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熱血パーサー乗務録  作者: 田中元一


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VOL 6.チンピラやくざとのトラブル(その2)

到着まで、15分しかなかった。機は既に降下体制に入っている。


私は直ちに機長にトラブルの概要とこれからそのお客と話すが、時間的制約と相手がチンピラなので、上手く解決出来ない場合、空港警察を要請する可能性もあり、念のために到着ゲイトに待機してもらうよう依頼した。


前方客室を担当していたスチュワーデスに私は5分後に戻ると連絡し、前方客室の着陸準備は完了していることを確認した。


A子に、「最悪の場合は空港警察で君に証人として立ち会ってもらうことになるかも知れない、いいな」と言って、彼女の承諾を得て、私は問題のお客の席に行った。


私はその男性客に名刺を差し出しながら、自己紹介して、失礼のないように丁重に言葉を選びながら、事実確認と抜き取った金の返却とメモの提出を求めた。


通路を挟んで、右手の通路側にその彼が、同列の左手の通路側の座席に彼等の兄貴分が座っていた。


私の話を聞いた彼の第一声は私の予想通りのものだった。


「ナンヤー、お前、ワレ何を言うとるんかわかっとんかい!コラー!」独特の関西の業界言語だった。

途中で、「証人を出せ言うとるんじゃ、その女を出さんかい・・・」


「私が責任者なので、出せません」


「なんやと!お前、イテコマシタルゾ!」


「それは困ります。ただ、ご注意しておきますが、お客様のその言葉は完全に脅迫になりますよ」


私にとって、相手が誰であろうと、目的地に到着するまでは、大切なお客様であることには変わりないので、穏やかで丁寧、かつ非礼にならない対応に終始した。


途中から、傍の兄貴分もこのやりとりに加わり、彼ら特有の怒声で周囲のお客に、とんだ迷惑を掛ける結果となったが、これは諦めてもらうしかない。


周囲のお客様も、我々のやりとりに興味はそそられているのだが、当然、関わりにはなりたくないといった様子だった。


さんざん、2人に脅し文句を並べられて、結局こちらの要望は拒否されたのであります。


既に、機は着陸態勢に入っていたので、周囲のお客様に「お騒がせしてすみませんでした」と声をかけて、私は前方客室に戻ることにした。


私は2人に最後の言葉を投げかけた。


「おくつろぎのところを、お邪魔して申し訳ありませんでした。円満に解決するのがお互いの為だと考えていたのですが、残念です。」


これに対し、2人は無言で私をにらみつけていた。


担当乗務員全員に「彼らが降機する際は、ひとりづつ警察に引き渡すので、そのつもりでいてくれ」と指示を出した。


また、念のために乗務員全員に機内電話で「彼等はバラバラに降りる可能性もあるので、必ず1人づつに手分けして付いておくように!」と伝えた。


着陸して、機が誘導路を移動していた時に、機長から「たった今、地上から報告があった。空港ゲイトの2ヶ所の出口に空港警察が待機しているとのことです」と連絡があった。


到着ゲイトに着いて、ドアを開くと、待機していた地上職員に経緯の概略を口頭で説明し、例の5人組にはスチュワーデスが1人づつ付いているので、警察官に知らせる旨を伝えた。


警察官は5名だということなので、万一のことを考えて降機するドアは前方1ヶ所だけにすることを提案。


警察の責任者もそれがいいということで、前方1ヶ所からお客様には降機してもらうことにした。


            (・・・続く)


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