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こうして私は無双する・みかんVer  作者: まるたん
最下級の冒険者であっても、決して最弱であるとは限らない
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【10】

「剣聖……ここは私にやらせて頂けませんか?」


 言ったのはバルクだ。

 そこからワンテンポ置く形で、マサトとキウイの二人も続く形で口を開く。


「これまで、私達は何もしておりません。ただ同行していたに過ぎない」


 やや申し訳ない口調のキウイがいた所で、マサトがシズに近づいて言う。


「そうですね。ういういさんの戦いを見てるとランクに縛られる必要はないのかも知れません………ですが、我々も上位ランクとしての意地があるのです」


 そんな二人は共にA+ランクだった。

 シズから比べたら見劣りどころか霞んでしまうランクではあったが、世間で言うのなら冒険者のエキスパートレベルだ。


 失敗が許されない今回のカオス・ドラゴン封印作戦に呼ばれたのも、伊達や酔狂ではないのだ。


「う? まぁ、死なないのなら良いけど、この先の相手が前と同じなら……う~」


 シズはそこで少し悩んでしまう。

 決して、バルク達を軽く見ているわけではないのだが……。


「結構な確率で死ぬかも? う~」


「………」


 存外、本気で言うシズに、バルクは無言になってしまった。

 ここに至るまで、戦闘に参加しなかった為、自分でも無意識に舐めていたのかも知れない。

 だが、思えばこの迷宮にいたモンスターのレベルは密かに高かった。


 アンデットでも上位に位置する様なモンスターが徒党を組む形で自分達に襲い掛かっていたのだ。

 しかし、それ以上の力で簡単に進んでしまっていた為、気づけなかったのである。


 このダンジョンの難易度に、だ。


「チョッコに伝言で言ってたから、分かってるとは思う……けれど、改めて直接言う」


 シズは言い、真剣な顔になった。


「足手まといになるなら、私は助けないぞ?」


「……肝に命じます」


 冷ややかに……鋭い眼光を厳しく向けて来たシズの言葉に、バルクは短く頷いた。

 そこからドアに向かい、気合いを入れて開けて見せた。


 バンッ!


 勢い良く開いた先にあったのは、広い煉瓦レンガ造りの部屋だった。


「……これは?」


 まるで、違うエリアに空間転移して来たかの様に、周囲が一変する。

 少し遅れて、キウイとマサトの二人も部屋の中にやって来た。


「まるで魔法の迷宮だな」


「ああ……まさかコーリヤマの街にこんな迷宮が隠されていたなんて」


 少し驚くキウイと苦笑混じりのマサトの二人がやって来た所で、


 ヒュゥゥゥ………


 木枯らしの様な風が吹いた。

 同時に砂ぼこりの様な物が舞い始める。


「……なんだ?」


 今一つ、要領を得ない顔になっていた頃、中央に風が集まると……少しずつ風が何かに変身して行くのが分かった。

 徐々に実体化して行くそれは、巨大鎌を持ち、黒いローブの様な物を身に纏った……骸骨だった。


「ボスのお出ましか」


 バルクは剣を抜いて戦闘態勢に入った。

 ほどなくして、他の二人も構えて見せる。


『うぬらに用はない………』 

  

 程なくして、実体化した骸骨は呟く様に言う。

 まるで塵も芥の興味もないと言うばかりの声音だった。


「お前に用がなくても、こっちにはあるんだよ!」


 マサトは叫び、魔導式を頭の中に紡いで行く。


 陽炎魔法フレア


 疑似太陽の光が骸骨を襲う……筈だった。

 しかし、陽炎の炎は現れてすぐに掻き消されてしまう。


『去れ。貴様ら如き小わっぱなど、相手をするまでもないわ』


 骸骨はつまらなそうな言霊を三人に飛ばす。

 明らかに格が違う。

 だが、だからと言っておいそれと退散する訳にも行かない。


「でやぁっ!」


 バルクは両手に持った両手剣ツーハンドソードを素早く振り抜く。

 鋭い一撃にも見えたバルクの斬撃は、しかし……空しく虚空を斬るだけに留まった。


『分からぬかよ……愚かのよ………』


 もはや、相手をするのも面倒だと言わんばかりの言霊を飛ばして来た骸骨は、両手の大釜を振りかざした。


 すると鎌から怨念の塊じみた物が三つ生まれる。

 怨念の塊じみた物は、不気味な悲鳴をあげつつ、バルク達三人の元に放たれた。


 刹那。


 聖光魔法ホーリーライト


 みかんの魔法が発動して、三つの怨念じみた塊が消え去る。

 

「う~………だから言ったのに」


 一瞬後、不機嫌な顔のまま疾走するシズの姿が見えた。


 そこからは早かった。

 否、違う。

 早すぎて、分からなかった。


 ザンッッッッ!  

 

『なん………だ……と?』


 カランッ!


 骸骨の両手から大釜が落ち、乾いた音が周囲に響いた。

 結局の所、バルク達には全く見えないのだが、起こっている結末だけは肉眼で確認する事が出来る。


 そしてバルクを含めた三人は確信する。


 剣聖と言う存在は神にも等しいと。

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