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Shadow Heaven  作者: Day and Buffalo
5/12

5話 違う世界の平日

寝ている女性を見ている。

美しい女性だ。


「美しい世界だろ、、?」


男はポケットから小型のラジオを取り出した。

「暇だと思ってね。」


ラジオにスイッチを入れる。


美しいメロディーが流れている。


「ふー、、。」

男はため息をついた。


「最近はどの放送を聴いても全部同じだ、。」


寝ている女性に話しかけている。


「嫌いじゃないんだ、、。誤解が無いように言うけど、。うん。」




「でも僕は、日本語で音楽を聴きたいんだ、、。」

男はボリ、ボリ、ボリと頭を掻き毟っている。


女性は男の挙動を無視しながら眠りについている。


突然男は笑顔になり女性を見た。

「あの音を美しい女性の声で聴けたら良いと思わないかい?!」


男は表情をコロコロ変え無機質に女性をみた。


女性の体は動かない。


混線したラジオからは新たな美しい音が流れはじめた。


「・・・・・・・・」

男は女性を無表情に見続けた。





牛時計山ぎゅうとやまの近くの病院の一部屋で、キシモトは助けた女性を見ている。


「いつまで寝ているの、?」

1週間経っても目を覚まさない女性に語りかける。


女性の身元は不明で、持ち物は見た事がない型式の古い小型ラジオのみだった。


不思議な事に女性のラジオには、電池を入れるところが無い。

警察と身元を確認する物を探している時に調査をしていたが、

突然音が鳴り、警察もキシモトもひっくり返っていた。


「不思議なラジオだな。」

その時の様子を思い出しクククと笑う。

スイッチをいれると今、流行の音楽が流れ出している。


「流れてくる音は変わらないけどな、、。」



背筋が凍るような感覚が突然走る。

キシモトが後ろを振り向くと寝ていた女性がキシモトをジッと見ている。


「おぉ、、」

突然の事でキシモトは言葉にならない音を発していた。


「素敵な音楽ね、、。」

女性はけだるくキシモトに語りかけている。


「お、、起きた、、!起きた、!」


キシモトは慌てて医者を呼びに走った。


医者が慌てたキシモトと一緒に戻ってくると女性の姿はそこには無かった。



町はゆっくりと時間が進んでいた。

子供がお店でお菓子を買い、大人は団扇で扇ぎながら夕涼みをしている。


病院を抜け出した女性は、ふらふらと町を歩きはじめた。

寝起きの為か視界がぼんやりとしている。


求めていた外の世界は想像と違い人に溢れている。


横の小道では男たちが言い争いをしている。

ちょっとした事で隔離されるシェルターでは考えられない光景だ。


酔っ払った二人の若者が女性に気付くと

ヒソヒソと相談をしあい女性に近づいて来た。


痩せたノッポな男とずんぐり体型な男で、いかにも漫画に出てきそうな2人組みだ

ずんぐり体型な男がニヤニヤしながら口を開いた。

「お姉さん1人?ぼくらこれからキャバレーで飲みますが一緒にいかない?」

痩せたノッポな男も照れたように女性を見ている。


女性はこの町では珍しく、

真っ黒なストレートヘヤーに大きな目の中は薄く緑色に光っている。

映画で活躍している女優と言っても誰もが信じる容姿をしていた。


「キャバレー??」

女性が質問すると


「お!!お姉さんしらないの?!キャバレーは最高だよ~!うまい酒にお笑いやダンス」

男は嬉しそうに話してる。

普段、アプローチをしても無視されるのが普通だが女性が興味を持った事につかみを感じているようだ。


「音楽は聴ける??」

女性は質問すると


「音楽かー、、たまに生演奏してたよな??」

ずんぐり体型な男が痩せたノッポな男に確認する。


「たしか演奏とか出来たはずだよ??ドラムとかあったよね??」


女の子は演奏が聴ける事をしり笑顔になる。

「いく。つれてって。」


その言葉で痩せた男とずんぐり体型な男は飛び上がって喜んだ。


ずんぐり体型な男が興奮しながら

「俺はタイタンでこのノッポな男がマチュー!」


マチューが口を開く

「お姉さんの名前は?」


女性はマチューとタイタンにハイタッチをしながら答えた。

「私はレイコよろしくね」


レイコと名乗る女性は、町の男達の視線を集めてキャバレーへ歩き出していた。


電信柱の傍には古くなった看板に町の町名が書かれてる筈だが読み取れないが、

誰も気にする事が無い。


ここは希望の町。


シェルター内で外は地獄と聞いていたレイコは、

シェルターの嘘を思い出しフフっと笑い


音楽を自由に聴ける町を愛しそうに見回していた。

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