘である。


「カイザー・トレントだ、う~!」


「? なんだそりゃ?」


「う? う~」


 不思議そうな顔になっていたういういに、そこでシズはちょっと言い淀む。


「う! ヒントを私はやったんだ。後は自分で考えてみろ」


「……なんだよ、それ」


 ういういは少し面食らった。

 しかし、カイザートレントと言うモンスターは、密かに一度だけクエストの討伐対象として戦った記憶があった。


 それだけに、どんなモンスターであるのかは分かっていた。


「確か、大樹の様なバカでっかい木だった様な……」


 討伐クエを受注してた当時の事を思い出す様に口を動かすういうい。


「大きな木……ですか」


 二人の会話を耳にしていたユニクスは、そこでハッとなる。

 先頭を歩いていたからと言うのもあるのだが……確かに見たのだ。


「ここがスタート地点だったとするのなら、ここから徒歩五分も歩くと、凄く大きな木が見える場所に到着する筈です」


「ああ、そうか……なるほど、そうなるのか」


 ユニクスの言葉を耳にして、ういういは納得混じりの声音を吐き出してみせた。


「……? 分かったの?」


 未だ、今一つ謎が解けてないフラウは、晴れやかな顔のういういに聞いてみた。


 ういういは即座に頷く。


「ああ、分かったぜ? この森のカラクリがな?」


 愛想良くウインクしてみせる。


「行ってみましょうか」


 程なくして、淑やかに促すユニクスを先頭に、再び一行は前を歩き始めた。

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