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居眠り伯と万能の天才公爵  作者: 中里勇史
オルドナ戦線

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13/14

それぞれの帰還

 クーデル三世を保護したバンナーボブゾンは、選択を迫られた。いったん引くか、ミラロールに進撃するか。

 家臣のベンデンフォンゾンは、ミラロールに急行すればヌヴァロークノ軍本隊とバンナーボブゾン隊で皇帝軍とラフェルス・カーリルン軍を挟撃できると主張した。

 だが、バンナーボブゾンはトローフェイルへの撤退を命じた。ミラロール外に展開している敵軍を駆逐したところで、ミラロールを落とせなければ戦闘継続に意味はない。クーデル三世を確保した時点で、今回の作戦は成功なのだ。


 「しかし……」とバンナーボブゾンは思う。戦局は混迷を極めている。

 オルドナ伯領の大半はヌヴァロークノ王国が押さえている。帝国側に残っているのは皇帝軍らに奪還されたミラロールとケルヴァーロに落とされたゲンテザイルだけだ。

 ナインバッフ・グライス軍本隊は壊滅しており、ゲンテザイルを守備している数千の兵が残るのみ。皇帝軍らの兵力は不明だが、恐らく一万を少し超える程度だろう。対してヌヴァロークノ軍はバンナーボブゾン麾下の八〇〇〇強。

 皇帝軍らが勢力を拡大するにはトローフェイルを落とす必要があるが、それだけの兵力はない。しかしバンナーボブゾン隊もまた、ミラロールを落とせる力はない。ミラロールを落とさなければヌヴァロークノからやって来る移民船を受け入れることができない。

 手詰まりだ。

 この半月の激戦で、両軍ともに大きく損耗して新たな軍事行動を起こす余力を失った。

 陛下は一体どうするおつもりなのか。


 バンナーボブゾンはクーデル三世を見やった。王は背筋を伸ばし、無言で前を見据えて馬を進めている。


 少しおやつれになったか……。

 さもあろう。

 まずはトローフェイルでゆっくり休養を取っていただく。今後の作戦を考えるのはそれからでもよい。バンナーボブゾンはそこで思考に一区切り付けた。


 ウィンたちは急いでいた。ヌヴァロークノ軍の新手が北上してくる可能性がある。ミラロールに戻って戦闘を終結させ、ミラロールに入らなければならない。


 ミラロール外の戦闘は、ほぼ終わっていた。クーデル三世の脱出によってヌヴァロークノ軍の戦意は潰え、急速に抵抗力を失ったのだという。彼らは役目を果たして力尽きたのだ。

 三万を超える大軍だったヌヴァロークノ軍は八〇〇〇ほどに討ち減らされ、武器も気力も使い果たして座り込んでいた。

 切り通しの木材は、ベルウェン麾下の籠城兵一〇〇〇人が取りのぞいているところだった。ヌヴァロークノ軍の新手が攻め寄せてくる前に、この木材をどかしてミラロール外に居る兵を収容しなければならない。


「敵は攻めてきますかね」

 ラゲルスがウィンに馬を寄せて話しかけてきた。

「私ならトローフェイルに戻るね」

「そりゃまたなぜ?」

「再攻撃を仕掛けても、ミラロールは落とせない。ミラロールの外に居る皇帝軍を粉砕しても意味がない」

「なら何でそんなに急いでるんです?」

「敵が攻めてきたら困るじゃないか。敵が私の思惑通りに動くとは限らないよ。それに」

「それに?」

「疲れた」

「違いねぇ」

 ラゲルスはがははと笑った。


 これで両軍共に兵力不足に陥った。さて、次はどうしたものか。

 ウィンは天を見上げて「やれやれ」とつぶやいた。

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