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万能の爺  作者: ヤブドラゴン
2/7

ヨッホー・パレパレ

「しかし実物を見るのは初めてだが遭難者ってのはホントに珍妙な格好をしてるな。」



ヴォイツェフはヤブと善を舐め回すように値踏みする。

確かに靴から髪型までこちらの世界ともと居た世界ではかけ離れているがそうマジマジと見つめられて気分が良い訳がない。



「装備も薄い布切れだ」



バフーンがヤブの服の袖を摘まみ驚嘆の声を上げる。



「服のこと装備って呼ぶか…俺らのいたとこじゃ魔物なんか出ないから重い鎧やら剣なんかは必要ないんだよ。」



「そうなんですか…ならしばらくは不用意に街外を出歩かない方がいいですね…この国は魔物も賊も居て危険だらけですから。」



エルエスは曇った笑顔で忠告する。

切れ目兄弟と違って優しい言葉をかけてくれる彼女につい表情が弛んでしまうが、それに気付いたヴォイツェフとバフーンはすかさずヤブに小声で耳打ちした。



「俺達の妹に嫌らしい顔を向けるなよ」



別に彼女をどうこうするつもりなど無かったが、この3人が兄妹だということには驚きだ。

兄二人は分かりやすいがまさかエルエスが妹だとは。

妹に似ず可愛くない兄貴達…

というより兄貴に似ず可愛い妹とする方が正しいか…

いずれにせよ全く似ていない。



「そんな気無いっての。」



「どうだか…エルエスは俺達に似ず可愛いからな。お前みたいな悪漢がすぐに寄ってくるんだよ」



「人をならず者みたいに言うな、こう見えても俺の世界ではかなり真面目に生きてきた部類なんだぞ。」



「目は口ほどに物を言う。お前の死んだ目を見る限りとてもそうは見えないな。犯罪者予備軍の目をしている。」



「言いたい放題だな…心配しないでも街に案内してくれれば何処へなりと消え去るから」



この状況では自分の評価を改めさせるのは不可能だと判断して本来の目的に専念してもらおうと話を変える…



「案内するにしても、山道がかなり続く…そちらの御老人には……」



俺の背後で後ろ手を組ながら静かに追従する善さんを見てバフーンが言葉を詰まらせる



「心配しなくても善さんは俺より体力があるから大丈夫だ。そのせいでこっちも今までさんざん苦労させられてきた」



「それはお前が脆弱すぎるだけじゃないか?」



「うっせーな!否定はしないけどムカつくわ!」



「二人ともケンカしないで、ほら街が見えてきた。」



エルエスが指差す方向に目を向けると、遠くの森の中に巨大な時計塔が見えた。

時計塔を中心に結構な数の民家やら店やらが立ち並んでいる。

思っていたより巨大な街のようだった



「…でかいな。」



善さんが代弁するように小さく呟く。



「あれが俺たちが滞在している…ヨッホー・パレパレタウンだ周囲に強力な魔物はいないし、駆け出しにはうってつけの街だな。」



「何だよそのふざけ倒した名前は…つーか駆け出しの街にいるってことはあんたらも駆け出しなのか?」



「ううん、駆け出しなのは私だけで、お兄ちゃん達は私に付き合ってくれてるの。ちょうどお兄ちゃん達がパレパレタウンに着いたとき、森の小村で爆発が起きたから調査してほしいって頼まれて…」



「エルエスは街で待ってろって言ってるのに、こいつらが聞かなくてな。」



バフーンは呆れ顔で首を振った。

エルエスが付いていきたいと言い出すのは想像できるがヴォイツェフがそれに賛同するというのはよくわからない。

わざわざ危険な森に未熟な妹を連れ出すような兄には見えないが…



「愚かな弟だなバフーン…血を分けた可愛い妹の願いを無下にするなんて兄失格だ。死ね」



「この通り、妹が好きすぎて優先順位が妹の安全より妹の願いの方が上になってしまっている。」



「薄々勘づいてはいたけど想像よりかなり拗らせた奴なんだな。」



「遭難者は皆奇妙な知恵を持っていると聞いたことがある。何とかならないものか?」



そんな力があれば俺も善さんにその能力を発揮している 。



「まぁ、上手く付き合っていくしかないよな」



無駄話に花を咲かせている間にもう街の目の前まで来ていた。

なんとなくイメージしていたのは城壁、門番、通行証という堅苦しい街だったが…



「本当に森の中に急に街が現れたという表現しか思い付かねぇな。」



実際目の前には城壁もなく門番すらいない。

というか門すらもない街だった。

魔物が出るという森の横だというのにいきなり民家が建ち並んでいて、あろうことか子供達が駆け回っている。



「ダメ出しするわけじゃないけどセキュリティ甘過ぎじゃね?」



「セキュリティ…?」



エルエスが首を傾げる。

日本語で話せるからすっかり横文字も大丈夫だと思ったが、どうやらダメだったらしい。

ちょっとした日常会話にも気を払わないといけないようだ。



「警備だよ警備、それなりにデカい街みたいだけど、こんなザルでいいのか?この森って魔物も出るんだろ?」



「それなら心配いらん、この街は大聖霊ヨッホー・バレバレの庇護の下存在しているからな。周囲に張り巡らされた結界を魔物が越えることはできない。」



「この街のふざけた名前の由来はそこか…」



「大賢者ヨッホー・パレパレ様と契約を交わしたのが大聖霊ヨッホー・バレバレだ。」



「確かに…そんな世にも珍しいちんちくりんな名前の二人が出会ったら契約するしかないわな」



「忠告しておくがヨッホー・パレパレ様は気難しい御方だ。本人の前でちんちくりんだなどと口にすればその瞬間にハエのように燃やし尽くされても不思議ではない。注意しろよ」



「俺からすればハエを燃やし尽くす時点ですでに不思議だよ…」




これが常識感のズレなのかヨッホー・パレパレが飛び抜けているだけなのかはわからないが…



「とにかく、案内助かったよ。後はこっちで何とかしてみる。」



「あぁ、俺たちは商業区にある『噛み殺し祭り屋』って宿屋にいるから、何か困ったら頼ってきてくれ。」



「宿屋の名前物騒すぎだろ!行く自信ねーよ!」



三人は高笑いしながらまちの喧騒に消えていった。

残された善さんと俺はしばらく辺りを見回す。

密集した民家に張り巡らされたロープには洗濯物が吊るされている。

この光景は元居た世界のヨーロッパに近い。

違いがあるとすればその他すべてだ。



「歩いてる人間の服装がなぁ…」



鎧を着ていたりあっちの世界で言うところの…

「ポンチョ?」

一枚の布に穴を開けて上から被る…なんとも簡易な服装だ。



「金はどうするんや」



不意に善がまともな質問をして籔の眉毛がつり上がる。

会話など今までほとんど成り立たなかった…人の話など単語単位でしか理解する様子も無かった善が長い会話を静かに聞いて疑問を投げ掛けるなんてことは…



「財布に少しならあるけど…」



そこで我に帰る。



よく考えれば全く違う世界に飛ばされて右も左も分からない現状。

向こうの通貨がこっちで使えるとは限らない…いや、使えるわけがない。



隣の果物屋で買い物をしている夫婦の手元を盗み見る。



予想通り見たことのない通貨で物がやりとりされていた。



絶望。



吹き抜ける風が運んできたようにその言葉が頭を過る。



「善さんやばい!俺たち一文無しだ!どうしよう!」



「わからん」



「っ…いや、そりゃそうか…俺だってわからん。」



こうなった以上どうにか働いて稼ぐしかない…

しかしなにも知らない世界に一文無し。

そんなボンクラにもできる仕事…

向こうの世界にはそんなもの早々見つかるものではないが、何もかもが違うこの世界なら!!



「…何を言っとるかわからん。」



「そりゃそうだよな…んな仕事なんか無いよな…」



あれから数時間。

この世界の情報を得るため方々を駆け回った。

具体的には接客業を営んでいる店々に世間話を聞きに行くという原始的かつ非効率なやり方だ。



都合よく図書館のようなこの世界の概要を知れる施設はここにはないらしい。

しかしながら、そんなやり方でも多少の情報は手に入れることができた。



1つは服屋の店員が教えてくれたこの世界に置ける生物の区別。



大まかに分けると…『人族』とその敵である『魔族』の2つ

人族と一括りに言ってもこれまでの認識とは少し意味合いが違う。



例えば、体が獣と混ざった獣人と呼ばれる種族と籔やヴォイツェフ達のようなプレーン人間の種族は元の世界で言えば白人と黒人のような関係で、その見た目の違いゆえに衝突をすることもある間柄だ。



獣人以外にも魚人やボトムと呼ばれる移民やなんやかんやと、住んでる地域や見た目で細かく別れているらしい。



2つ目は服屋の店員に聞いたその魔族についてだ。



魔族は基本的には魔王に従う者を指す呼び方で、身体のどこかに必ず角があるという。

様々な種族が魔王に従属しているが、その中には人型で人語を話す者もいるらしい。



魔王と呼ばれる者に関する情報はほとんど伝わっていないようで各地で様々な伝承や臆測が飛び交っているが、確かなのは人間に対して揺るがない敵対心を持つということと魔族を統括できるほどの力があるということだ。



人間は敵対していたとしても利害が一致すれば協力し合うこともある。

しかし、魔族…とりわけ魔王はその点について例外はない。

魔王が人間に向ける答えはいつも1つだ



「3つ目は服屋の店員に聞いた…」



「服屋の店員にしか聞いて無いですね。」



賑やかな喧騒の中、背後から冷酷なツッコミが籔を襲う。

灰色の髪にバンダナを巻いている。

少しつり上がった蔑み感満載の視線をこちらに向ける少女の名はフィフィ。


あらゆる情報をかいつまんで言えば服屋の店員だ。



「私からあの手この手で無理やり聞き出した情報を店の前で整理しないでください。邪魔です。」



「かなり辛辣だし誤解が多いな!普通にきいただけだし…まぁ邪魔ってのには反論できないな…色々助かったよ。」



そう言って早々に別れようとするとフィフは籔の服の袖を掴み引き止めた。



「…な、なんでしょう?」



女性との接触経験など数える程しかない籔は思わず声を詰まらせた。

少女は長い髪の毛が籔に触れるのも構わず顔を近付けた。



「質問するだけして用済みになったらポイですか?」



「さっきから言い回しが俺を犯罪者にしたいようにしか聞こえないんだけど…つまり俺に何をしろと?」



「服を買っていってください。ここは呉服屋なので…それに、貴方達の格好ではこの街で浮いています。かなり」



フィフは俺と善さんを交互に見比べながら苦言を呈した。



「それは俺達…俺も同意するけど、残念ながら一文無しでな。」



「分かりました。消え去ってください。」



「いでぇ!?」



フィフはそれだけ言うと籔を店前で蹴り飛ばした。

女性に蹴りを入れられる経験など無い籔だったが、数メートル蹴り飛ばされた事を考えるまでもなく臀部の感覚を完全に麻痺させる程の痛みで明らかに人間の力では無いのが分かった。



「っく…てぇ…なんなんだよ本当に…」



「魔力が宿っとる。」



「魔力…?今の蹴りに?」



「わからん」



尻を押さえながら倒れる籔に善が漠然と言い放った。

この世界に来てからコミュニケーション能力が上がった善に多少の期待を込めて聞き直すが、帰ってくるのはいつも通りのとぼけた『わからん』だった。



「魔力が宿る蹴り…この世界の人間ってデフォルトでそんなことできるのか…?」



籔は蹴られた箇所を擦りながら立ち上がる。

代償は大きかったが得た情報はもうひとつあった。



「遭難者が最初にするべき事は…教会での身分登録。」



それは町中をさまよいながら途方に暮れていた籔に声を駆けたフィフが最初に教えてくれたことだった。

そう、彼女は籔が遭難者であることを初めから知りながら自分から声を掛けてくれた優しい少女だったのだ。たぶん…



「最後のは照れ隠しなのか罪悪感を与えないための、あの子なりの気遣いなのか…なんにせよちょっと過剰な気はするけどな」



「過剰やな」



善が籔の言葉をオウム返しする。

この先、善以外の誰かと行動を共にする事になったとしてもフィフだけは絶対に断ろうと籔は心に決めた瞬間だった。



「決意も固まったところで、とりあえず教会に向かうか。行こ、善さん」



「行こか。」



教会と言われると元の世界では大した役割を担う施設ではない…少なくとも籔はそう考えていた。

しかしこの世界では教会が市役所も裁判も治世も何もかもを行っている。

衛兵や魔法使いの上にいるのも全て教会。



三権分立も糞もない完全に教会に統治された世界。

しかしそんな世界だと聞かされても籔は息苦しさを感じることはなかった。



学費や周りとの協調や仕事

何もかもに疲れていた籔は心のどこかで現実からの逃避を望んでいたのかもしれない。

世界に不満があったわけではない。

あの世界での自分に不満があったのだ



籔 龍二



それが籔の名だが彼は親元から離れて以降龍二の名を他人に教えることを避けてきた。

親と不仲だったわけではない、名前に違和感があるわけでも不満があるわけでもない。



ありのままの自分をさらけ出す自信がなかったのだ。

だからこそ、誰も自分の事を知らない世界に降りたってから、籔の心も足取りも常に軽かった




「ここが教会か。」



「教会やな。」




さすがに街の中でも目立つ。

屋根に十字架があるわけでもないが、正にこの世界を統治する機関に相応しい様相の真っ白の建物は籔達を威圧するかのように巨大な門を広げていた。



「なんか、入る自信なくなってくるんだけど…」



反り立ついくつもの太い柱は細っこい籔の体をどのように行使しても、どのような知恵を絞っても傷1つ付けられないだろう。



目を細めて敷地内をよく見てみると門に入った地面から教会の天井まで薄い膜のようなものが張っているのが分かる。

これが何なのか説明されなくても元の世界で多大な時間をつぎ込んだ漫画やゲームの知識で籔にはこの膜が結界のような役割を担っているとすぐに分かった。



「触れても大丈夫かな?」



善は籔の問いに答えず、後ろ手を組ながら遠い目で教会を眺めていた。



「…ここでモタモタしても仕方ない!俺は行くぞ!」



「止まれ!」



息を吸い込んで踏み出した足を引っ込ませる怒号が籔と善に投げつけられる。

振り返ると甲冑を着込んだ兵士がこちらに走ってくるのが目に飛び込んだ。

よく見れば抜き身の剣を手にしている



場所を考えれば衛兵や番兵の類いなのは間違いないが、状況を考えれば即座に切り捨てられてられる可能性もある。



「それだけは勘弁だ!」



籔は両手を上げて膝を付き、敵意も戦意もない事を身体全体で見せつけた。

寸分も狂いも無い無様な姿は黄金比ともいえる美しい服従の姿勢…まるで神に祈りを捧げる凡愚が絵画から飛び出したかのような景色だった。



しかし兵士は剣を収める事無く、その切っ先を籔の喉元に突き付けた。



「待て待て待って!怪しい者じゃないんだって!」



「貴様、遭難者だな?」



「はい!遭難者なんです!右も左も分からなくてとりあえず教会に行って身分登録をしろと言われまして!」



喉元に迫る切っ先に目を開けることができなくなった籔は目を瞑って喉が切り裂けるほどの声量で自分達の身の上を話すが、兵士の瞳はその色を変えない。



「事情は理解した…しかし、教会に出入りしたいのなら先に通行許可証を番兵に提示してもらわないと困る。遭難者ってのは本当に何も知らないんだな…」



「フィフィの奴そんなこと言ってなかったぞ…」



籔は小声で悪態を付いたが、この世界ではわざわざ教える程のことでもない常識なのかもしれない。

むしろ細かく聞いておかなかった自分の不徳の招いた結果であると籔はなげやりに納得した。



「そこの御老人も遭難者ということでいいのか?名前は?」



甲冑の隙間から兵士がペンのような物を取り出して何もない空中にそれを走らせる。

すると紙もなにも無い空中であるにも関わらず、文字が浮かび上がりふわふわと空中を漂いだした。



「聞いているのか?」



「ま、間違い無いです…俺が籔でこの人は善といいます。すみません。」



見たこともない不思議な光景に目を奪われていた籔に気を悪くした兵士は語気を強めて聞き直した。何故か無意味に謝罪をしながらの籔の返答を聞くと再びペンを走らせて最後にペンの持ち手部分の先端を親指で押した。



カチッという小気味良い音がすると同時にふわふわと空中を漂っていた文字が静かに消えていった。



「あの、今のは?」



「足書ペンも知らないのか…?そこまでいくと不憫だな…」



兵士は持っていたペンを籔に近付けた。



「これは足書ペンといってな、伝えたい文章を空に綴ってから先端を押せば元々ペンに設定されている場所や相手に文章を送る事ができる物だ。本部に代理で通行許可の申請をしておいたから間もなく返事がくるはずだ。」



兵士はペンを懐に戻し今度は2枚の書状を取り出し、広げて見せた。


異世界の文字で書かれた書状の内容はさっぱりわからないが、数秒すると最後の一行にこれまた異世界の文字が浮かび上がった。



「もう返事が来たか……ほら、これが通行許可証だ。どの町の教会に入るときにも必要なものだから無くすなよ。紛失手続きはもっと面倒だからな。」



兵士は書状を籔に押しつけて足早に去っていった。



「…なんか一気に疲れたな…善さんの許可証も俺が持っておくか。」



本人に許可を得たわけではないが、彼に管理を任せるわけにもいかないので籔は二枚の書状をポケットに捩じ込んだ。



「ようやくか…もう誰も来ないよな?入ってもいいんだよな…?」



過剰に周りを再確認しながら籔は手を伸ばして結界に指先だけ触れる。


感触は一切感じられないが、水面に小石を投げ入れたかのように小さな波紋が結界全体に広がっていった。



「大丈夫みたいだ。行こ、善さん」



「ん。」



今度は善の手を引いて一気に結界の中に入り込んだ。

結界の外に居たときには全く気付かなかったが、内側に入ると女性の悲しげな歌声が微かに聞こえてきた。



恐らく言葉を話しているわけではない。

どこか神々しさを感じるこの歌声は言葉になる前の源泉を掬い取ったような、脳に染み込んでくるような悲しい歌声だ。



「鯨の鳴き声みたいやな。」



「現実的すぎるわその表現は…」



善が呟いた感想に籔はため息をつく


もう一度辺りを見回し、善の手を引いたまま木造の分厚い扉の前に立ち息を整えた。



「一応ノックとかしたほうがいいよな。常識的に考えて…こっちの常識は知らないけど…」



この世界でドアノックがどのような意味合いを含んでいるのかは分からないが、扉を叩いただけでまさか宣戦布告ということにもならないだろうと籔は数回ドアをノックした。



「どうぞ」



乾いたノックの音が響いてすぐ、

籔が開けるまでもなく扉は自動的に開かれた。

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