【4】
「なんだよ! 私がここにいるのが、そんなにおかしいってのか?」
「うん、おかしい」
「おかしい、う~」
「二人して即答して来るのかよっ!」
リダはガーンって顔になった。
「えぇと……お久しぶりです」
少ししてから、ういういがリダへと口を開く。
何やら、おずおずとした態度だった。
「ああ、シズの娘さんだったか? 久しぶりだな! 元気だったか?」
「はい、元気でした」
「そうかそうか! それは良かった」
恐縮気味のういういに、リダはカラカラと高笑い。
「ういういさん、何か悪い物でも食べたです?」
やたら縮こまっているういういを見て、みかんは未知との遭遇を果たした人間みたいな顔をしていた。
「あほか! 相手は会長だぞ! 流石にそれなりの態度になるわ!」
真剣に驚いていたみかんに、ういういは素早く叫んた。
直後にリダの陽気な声がういういに転がって来る。
「あ~。良いぞ良いぞ。そう言うの気にしないから。適当に普段の言葉使え。そっちのが私の性にあってる」
「いや、しかし……」
「じゃ、命令だ。普通の言葉を使え」
どんな命令だよ! と、ういういは胸中でのみ叫んだ。
しかし、それが命令だと言われたらやむを得ない。
挙げ句酔っていたからなのか、気持ち悪いくらいに目が座っていた。
「えぇ……と。わ、わかったよ」
恐怖と緊張で頭がおかしくなりそうだったういういだったが、なんとか気を確かに持った状態で声を吐き出した。
リダの顔がニッと明るくなる。
さっきまで、どこかのレディースみたいな顔していたのが、まるで嘘の様だ。
「分かれば良いんだ! よし! じゃあ、一緒に飲もうぜ~! ここの酒、最高だぞ? それだけじゃない、クシマの肉ってのがあるんだが、初めて食べた時……あたしゃ、目から涙出そうだったね!」
リダはちょっと感動する感じで三人へと説明していた。
酔っていたのもあるが、ことごとくリアクションがオーバーになっていた。
「う! その肉は超オススメする。クシマ平原にいるドウドウ鳥と言う大きな飛べない鳥がいる~。この鳥の肉はクシマでしか食べれない絶品食材! う~!」
そこでシズがみかんに答えてみせた。
ガチョウの様な見た目の大きな野鳥が、コーリヤマから徒歩二日程度の所にあるクシマ平原と呼ばれる広い平原に生息していた。
地平線の彼方まで広がる雄大な平原は、自然豊かな野鳥の楽園でもある。
そこで育ったドウドウ鳥の肉は脂がたっぷり乗っていて、まさに絶品なのであった。
「他にも地酒で米のワインがある。う~」
「そうそう! コイツがなぁ……もう、たまらなく旨い! 五臓六腑に染み渡る!」
シズが地元特産品の紹介をしていた所で、リダがハイテンションで激しく同意して来た。
きっと、心の底からの同意だったのだろう。
オーバーリアクションのせいで、ちょっと芝居掛かっている様にも見えるが、そこはきっとお酒のマジックなのだと思いたい。
「リダ、いつまで通路にいる気なの?」
ほどなくして、リダの後ろから金髪の少女がやって来る。
胸元がクシマ平原のフラウだった。
「ああ、悪いなフラウ! なんか懐かしい仲間にバッタリ会ったモンだからさ~。話しが弾んじゃって!」
フラウの呼び掛けにリダは誤魔化し半分に笑いながら謝ってみせた。
そこから、リダはフラウに軽く手を添える感じの仕草を見せてから、三人に彼女を紹介してみせた。
「色々と事情があって、学生してるんだが……その学園で隣のクラスに所属してる私の友達だ。名前はフラウ・フーリ・ペッタン子」
「ペッタン子いらないからっっ!」
フラウは瞬間沸騰湯沸し器も顔負けの勢いで大きく怒ってみせた。
「はじめまして! フラウ・フーリです! ペッタン子なんて名前は綺麗に忘れてください!」
フラウは礼儀正しく三人へと挨拶してみせた。
取り合えず、ペッタン子は忘れてほしいと切実に祈った。
「大丈夫ですよ~。そんな子供染みた真似しませんから~」
相手がリダの知人なら、ここで確実にいじって来ると思われたが、みかんは笑みで思慮のある台詞を言ってきた。
フラウはホッと胸を撫で下ろした。
「そう言えば、ユニクスは?」
リダはハタと気づく。
見ると、これまで座っていた席にユニクスの姿がいなかった。
「ああ、ユニクスお姉なら、みんなで座れる席がないか、スタッフの人に聞きに行きましたよ?」
「まじか! スゴい気が利くじゃないか! やっぱりフラウとは色々と違うな! 主に胸が!」
「まだ言うか、アンタわっっっ!」
カラカラ笑うリダに、フラウは再び怒りを満面に現して見せるのだった。




