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最下級の冒険者であっても、混沌龍へと挑む事なら出来る【18】

 ハッキリ言って意味不明だった。


 言ってる意味は分かるけど、それで何のメリットがリダやみかん、ユニクス達へと発生すると言うのか?


「あ、あのぅ……リダ様、みかんさん? 三人の内、一人と言う事は……私も入っていると言う事になりますよねぇ……?」


 ユニクスは嫌な汗を額から出しながら、リダとみかんに尋ねた。

 

「そんなの当然だろ?」


「ですねぇ~」


 リダとみかんは、当たり前を顔一面に出していた。

 ユニクスはひたすら焦った。

 彼女からすれば笑えない冗談も良い所だった。


「いやいやっ! おかしいですからね? 混沌龍を相手にわざわざ一対一で戦うとか、正気の沙汰ではありませんからね!」


「まぁ、ほら? 一般的に考えるとそうなるのかも知れないけどさ?」


「ですねぇ~? もう、今のレベルは一般的なレベルはとっくに越えてるです」


 がむしゃらに反対するユニクスに、みかんとリダは平然と当たり前の様に言って来た。

 それはアンタら二人だけだ!……そうと、即座にわめき散らしてやりたい気持ちで一杯だった。


「まぁ、待てよユニクス」

  

 そこで、リダがやんわりと笑みを作ってから、ポンとユニクスの肩を優しく叩いた。


「まだ混沌龍がユニクスを選ぶとは決まってないじゃないか」


 答え、軽くウインクするリダがいた時、


「いや、ユニクスだったか? そいつを私は選ぶ」


「……と、言う事だ。ガンガン行って来い!」


「いやぁぁぁぁっ!」


 即座にヒャッカがユニクスを選択した事でリダが素早く掌を返すと……ユニクスがムンクみたいな顔になっていた。 



「鬼っ! 悪魔っ! 人でなしぃっ!」


「元悪魔が何を言うんだよ……」


 ユニクスは瞳から滝の様な涙を流しながら叫ぶと、リダは呆れ眼でぼやきを入れた。


「今は人間ですから!」


「それなら、同胞である人間の街を守れよ」


 すかさず反論するが、一秒で論破された。


「いや、私はただのしがない勇者ですし……」


「勇者のはしくれなら、余計に守らないといけないじゃないか」


 リダは『バカなの?』と言いた気な顔になっていた。

 リダに口で勝つには、まだ修行が必要らしい。


「……どうなっても知りませんよ?」


 どうやっても正論染みた屁理屈を返されると観念したのか?

 ユニクスは不承不承ながらも肯定的な声をリダに吐き出した。


「おお、大丈夫だ。お前ならやれる。信じてるからな!」


 すると、リダは満面の笑みをユニクスに作って見せた。

 ……ちょっとだけユニクスの顔に笑みが漏れた。

 別段、下心があった訳ではない。

 純粋に、リダからの期待を受けた事が嬉しかったのだ。


「わかりました! 精一杯、力の限り戦って来ます!」


「その意気だ!」


 最後は快い返事をするユニクス。


 ……かくして。


「さっきの言葉に嘘はないだろうな?」


 混沌龍は、念を押す感じで周囲に尋ねる中、


「はい、嘘は言わないですよ~。ユニクスさんが負けたらこっちの負けって事で、好きに逃げてくれても結構です。みかん達は追わないですから」


「それで行こうか。やっぱり三人で一人をボコボコにするってのが……私の性に合わないんだよな」


 みかんとリダの二人が即座に承諾する。


 ヒャッカの顔にほんの少しだけ笑みが漏れた。

 胸中では希望の光が差し込んでいた。


 どういう風の吹き回しで、そんな事を言っているのかなど分からないが、これで勝機が俄然近くにやって来た!


 ユニクスだけであるのなら、実力で倒す事だって現実の範疇内だ。

 決して気の抜ける相手ではないが……勝てない相手でもない。


 そう考え、内心でのみほくそ笑む。


「ほじゃ~、やってみましょうか~」


 そこでみかんが、いつもの間延びした声音をユニクスとヒャッカの二人に向けた。


 この声を耳にしたヒャッカとユニクスは、一気に顔を引き締めた。


 刹那、


「はじめちゃって下さい~っ!」


 そうと答えたみかんの号令と同時に、二人が動いた。


 ドラゴン呼吸法ブレイズ


 まず、ユニクスが自己スキルを発動させ、己の能力と治癒力を上昇させて行く。

 その間に、ヒャッカは元の混沌龍へと変化していた。


 一瞬にして、三十メートル近い体長のドラゴンになって見せる。


「……これと一人で戦うとか、どう考えても理不尽過ぎる」


 ユニクスは心の底から来るだろう理不尽を思いきり噛み締めていた。

 だが、悠長に不条理を感じている暇などなかった。


 混沌龍は、その巨体を活かしてユニクスへと強烈なボディアタックを仕掛けて来る。


 避けたい所ではあるのだが、見た目とは裏腹なスピードがある上に、巨大な体躯の全てが攻撃範囲とも言える体当たりであった為、範囲が恐ろしく広く……。


「……くっ!」


 なんとかガードをする事で攻撃に対応する事しか出来なかった。

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