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Shadow Heaven  作者: Day and Buffalo
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-倉庫の葬儀屋-

https://youtu.be/DVLWZS70NiE

世界には放射能が溢れている。

核戦争後の人間達はシェルターで生活し太陽の光を見る事は無い。


此処では死が日常で何もしなくても突然襲ってくる。


死の原因は様々だ。


野球会場程のサイズのシェルター内で5000人程の人数で生活している為、

風邪になれば病気の蔓延を防ぐ為、人々から隔離され食事も与えられずアウト。

怪我をし、働く事が出来なくなれば同じく隔離され食事を与えられずアウト。


意外にも暴力からの死亡は殆ど無い。お互いが隔離される可能性が高いからだ。


この話の中心人物を紹介する。

彼の名前は ハヤシ キョウヘイ、仕事はこの時代で一番気高い葬儀屋だ。


何故、葬儀屋が一番気高いか?

核シェルター内で生きる人々には娯楽は無い。

この時代は魂を信じられていて、死後の世界は何よりも自由と教えられている。


葬儀屋とは、死者の生前の願いを聴き、その願いを元に作曲をする。

そして、死者の為だけに演奏をするシャーマンの別名だ。


音楽を聴く事や娯楽を禁止されている。シェルター社会に死を楽しみにさせる為の政策だった。


葬儀屋は人に会う事を禁止されていて、人との接点が無い。

音楽をシェルター内の人々の前で演奏しない為だ。


だが、毎日人は死に仕事の度に案内人達と話し

死者の魂の為に日々演奏している為不思議と寂しさは無い。


本日も誰か死んだ。

死者運び担当の三つ編みのモーリが1体の死体をつれてきた。

「今回の死者はべっぴんさんだぜ。」


三つ編みのモーリはニッと笑う。


死者をそっとベットに寝かせる。女の子だ。

女の子の眠ったような表情にキョウヘイはドキッとする。


遺品整理担当の松田も遅れてやってきて死者の手紙や希望などを持ってきた。


「で。お嬢さんの希望はなんなのさ?」

三つ編みのモーリが興味津々に女の子の希望を聞いている。


遺品整理担当の松田が手紙を見ると一言書かれていた。


”外を見たい”


「外をみたい?」

三つ編みのモーリが怪訝そうな顔をする。

「こんな時代に外に出たら一発でおしまいだろ?外で死んだら演奏もしてもらえないぞ。」


三つ編みのモーリの言葉を遮る様に遺品整理担当の松田が口を開いた。


「死者の願いに口を出す事は許されない。」


遺品整理担当の松田が一言伝えた。


「きょうちゃん曲を描けるか?、、きょうちゃん、、??」

「おい!」


「え?ああ」

三つ編みのモーリの一言にキョウヘイは我に返る。

女の子の美しさに見とれてしまっていたのだ。


「大丈夫、。描くよ。」


モーリと松田が部屋を出ると

キョウヘイは女の子にドキドキしながら曲を製作を始めた。


女の子が腐敗する前に音を創る必要があるので時間は限られている

それでも、キョウヘイは1秒でも長く女の子の側に居たいと感じていた。



作曲は渦の中から宝石を取り出す作業みたいだ、

キョウヘイは女の子の求める願いを思い出しながら音を探し創めた。


外の世界は??


疑問を持った事が無いわけでは無い。だが外の世界に渦巻く放射能の嵐や、

語り継がれている人を食べるモンスターを想像し、キョウヘイはブルッと背筋を振るわせる。


シェルターは影の天国。生命を維持する為なら天国だ。



キョウヘイの演奏が終盤になると女の子の目にうっすらと光が入った。



「まさか、、!」


キョウヘイは仰け反り演奏をやめる。


死者の女の子の目に涙が流れている。


「生きているの、、か?」


しばらくの静寂の後、女の子が目を覚ました。


「ごめんなさい。」


「何をしてるんだ!死の偽造は犯罪だぞ、、、!」


キョウヘイの声に松田とモーリが走ってくる。

女の子が生きている事に気づき松田の顔が青くなり、モーリは呆然と立ち尽くしている。


「ごめんなさい、。」

「どうしても音楽を聴きたかったの、。」


「君がした事は重罪でシェルターからの追放になるぞ、、。」

松田が青い顔をしながら話している。

「それに生きている事に気づかなかった我々もだ、、。」


「何で気づけなかった!!くっそ、、!!」


キョウヘイもモーリも呆然と立ち尽くすしか出来ない。

豪胆なモーリの足が少し震えている。



「大丈夫。私はゴミ捨て場からひっそりとシェルターを出るから。」

「私が生きている事に気づく人はいないよ。」


「私は一人だから。」


「な、なんでこんな事を?」

「なぜ外の世界に出ようとするのかな、?」


キョウヘイが傍線と質問すると女の子は笑い。


「外の世界の音楽を聴きに行きたいの」


「外の世界の音楽??」

モーリが不思議な顔をした。


「このお守りが突然動きだしたの」


女の子のポケットから小さな機械が出てきた。

娯楽になる機械は全て壊されている為音が出る筈が無い。


突然”お守り”からノイズ音と共に美しい音が流れてきた。

(ガガ、、ブドウカンで、、、ライブ、、ビートルズ、、ガエンソウシマス、、)


「この美しい音を目の前で聴けるなら、、。」

女の子の表情にグッと力が入る。


フワッと女の子はキョウヘイの前に行き手を握った。


「素敵な音楽をありがとう、、。」


「い、、いや、。」

赤い顔をしたキョウヘイを背に女の子はゴミ捨て場に走って行った。


葬儀屋の3人達は女の子の姿と”お守り”から流れた音の衝撃から


言葉を忘れ


女の子の背を追いかけた。


https://soundcloud.com/dayandbuffalo/life-in-vain

ぼくは、Day and Buffalo という名前の音楽家です。

小説を書いてみました。


お話しの世界と音を結ぶ事が出来れば幸いです。


未熟な文章力で表現をして大変恐縮ですがよろしくお願いします。


https://www.youtube.com/watch?v=nCMbS3kN09U

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