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Shadow Heaven  作者: Day and Buffalo
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4話 Education Love

シェルター世界の話、自分達が何者なのか説明するのは難しいが、

遺品整理担当の松田は話をまとめる事に長けている。


「この後の事を考えよう。」

松田は、自分達の世界の話をした後に今後の話を切り出した。


「我々はあの機械からの音をもう一度聴きたいが為に国を捨てたんだ。」

松田がモーリと顔の綺麗な男に語りかける。


「あと、あの女の子に会わないと、、。」

顔の綺麗な男が忘れないように声を出した。

「女の子??」

ミロクが自分の事かとモーリを見た。


「っあごめんね。僕らと会う前に綺麗な女の子に会わなかった?えっと」


「ミロクです。」


「ミロクさん、。僕らが外の世界に出るきっかけになった女の子がいるんだ。」

「先に外に出ている筈だから会っていないかな?」


死者にしか音を演奏しない葬儀屋のキョウヘイ。初めて自分の演奏を聴いた後に生きている女の子がいる。

その彼女の言葉、


”外の世界の音楽を聴きに行きたい”


彼女の一言が彼を動かしていた。


「キョウヘイ、落ち着けよ。」

焦るキョウヘイをモーリが落ち着かせた。


「とにかくだ。機械から聴こえてきた音を探す事。その音の事を知っている女の子を探す事だな。」

モーリが強引に自分たちの目的をまとめた。

死体を運ぶ仕事をしていたモーリの行動はいつもシンプルだ。


ぐっー


モーリの腹がなる。

「腹減ったな、、。」


「確かに、、。持ってきた食料は尽きたからな。」

松田が深刻そうに悩んでいる。


「はい」

ミロクが思い出したかのようにランドセルからうめぇ棒を取り出した。


「これは??」


「おいしいよ」

ミロクはサクッとうめぇ棒を食べだした。


松田が袋を開けうめぇ棒をかじった。

「おいしい」


「なんだぁこれ!」

モーリもザクザクザクっと豪快に音を出しながら食べている


「父ちゃんおいしい?」

ミロクがニコニコしてモーリに話しかける。


「父ちゃんじゃねえぞ。」「でも、うまいな!これ!」


「父ちゃん好きだったんだよー。うめぇ棒」

美味そうに食べるモーリを見てミロクはニコニコしてる。


「うむぅ、、。」

モーリはガツガツ食べながらバツが悪そうにミロクをみた。


「なあ、松田。今日の寝床どうしよっかね?」

キョウヘイの不安そうな声にモーリも深刻そうに悩んでいる。


松田が不安そうなメンバーに応えた。

「先ずはミロクさんを安全に家に帰すことからだな。」


山道を下ったところで松田がミロクに声を掛けた。

「ここからは1人で帰れるかな?」


「うん、、。」

ミロクはチラチラとモーリを見ている。


「きょうちゃんって音楽家なんだよね?」


「ん?葬儀屋だよ。音で死者の魂を浄化する仕事だよ。」

キョウヘイは胸を張って答えた。


「音か、、。」

ミロクは少し考え

「みんなの寝床が何とかなるかもしれない!!」


「本当か??!」

モーリが驚いている。


「うん!!明日さっきの場所で待ち合わせしよう!」


ミロクはモーリたちに別れを告げ帰路を走りだした。

まるで物語の主人公みたいな気分で夜道をドキドキしながら走った。



夜が明け、小学校のチャイムが鳴っている。



教室にはミロクの姿はなかった。






ナッキとマナコは呆れた様に廊下で怒られているミロクを見ている。


「怒られた、、。」

半泣きのミロクを見ながらナッキは口を開いた。

「当たり前だよ。授業中なのに殆ど寝てたじゃん!!」

ナッキが笑っている。


「ミロクちゃんどうしたの??授業中に居眠りなんて初めてじゃない??」

マナコが心配そうに声をかけた。


「うん、、。ちょっと、、。」

昨日の出来事を思い出し、居眠りの理由を語るように話し始めた。

「お願い。」

「一緒に牛時山ぎゅうとやまに来て」




ミロク達は

モーリたちとの待ち合わせ場所にナッキとマナコを連れて行き

自分の親友達をモーリたちに紹介をした。


「で、マナコちゃんときょうちゃんに相談があるんだけど」





「ミロクちゃん、、。うーん。」

マナコはミロクの提案に頭を悩ませた。


マナコの家は母親が女手一つでキャバレーを経営している。

毎日の様に芸人などが漫談やダンスを披露し客たちは酒を楽しんでいた。


ミロクの考えはそこでキョウヘイを音楽家として雇って貰いそのままモーリや松田も仕事に加わる作戦だった。


「ミロクさん、それは出来ないだろう。」

松田も気難しそうに応えた。

「キョウヘイは位の高い葬儀屋なんだ。死者でも無いのに簡単に演奏なんて聴かせれないだろう、。」


「でも、、。」

ミロクが少し泣きそうな表情をした時、キョウヘイが口を開いた。

「やろう」

「いや、、試させてください。マナコさん」


松田は目が飛び出そうな程驚いている。


マナコはキレイな顔をしたキョウヘイにまっすぐ見つめられ顔が赤い。

「ただ、葬儀に使う楽器はさすがに使えないので代わりの楽器を貸して貰えないだろうか、?」


「楽器あったかなー、。楽器が無い音楽家なんてママも信用しないだろうし、、。」


「私のお父さんがもってるよ!」

ナッキが思い出した様に答えた。

「ほんと??!」

ミロクがワクワクしているのと同じようにナッキもマナコもワクワクしているのだ。


「家からとってくる。」

ナッキは家に向かって走り出した。


小一時間ほどして

ナッキが楽器を持ってきた。

息が上がっている。

「ハァ、ハァ、重いよこれ、、。」


分厚いケースに包まれている。ケースを開けると美しい楽器が出てきた。

「なんて名前の楽器なのかな?」

楽器の美しさにキョウヘイは見とれている。


「ギターって楽器だよ。」

ナッキが息を切らして答えた。

「触ってみたら??」

ミロクがキョウヘイに語りかけた。


「うん、、。」

ジャンっと鳴らした。

キョウヘイが普段使う楽器と音階が同じだ。


「これなら弾けると思うけど、、。」


「音小さすぎない??」


美しい旋律だが、鉄を叩いた音が小さく空を切る。

耳をすまさないと聴こえない程小さい。


「壊れているんじゃ無いのか?」

モーリが首を傾げている。


「そんなはずは無いと思うけど、、」

ナッキが答えた。


「他に楽器はあるかな?」

キョウヘイは心配そうに質問した。


「無いよ~、、。」


困るナッキを見かねてマナコが口を開いた。

「とりあえずお母さんに相談してみようよ。紹介するから、」


不思議な3人は小学生の女の子たちに連れられこの世界で生きる事になった。

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