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【2】

 当然、長い旅を経てここまで来ているのだから、うっかり寝こけてしまってもなんら不思議な事ではないのだが、だ?


「今日はみかんが先に起きてる番だろ! ちゃっかり寝てんじゃないよ!」


 黒髪の少女は眉根を大きくつり上げて叫んだ。

 モンスターが当たり前の様に存在しているこの世界において、街以外の場所でキャンプをする事は、それだけで大きな冒険でもある。

 夜行性の獰猛なモンスターに、いつ狙われるか分からないからだ。


 故に街の外でキャンプを張る場合、細心の注意と警戒を怠ってはならないのだ。

 

 この関係上、二人で街の外を旅する時はどちらかが交互に起きて、数時間単位で交代しながら寝る事が基本となる。

 どちらがどの順番で先に寝たりキャンプを見張っていたりするのかはその時で違うのだが、大体は日替わりだ。


 例えば、昨日が黒髪の少女が先であるのなら、次は茜髪の少女が先に起きる……と、こんな感じだ。

 この上で行くと、本日の当番は茜髪の少女になるわけだった。


 ところがどうだろう?

 本日当番だった筈の茜髪の少女はしっかりちゃっかり先に寝ているではないか。


「おいコラッ! 私だって本当は寝たいんだぞ! てか、もう寝ようとしてたんだぞ? これじゃ私が寝れないじゃないか! 起きろぉぉぉっ!」


 黒髪の少女は、これでもかと言うばかりの喚き声で茜髪の少女を揺り起こそうとした。

 これが元で、周囲にいた夜行性の獰猛なモンスターがキャンプにやって来たりもしたのだが、余談である。





 この世界には、数々の神秘がたくさん眠っている。

 それは世界の不思議であったり、一人の学者がその生涯を費やしても解けない謎だったり、歴史の中に埋もれた太古の秘宝であったり。


 とにかく、その数はまさに星の数程存在する。

 

 これら太古の秘宝や遺跡、大昔から存在する塔や洞窟などを探し回り、訪ね……そして世界の神秘や財宝を手にしてやろうとする命知らずの冒険者達の事を、この世界ではこう呼ばれていた。


 トレジャーハンターと。


 一般的にトレジャーハンターと言うのは遺跡荒しを意味している。

 墓場泥棒でも可だ。

 

 この物語を読んでいるみんなの世界であれば、ただの火事場泥棒や遺跡荒しになってしまう事だろう。

 実際、国の定めた重要文化財に手を出せば御用となってしまう場合もあるし、そう言った代物を盗んで行くトレジャーハンターも少なくはない。


 だが、違う。


 まだ、誰も見た事のない物、世界に点在するだろう神秘の謎。

 そして、復活するダンジョン。

 

 手にいれても、誰にも咎められないだろうお宝が、山の様に眠っているのだ。

 これら、中々手に入らない貴重なお宝を求めて、命懸けのクエストをこなして行くのが、今回の二人であり、この世界におけるトレジャーハンターと言う存在概念でもある。


 二人の名前は、黒髪の少女をういういと言う。


 長い黒い髪を背中まで伸ばし、それを途中で結んでいる。

 見た目はハイティーンなのだが、実は二十三歳。

 恐らく、両頬についている真っ赤なリンゴほっぺが彼女の見た目年齢を大きく下げている気もするのだが、当人は気に入ってる様子だ。


 他方の茜髪の少女の名前はみかん。


 こちらも見た目はハイティーンだが、実際は二十歳を越えている。

 実年齢は不詳だ。

 自称二十歳なのだが、ういういが知る限り数年は二十歳を自称している。

 つまり万年二十歳なのだ。

 当然、そんな人間など世の中に存在しない為、実際の年齢は不詳と言う事になる。


 閑話休題。

 

 茜髪を綺麗に短くまとめ、一見するとキノコ頭にも見える感じではあるが、当人はこれがチャームポイントだと思い込んでいる。

 まぁ、本人がこれで良いのなら、それでいいのかも知れない。


 今回のお話は、この黒髪の剣士ういういと、茜髪の少女みかん……ここに、後でパーティに加わる事となるクシマ国冒険者協会・会長エリアボスのシズをいれた三人が主軸となって進む物語となる。


 コーヒー等を軽く飲みながらゆっくりとお付き合いして頂ければ、これ幸いだ。


 それでは、こうして私は無双する・みかんVerの始まり始まり~。 

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