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熱血パーサー乗務録  作者: 田中元一


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VOL 2.プロローグ ◆生い立ちから入社まで(その2)

VOL 2.プロローグ

◆生い立ちから入社まで(その2)


周囲の学生の就職が決まっていく中で、S教授の紹介で私の受験した会社は、いずれも条件付での内定ということだったのですが、結局やめることになったのでした。


A新聞社は面接試験で希望を聞かれ、「パリ支局勤務です!」と答えたら笑われて、「福岡県下のK市での3年間の勤務」が条件でした。

支局なので、上司がいて女性の事務員もいて、記事を書くのかなといったイメージを描いていたのですが、毎週1回、その土地で起こった面白そうな記事を福岡支局に送るのが主な仕事だということでした。


そこで、さっそくK市の支局を訪れました。

確かに支局の表札はあるにはあるのですが、普通の6畳2間と台所があるだけのアパートの1室で、1人で支局をやっているのです。

そこの住人(新聞記者)は4年目だと言っていましたが、ボーッとした感じで、話す内容もまるでヤル気のない人だったので、描いていた支局との差があり過ぎて(笑)結局やめました。


次に条件付で内定したのが、大手のM物産でした。


やはり、面接試験で「パリかニューヨーク支店勤務を希望します!」と答え、担当した面接官から将来はその道もあると言われ、その気になって決めるつもりでした。

条件は「ボルネオ、現在のブルネイでのプラントで3年間勤務すること」でした。


私はてっきり、石油か大きな工場のプラント事業だと思い込んでいました。

それに、当初から外国に行けるのがとても魅力でした。

翌日大学の先輩を訪ねて、条件付き内定をもらったことを報告に行きました。

そこで彼から「プラントでもそれはプランテーシヨン、つまり植林のことだよ。」

と言われ、ガッカリしたのですが、幸いに子供の頃から、杉やヒノキの植林は家で手伝っていたので、違和感はないし、ま、いいかと思っていました。


ところが、先輩は

「以前、ジープでうちの社員が現地採用の職員とボルネオの植林現場に行く途中、腕時計をはめた片手をジープの窓から出して走っていたら、現地の土人がその腕時計欲しさに、蛮刀で腕ごと切り落としたということだ。

命は取りとめたらしいが、それに風土病も多いしな・・・・」

という親切な話をしてくれたので、結局ここも辞退しました。


外国に進出する予定のホテルも受験しました。

1次試験は受かったのですが、そこは余りの給料の安さに、面接試験はキャンセルしてしまいました。


夏までに、友人達の大半は内定をもらい、就職が決まっていく中で、私を推薦してくれたS教授も、めったに採用してくれない大手企業のいずれをも、辞退した私にあきれたようで、「夢みたいなことばかり考えないで、もっと現実を直視しろ!」と苦言を言われたものでした。


田舎育ちの世間知らずの私は大学4年間でも、世間という社会の厳しさについてなんにも学んでいなかったのだと思います。


次回   VOL 3.プロローグ

◆生い立ちから入社まで(その3)半官半民の航空会社を受験


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