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こうして私は無双する・みかんVer  作者: まるたん
無名のトレジャーハンターでも一攫千金の夢くらいは見る
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【8】

「か、かったぁぁぁっ!」


 少し手が痺れた。

 流石はドラゴンの鱗と言うべきか。

 何はともあれ。


「こいつは高く売れるぜ!」


「って、早くも素材目当てなのかいっ!」


 瞳を光らせて叫んだういういに、みかんも苦笑しか出来なかった。


「てか、みかん! これ普通にやったらかなり大変だぞ! ちょっと補助魔法頼むっ!」


「了解道中膝栗毛!」


 ういういの声に素早く答えたみかんは、そこから頭の中で魔導式を構築させて行く。


 どうでも良いが、普通に了解でも良いような気がする。


 スーパー攻撃力上昇魔法オフェンスアップレベル99

 スーパー防御力上昇魔法ディフェンスアップレベル99

 スーパー身体速度上昇魔法スピードアップレベル99


 瞬間、ういういに三つの補助魔法が掛かる。


 余談だが、補助魔法は下位・上位・最上位の全三段階ある。

 それぞれ無印が下位、上位ハイが上位、超が最上位だ。

 レベルは熟練度を差し、レベルが高くなればなる程、その上昇率と効果時間が変化する。

 最大レベルは99だ。


 この上で行くと、今のみかんが掛けた魔法は、補助魔法系最上位のレベル最大。


 つまり、反則級の補助魔法だ。

 発動すれば、対象相手のステータスがおかしな水準まで超上昇する。


 この瞬間、ういういの動きが音速まで上昇した。


「いいね!」


 ういういは、みかんの近くにまでやって来て、軽くグッジョブして見せた。

 随分と余裕を見せている様に見えるが、先程の補助魔法で一気に形勢が逆転したからこその行為だ。

 簡素に言えば、これで負ける要素はない。


 ザンッッッ!


 先程まで弾かれていたのが、まるで嘘の様にアッサリと三頭竜の首が切断される。

 攻撃力が純粋に上がると、そのまま武器の威力もあがる模様である。

 ……本当に反則染みた補助魔法だ。


 そのまま一気に、超スピードで攻め立てたういういは、すぐに二番目の首を切断する。


 これで残りは一頭のみ。


 そう思った時。


 ゴウゥゥゥッッッ!


 突如として、切断された筈の首が動きだし、口から灼熱の炎を吐き出して来た。


「なっ!」


 不意をつかれたういういは、辛うじて避ける。

 同時に、これまた切断して床に落ちた筈だった二つ目の首まで動き出す。


「大した生命力だ……ったく!」


 しばらくすると、二つの首はそのまま空中を泳ぐ様にしてふわりと浮くと、胴体の周囲にやって来て、そのまま臨戦態勢になった。


 首を切断された事で、生首状態のまま虚空から攻撃して来るつもりなのだろう。


「いやぁ……マジで面倒だなこれ」


 けど、これだけ苦労するんだから、きっと素材は高いに違いない!


「頑張るかっ!」


 ういういは再び駆け出す。

 恐らく、首は斬っても同じ結果になるだけ。

 つまり、空中浮遊する竜の生首が一つ増えるだけに留まる。

 当然、そんなのは遠慮願いたい。


 ならば、確実に絶命に持って行けば良い。


「こんなトコで無駄なSPを使いたくなかったんだけどなぁ……くそ」


 ういういは舌打ち混じり。

 SPとは、スキルポイントの事だ。

 意味はそのままとなる。

 スキルを発動すると消費されるポイントだ。


 このスキルポイント。

 ういういも、並みの剣士から比較すれば話にならないレベルの数値に至るのだが……みかんの様な反則的な数値を元にすれば、笑ってしまう位に少ない。


 元々、比較する対象を間違っているレベルだが……それなりに考えて使わないと、すぐに打ち止めになってしまうと言う事だ。


 SPを回復するポーションはあるし、所持もしているのだが、お値段一本一万マール。


 つまり、お高いのだ!

 そして、守銭奴でもあるういういにとって、それはとてつもなく痛い出費でもあるのだった。


 しかし、だからと言って死んでしまっては元もこうもない。


「必殺!」

 

 ういういは気迫を込めて叫ぶ。


 その瞬間、ういういの半片手剣に激しい稲妻が宿った。


 パリパリパリィッッッ!


 雷神十字斬り!


 刹那、バスタードソードが大槍よりも大きく長い稲妻に覆われる。

 同時に三頭竜の胴体へと音速レベルで超接近したういういは、その大槍の様な剣を十字に振り抜く。


 一瞬だった。


 バリバリバリィィィィッ!


 激しいスパーク音と同時に、三頭竜の胴体に、大きな稲妻の十字傷が生まれた。

 更にその直後。


 ドォォォォォォンッ!


 十字傷が避雷針になっていたかの様に、巨大ないかずちが三頭竜を襲った。


「はんっ! 大した事ないねぇ!」


 とても高飛車に叫ぶ。


「みかんの補助魔法なかったら、ひ~ひ~言ってた癖にねぇ」


 みかんは苦笑した。


「なんか言ったか?」


「いいえ、なにも」


 そこから少しジト目のういういに睨まれたが、みかんは笑顔で顔を横に振っていた。

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