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叶雑貨店  作者: 零桜
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二人目:願い

家に帰り、私は早速パズルに願いを書くことにした。

恋愛かぁ・・・もちろん私は好きな人と付き合うことが出来れば言うことはない。

でも、そんなに簡単に書いちゃいけない気がするんだ。人の気持ちを私が、変えるなんて。

結局、願いをかくのに半日を費やしてしまった。でも書けた。我ながら、いい願いだと思う。


それから私は毎日少しずつではあるが、パズルを完成させていった。目標は、海外留学の日まで!決めた方がやりがいがあるしね。

完成が近づくに連れて、私の願いも段々現実味を帯びてきた・・・気がする。

留学が近づいてくると、私はその準備で忙しくなってきた。そして、パズルの完成も遅れてきた。

でも、仕上げないといけない。

一度決めたことは最後までやり遂げたいんだ。


留学もあと1週間と迫った日。

その日はうだる様な暑さで、夏が本格的にやってきたことを知らせているようだった。

私はあまりの暑さに家を出て、図書館でパズルをしながら学校の課題を仕上げていた。家にクーラーはあるが、正直光熱費をあげたくない。

学校の課題も仕上がり、あとはもう習慣化しているパズルを完成させるだけだ。


2時間後・・・


「完成!!!」

図書館だというのも忘れ、私は叫んだ。周りの人が見てる。

恥ずかしかったけど、それよりパズルが完成したのが嬉しかった。

良く見ると、文字の部分だけが浮かび上がって見える。造った人が細工をしたんだろう。

まるで完成を祝福してるみたいだ。

次は、買い物に行く予定だ。なにか自分にご褒美を買ってあげよう♪

そう思って石造りの歩道を歩いていると、前を私の想い人が歩いている。

今日はなんていい日なんだろう。


声をかけることもなく、歩いていると車道から車が歩道の方へ迫っている。

彼は携帯に夢中で気づいていない。

(助けなきゃ!!)

そう思ったとき、私の身体は勝手に動いていた。


夕那(ゆうな)!!」

私は途切れ行く意識の中で、彼の私を呼ぶ声を聞いていた。あぁ、なんて幸せなんだろう。彼が私の名前を呼んでくれるなんて。




「彼女は願いを叶えたんですね」

哀しそうな笑顔をその美しい顔に湛えながら、青年は独り、言った。

「『あの人がずっと笑顔でいられますように』ですか。いい願いですね、夕那さん」

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