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熱血パーサー乗務録  作者: 田中元一


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VOL 9.ハネムーナーのホノルル症候群

昔も今も、ホノルルは新婚旅行として根強い人気スポットになっています。

日本から6時間で全く違う異国情緒を満喫できるからです。

言葉も日系人が多いので日本語が通じやすく、治安も比較的良いこともあって、日本人のリピーターが圧倒的に多いのもうなずけます。


ところで、ハネムーナーのホノルル便での特徴的なことのひとつに機内での傷病発生率の高さが挙げられます。

特に、ホテルで挙式をして当日はそのホテルで1泊して、翌日の夜、成田発の便を利用するケースが多いのですが、首都圏内の場合はハネムーナーもその間休息出来ているので、夫婦共に元気なのですが、地方からのカップルの場合は、休息が十分に取れない状況で飛行機に乗ってくるので、奥様が機内で疲労による貧血で倒れられることが多発するのです。


ところが、ホノルルからの帰り便では、逆にご主人が倒れられるケースが多いのです。

理由は2つあります。

日本語が通じるとは言っても、通じない場所もあり、そこでご主人は奥様の手前、英語を駆使(苦使?)したり、異国の慣習に戸惑いながら頼りがいのあるご主人を懸命に演じることでストレスや気苦労が蓄積しているのです。


もうひとつの理由は、更に、これに追い討ちを掛けるようにして、ロマンテイックな異国の夜のとばりでの、新婦への献身的な汗だくの奉仕活動による肉体疲労によるものです。


我々乗務員は一般旅客の宿泊する階とは別の階に部屋を割り当てられるのですが、オン・シーズンともなると、旅行客優先で、バラバラの階に割り当てられることもあって、私は何度かハネムーナーの階(上等の部屋)になったことがありました。


我々は早朝に着いて、日本と9時間の時差を抱えて眠れないまま、翌日の早朝には乗務するので、夜少しでも眠るように必死の努力をするのです。

ところが、その時は運悪く(?)両隣がハネムーナーで、両方の壁越に合体協奏曲が延々と流れてくるので、午前2時になっても続くようならフロントに連絡して、少し静かにしてもらおうと考えていたのです。


午前2時前にようやく演奏が終ったので、「ヨーシ、これで4時間は眠れるぞ」とほそく笑んで眠りについたのですが、ピッタシ2時間後、片方の部屋でアンコール演奏が始まったのであります。


ちなみに、アンコール演奏を始めたカップルに成田離婚率が低いかどうかは知りませんが、私は睡眠不足で、帰りの便の仕事がえらく辛かったのでした(笑)


 次回 VOL 10.冒険家植村直己さんとの北極点での交信

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