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第1話 亜人種になった私

神や謎の科学者なしで、こんな都合の良い話があってたまるかっ!と自分でツッコミをいれたくなります。

大きな立て鑑を見てみると、私の姿が、すげぇ変わった。


まず、大きく変わった場所を伝えよう・・・いや、ちょっと待て。大きく変わりすぎて、最初、どれから言うべきなのか迷ってしまうが・・・一旦、落ち着かせてくれ。


まずは、私は赤ん坊になってしまった。何故、赤ん坊になってしまったのか、知らんがとにかく女の子の赤ん坊だ。


で、ここで問題が発生。私の頭にも、リスのような耳がついていて、お尻付近にはリスのような大きい尻尾がフリフリと振っていた。


いやいや、ありえない!赤ん坊までもコスプレイヤーにするのか知らんが、一旦落ち着こう。


とりあえず、仮説を立てよう。


まずは、私の存在についてだ。

どうやら、ここは夢の世界では無く、現実らしいので、私は私だ。

しかし、私は赤ん坊になってしまった。


とりあえず、私が死んだという仮説を立て、生まれ変わりとして、この赤ん坊になってしまったと考えよう。で?何故、私は赤ん坊になるんだ?


神様的な存在に、どこかの家族の赤ん坊に憑依もしくは転生?された記憶もないし、変な科学者からどこかの世界に繋がるワープ装置を使わされてワープした記憶もないし、変な異空間、異世界に繋がる所にも入っていないと思うし・・・しかし、それだけで、赤ん坊になるのか?


でも、ワクワクしてしまう。だって、生まれ変わった?し、前世の記憶持ちだし、色々とこの先便利そうではないのか?そう思うと、自分が赤ん坊になっている事なんて些細な事だ。


しかし、問題はそれだけでは無い。何故、耳と尻尾をつけられてしまうのか?我が娘を愛しくてそんなアクセサリーをつける気持ちは・・・まぁ、分からなくもないが、母親まで一緒につけるなんて、そうとう我が娘を愛しく想っている事だろう。


だが、私は、勘違いしてしまっているらしい。母親や小さい女の子と私につけられたモノがアクセサリーだという事をーーー。


風呂の時間がやってきたらしいので、女の子同士で父親抜きの、キャッキャッウフフのイベントなのだ。


母親は私や私より年上らしき女の子の服を脱がせるのだが・・・リスの耳のアクセサリーやリスの尻尾のアクセサリーは外さないままで、服を脱がしているらしい。って、どんだけ好きなんだよ!コスプレ!


だが、私は目を疑った。耳と尻尾以外、一糸纏わぬ姿になった母親と小さい女の子の姿を見ると、生えているのだ!リスの耳とリスの尻尾が!


「うぇぇぇんっ!」


驚きのあまり泣いてしまう私。でも、何故生えているんだ?!こ、コイツらは一体、何者なんだ?!


「ほら、怖くないからっ」


母親は俺が風呂に入るのが怖いと思って、優しい声で風呂の危険性を和らげる。いやいや、風呂は好きだし、怖いとは思っていないさ!


でもさ、普通の人間ではないだろ?一体、なんなんだ?!


その答えは四年後、明らかになる事は私は知らなかったのであったーーー。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

四年後の春。私は四歳になった。

とりあえず、私の家族構成を伝えよう。

まずは、リスの耳やリスの尻尾が生えた二十代後半の若々しい専業主婦である母親と姉である栗原美乃莉。そして私こと栗原胡桃。どうやら、あの真っ白な世界で聞いたあの家族のようだ。


そして、普通の人間である三十代前半の父親。小説家らしく、有名な作家らしい。


家は二階建てで、一階はリビングや和室、洋室、キッチン等々、日常生活を過ごせるような部屋がある。


二階は父親の仕事部屋とゆくゆくは私達姉妹の勉強部屋になる部屋らしき空き部屋が二個ある事を母親と父親はほのめかしたので、ひとまず安心。


で、四歳になったから、多少はしゃべれるので、リビングにて新聞を読んでいる父親に私や母親の事を尋ねてみる事にしたのだ。ちなみに、母親は私の姉である美乃莉と和室にて昼寝中だ。


あと、この世界も科学、魔法、超能力といった人知を超えた能力を持つ者はいない事を知り、ほっとしている。それと、バケモノもいないし、安心安全な世界なのだ。


「ねぇっ、ねぇっ、どおしてわたしに、このみみとか、しっぽがあるの?」


この世界が安全だと自覚した私は頭の耳と尻尾を指差して質問するのだが、まだ四歳なのでたどたどしく喋ってしまう私。むぅ、歯痒いっ!

そんな質問を受けた父親はというと・・・遠い目をして、口を開き


「それは・・・愛だからだよっ。パパとママの愛で生えたんだよっ」


親指をぐっと立てて、その顔にはシリアスな表情を浮かばせる父親。その態度にムカついた私は。


「むぅっ、もうキライっ、ぷいっ」


子供のように頬を膨らませて父親と目線を合わせないようにそっぽを向いた。我が娘に嫌わるのがイヤなのか、父親はというと。


「だ、ダメーっ!き、キライにならないでーっ!は、話すからーっ!」


私を抱きしめる父親。が、さりげなく尻尾を触ってくる。うわっ!な、なんかイヤ!


「しっぽはダメっ」


尻尾を触られるとセクハラを受けたような刺激が与えられた。例えるなら、胸やお尻などを軽く触られたような刺激とだいたい同じぐらいなのだ。


「ご、ごめんっ。じゃ、じゃあ話すね?」


父親は真剣そうな顔を作り、リビングにあったフカフカのソファーに座り、口元は緩んでいた。何を考えているのか知らんが、変態っぽいぞ父親よ。


「まずは、ここにおいで?」


父親は自分の膝をポンポンと叩き、私にその父親の膝に座れと言うのだ。それを私は


「ここでいいよ?」


父親の真正面にあるソファーに私は座る。背もたれに身体をつけようとするが、大きな尻尾が邪魔して、ソファーの背もたれに背がつかない。まぁ、尻尾のモフモフで背中は気持ちいいけどな。


ちなみに、自分で触ったり、こうして物に尻尾を接触させる場合はセクハラのような刺激を感じないので、色々と助かる設定だ。


「えっとね?ママとお姉ちゃんが、胡桃と同じような耳と尻尾がついていたよね?」


父親の説明にこくりこくりと頭を頷ける。


「実は、胡桃達だけじゃないんだ。動物の身体の一部が自分の身体についている人。つまり、亜人種という生き物がね」


「ええ?!!」


父親の説明に耳を疑う。亜人種だと?!そんなの聞いた事無いぞ?!ファンタジー過ぎるだろう!でも、どこかでやはりと納得してしまっている自分もいた。

とりあえず、私は父親にもっと説明が欲しいと首を傾げて


「あ、あじんしゅ?」


舌っ足らずの言葉で父親に聞いてしまった。すると父親は、涙をボロボロと流してしまった。ま、まさか、暗い話なのか?


「ううっ、こんな可愛い娘が出来て幸せ者だっ。美乃莉といい胡桃といい・・・そうだ、来世はシジミになろう・・・」


いや、そうでは無かった。ってか、来世シジミって、どんだけネガティブなんだよ。  


「あっ、話の途中だったね。ごめんね?胡桃」


父親は、自分の世界から脱出して、話を続ける。


「亜人種というは、胡桃達みたいに、ある動物の耳や尻尾が生えた人種の事を差していて、その亜人種が世に広まったのはね?」


父親の説明に、生唾をごくりと飲む。父親の顔はシリアスの表情を浮かべて口を開く。


「・・・亜人種の資料が見つからないんだ。昔から存在していたらしいけど、亜人種がどのように誕生し、どのように世に広まったのか分からないって、学者さんていう頭の良い人が言ってたんだ」


分からない?どういう事だ?亜人種の生誕秘話が無いとはどういう事なのだろうか?でも、この訳の分からない耳や尻尾の事でイジメられるという事が起きなければいいんだけど、世に広まっているというから、私と似たような見た目の人々達がいるだろうからイジメには遭わないだろう。


「ね、ねぇ、そのあじんしゅってさ、何人くらいいるのかな?」


私は、亜人種の人数を確かめる事にした。父親は、シリアスな表情を浮かべたまま、口を開き


「ここ。つまり、日本だけしか知らないけど、三千万人以上の亜人種がこの日本に住んでいるんだってさ」


日本人口は一億三千万人という情報も父親により付け加えてくれたのだが・・・う、うーん、割と少ない?いや、多いのか?三千万人という数字がぴんと来ない。


「ほぇ~・・・」


相槌を打つ私。のほほんとした声で相槌を打ったので、父親は・・・また泣いた。


「うぐっ、ふぅっ、し、幸せだっ!こんな幸せを体験してもいいのかっ」


我が娘と普通に喋れるのが嬉しいのか、父親は泣き続けていた。そして・・・


「・・・嗚呼ああ、オレって、タンスの角に足の小指をぶつけて複雑骨折するのかなぁ~・・・」


どうやら、私の父親は幸せを感じるとネガティブになるらしい。めんどくさいわっ!

でも、色んな情報を得た。そんな情報の提供者である父親が座っているソファーに座り、父親に寄り添って、背をさすってあやす。


「?!!!く、胡桃ぃぃぃーっ!」


父親は感極まって私に抱きしめてくる。急な行動で頭が混乱して、呆ける。

しばらく抱きしめられ、私は意識をはっきりさせ、父親からなんとか離れた。


「あっ!も、もう少しっ!い、いや・・・やっぱいいや・・・どっかにいる神様か仏様がオレに罰を与えてしまうかもしれない・・・ドアノブを触った時、静電気がバチっとくるような呪いをかけてしまうかもっ・・・」


父親は幸せを感じた瞬間、ネガティブになった。もう、めんどくさいわぁっ!ってか、呪いの内容軽くね?!


「お、おとうさんっ。弱気にならないでっ」


私は父親を説得。まだ四歳の女の子から励ましの言葉を受ける大人なんて、この父親だけだろうな。


「あ、ありがとうっ!胡桃ぃぃぃーっ!」


また感極まって私に抱きついてきたっ!もぉー!うっとうしいっ!また私の尻尾触ってきている。


「あっ!また尻尾さわってるーっ!ダメっ」


顔を赤らめてしまい、父親の抱きつきからなんとか脱出。そんな父親はというと・・・


「も、モフモフが・・・いや、いいや・・・どっかに居る神様がオレに天罰を下すかもしれない・・・そう、割り箸を割る時、中途半端に割れてしまって、持ちにくくて食べ物が食べにくいという天罰を・・・」


幸せを感じたらネガティブになるという性格なので落ち込む。本当にめんどくさいわっ!

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