【13】
ざまぁみろ!
……そうと、ういういが晴れやかな顔になっていた所で通路の終点が見えてきた。
下手なウォーター・スライダーよりも早く通路を進んでいた三人はそのままの勢いで通路の外に飛んでみせた。
……そう。
飛んだのだ。
通路から抜けた先は見事な断崖絶壁だった。
「………へ?」
「う?」
「お、およ~」
思わず、スローモーション状態で空中に放り出された三人は、すぐに視点を下に向けた。
その先にあったのは、底がまるで見えない闇色の何かだった。
「うわぁぁぁっ!」
「う~~~~っ!」
「出でよ、魔法の絨毯!」
ういういとシズの悲鳴が周囲に響く中、咄嗟にみかんは自分の異空間にあるアイテムボックスから魔法の絨毯を召喚して見せた。
その瞬間、ういういとシズの真下に、
ぽんっ!
軽い爆発にも似た音と同時に白い煙があがり、空中に絨毯が出現する。
直後、ういういが魔法の絨毯にダイブする形で飛び込み、
「ぶはっ!」
一瞬後、ダイブしたういういに覆い被さる形でシズの落ちて来た。
「う~~~っ!」
「ぐぇっ!」
シズに押し潰された形になったういういは、なんかヒキガエル見たいな声を出した。
「何すんだよ、バカ親っ!」
「う~! 親に向かってバカとはなんだ、バカとはっ!」
まるで呼吸をするかの様に自然な流れで喧嘩を始める二人がいた所で、みかんが絨毯の真下辺りからゆっくり上がって来る。
浮遊魔法を使ったみかんは、絨毯の上にいる二人の前辺りでフワフワ飛んでいた。
「あ、危なかったです~。流石に今のはちょっと予測外だった~」
「……だよな。私も本気で今回は死んだと思ったよ、こいつのせいで」
ういういはオデコに怒りマークを作りながらシズを指差した。
「う~! この程度ならみかんさんがなんとかしてくれると思った~! 私の予測は間違っていない~!」
飽くまでも自分は悪くないと言い張っていた。
ういういとシズの間に、またしても険悪なムードが漂う。
この調子だと、絨毯の上で第二次親子大戦が勃発しそうな勢いだった。
「今は喧嘩してる場合じゃないでしょ~」
みかんは軽く呆れてしまう。
そこから周囲を軽く見渡す。
どうやら、縦に広い鍾乳洞の様だ。
良く見ると、どこかの通路っぽい四角の形をしたトンネルの様な物が多数存在していた。
「ほむぅ~」
参った。
正直、数がありすぎだった。
一つ一つ確かめていたら陽が暮れてしまう。
どうした物かと考えていた時、一つだけ確実に違う入り口が存在していた事に気付く。
それは、他のトンネル状態とは違い、確実に入り口のドアだった。
「あれかな~?」
思って、みかんはレピテーション状態のまま扉に近づいて見せる。
「……ん? 何処に行く気だ? みかん」
「う?」
扉に近づいてるみかんに気づいたういういとシズの二人も、視線をみかんの方に向けた。
すると、魔法の絨毯が勝手にみかんの方へと動き出す。
「うぁ! な、これ動くのか?」
「う~。この絨毯は、主がいない場合だと乗ってる人の意思で操縦出来る。エネルギー源はみかんさんの魔力である事に変わりはないけど、動かせないわけじゃない」
「ほ~」
ういういは軽く納得して見せた。
便利と言えば便利だ。
ふよふよとゆっくり飛ぶ絨毯は、同じ程度の勢いで浮遊するみかんの後ろを飛んでみせる。
少ししてみかんの真後ろ辺りにまでやって来た所で、みかんが扉を開けてみせた。
ガチャッ……
「ほむぅ~」
「……ここは?」
「う?」
扉の先は、どこかの神殿の様な場所だった。
大理石っぽい床があり、三人は床に足を降ろしてみせる。
「また、変なの踏むなよ」
「私はそこまで間抜けじゃない」
割りと本気で言っていたういういに、シズがぷんすか怒って見せた。
相変わらず、仲が良いのか悪いのか。
室内は、かなり広かった。
そして、かなり立派でもある。
ここが鍾乳洞だった事を忘れてしまう位だ。
見れば、大きな噴水や彫像などもある。
噴水の回りには花壇があり、軽く蝶々の様な物まで飛んでいた。
いきなり別の場所に空間転移して来た気分だ。
「なんか、地味にのどかな場所だな」
閑散とした、人の気配がゼロと言う状態でなかったのなら、ここがダンジョンの中である事すら忘れてしまいそうである。




