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-1.〔ごきげんよう、千年以上生きた魔法使いの十代な悩み〕

記号等で区切るなどし主観を変えたりもします。

※作者は文章力が拙いので。予め、ご了承ください。m(_ _)m ヒラニ



この作品はフィクションです。

実在の人物や団体など、現実的体制や根拠仕様とは一切の関係がありません。


ご理解の上、ご覧ください。

 







 鬱蒼とした森の中に一軒の小さな家。


 赤い屋根でもなければ、二足歩行の動物が住んでいる――なんて事もない。


 ただ外観に対して内部は異常に広く、もとい果てしない。


 外界とは異なる空間、言わば別次元の広がりに在る超常の草原。


 端的に説明するのなら外界に存在する建物の扉を開けると見渡す限りは草に覆われた大地があり。一軒家も在る。


 世界に家が在り、家の中には世界が在り、家もまた存在する。


 そんな不可思議な場所に二つの人の姿。


 一人は賢者と呼ばれる、見た目は十代だが千年以上生きる魔法使い。


 もう一人は聖女。


 ――先日、とある経緯で元居た国を追放された挙句に暗殺されそうになったところを上記の賢者に偶然助けられて保護されたのだ。


 但し、保護されたその理由とは――。


「ふっふっふ、ついにッ我が熱望が現と成る日が来たのだーッ!」


 念願が成就する事でテンション爆上げの魔法使い。


 手に持っている長物の杖を掲げ、叫ぶ程に声を上げる。


 しかし傍らでは冷たい視線を向ける聖女、が言う。


「竜……? 見た目〇ッシーじゃん」


「ヨッ〇ー……?」


「バカ、わざわざ伏せてんのにヤメれ。この阿呆使い」


「誰がアホじゃ! ワシは偉大な賢者様じゃぞゥ!」


「若見えのボケん者の間違いでしょ」


「キー! 骨を拾ってやった恩を忘れおってからにィ……!」


「骨上げされてたら恩も仇も無いわ」


「ええい! 減らず口め! いいからさっさと要点を教えいッ、――その為に更生保護を買って出る約束をしたじゃろゥ!」


「私を非行聖女みたいに言わないでくれるっ、無実だって何度も言ってるでしょ!」


「無実ゥ? テロリストの言い分なんぞ、どこまで信じてよいものかのぅ」


「ムッカー! だったら最初っから救いの手なんて差し伸べないでよッ、このボケボケアホ爺ィ!」


「何をッ? そもそもワシはオマエが転生者故のノウハウを教えるからという条件で、その知識を買ったまでじゃい!」


「なによソレっ? じゃ私の体が目当てって事じゃないッ? このエロボケアホ爺ッ!」


「なんでそうなるんじゃッ? ワシはオマエの様なちんちくりんな小娘になんぞ1ミリも興味無いわッ! ワシが欲しいのはその情報じゃとさっきから言ってるじゃろうが!」


「だからその情報が詰まってるのが私の身体でしょ! この変態エロボケアホ爺ィ!」


「キーッ! このわからず屋め!」


「わきまえて無いのは、そっちもでしょ!」


 とまあ。


 数日前に出会ったこの二人、とかくソリが合わず。


 更に異空間で響き渡る口喧嘩の終いは、ここから小一時間も――続く。


  ※


 昔々あるところに魔法使いがいました。


 その魔法使いはとても才能に満ち、人々から賢者と呼ばれる程の存在でした。


 この世全ての元素を自在に操り、文化や国を築く助けを多く行い、自らの功績を残し続けたのです。――が、ある時。


 偉大な魔法使いは出会ってしまったのです。


 他の何にも変えられない、己の夢と。


 そうしてパッタリと歴史上から姿を消した唯一無二の賢者は、千年の後。


 自らが没頭し続けた夢の果て、その成果を世に広める事を目的にして再び人々の住まう現世への扉を――開けたのでした。


  ※


 両者が放つ罵詈雑言。


 終にはネタではなく息が切れて双方肩で激しく同意する。


「……もう止めましょぅ」


「ワシは端から、そのつもり、じゃ……」


 ああ言えばこう言う。


 そんな二人でも、さすがに話が平行線のままでは何も解決しない事を分かってはいる。


 が。やはり亀の甲より年の功――とは成らぬ事を若者は理解しているのだ。


 そういう意味では若き聖女の判断は正しく、それに合わせて言葉を控える選択が出来たのは老いたる馬とも言える。


「――で、何が知りたいのよ……?」


 事の始まりは自分の部屋で熟睡していたところを早朝から遠慮のない土足で起こされた上に勝手都合で始めた自慢話――に堪え兼ねたから。


 但し今となってはそれも再開が出来ぬ程に覚醒し、どう転んだところで最早何の得にもならない。故のシフト。


 とかく若者は切り替えが早いのだ。


「じゃから、先日の話を踏まえた結果の出来栄え、もう一度確認せいと」


「それはもうした、そして言った。で、何?」


「……では先ほど申したネッシーとは何じゃ?」


 それでは完全に未確認動物の代表例じゃないか。と、言いたい気持ちを抑えて。


 聖女は、この口論の終わりへとひた走る――。


「――そもそも論、ドラゴンがどんなモノか、ちゃんと知ってるの?」


「当然じゃ。ワシが長い年月を費やし得た情報によればじゃな」


「ああもう、そういうのはもういいから。ぶっちゃけ見たことあんの? ドラゴン」


「ない」


「はぁ? なにそれ。見たこともないのに、何でドラゴンに成ろうとする訳?」


「そりゃあオマエさん、――ロマンじゃろ」


「ロ、ロマン……?」


「夢や憧れ、その集大成こそロマン。分かるじゃろ?」


「全く分からない」


「何でじゃッ?」


 というか、見たコトもないモノにそこまで執着できる事が理解不能。と。


「――とにかく、ドラゴンの姿に近付ければいいのね?」


「うむ、その通りじゃ」


「そしたら私のこと、もう起こさない?」


「絶対に揺すらぬ。好きなだけ眠るがよい」


「……分かった。じゃあ先ずはさっきの姿になって」


「よし、アッシーくんじゃったか? になればいいんじゃな」


 聖女は思った。


 ――私は送迎なんぞ、頼む気はないぞ。と。


  …


 初見その姿は――ダチョウだった。


 あの日、草むらから出てきた一匹の駝鳥と目が合ったのは、暗殺者の手が迫り矢先の出来事だったのを昨日のことのように、聖女は覚えている。


 実際、数日前の事だ。


 そして世界最大の鳥から大きく羽ばたく、進化の定義とメカニズムを無視した改良の末に新たな成り変わり。


 僅かながらに見聞きした知識とうろ覚えで助言し形作るファンタジー好きでなくとも万人の知る強大な爬虫類、伝承や神話における伝説上の生物、それが異空間に在る草原で堂々と完成――。


「――ま、こんなところじゃない?」


「ォォ……」


 凡そあらゆる生物の中でも最も恐れられる存在。


 蛇に似た肌感覚ではあるものの全体的にはトカゲかワニ、鱗や長い尻尾に特長もあって鋭利な爪と牙を持つ。


 その背中にはコウモリのような翼もあり、巨体でありながら飛行すら可能――。


「なんというコトじゃ……」


 ――まさしく、最強の名をほしいままに。


 ドラゴンと呼んで違わぬ姿を成就した偉大なる魔法使いは、広くなった口角を上げて呻り千年の感動に打ちのめされる。


 が、一つ気になる部分も。


「……――ところで、なに故尻尾の先は丸いのじゃ?」


「丸いんじゃなくてハートよハート。可愛くてイイじゃない」


「ワシはカッコヨク在りたいんじゃが……」


「なら適切ね。甘さを引き立てるのには塩、カッコイイにはカワイイよ」


「なるほどのゥ。相分かった――」


「ちょっと、何処に行くのよ?」


「――無論お披露目じゃよ。折角念願が叶ったのじゃ、悠然と外の世界を飛び回ってみたいじゃろ」


「ふーん、あっそ。でも他人に迷惑かけたら駄目だからね」


「それくらいの事は分かっておるわッ。――では行ってくるぞィ」


 次いで羽ばたく風と共に吹き上がる一匹の竜。


 その巨影を見上げて眺める聖女の視界で、外界へと繋がる一般規格の小さな枠内に吸い込まれて消える伝説上の生物。――を見送り。


 一度は覚醒していたものの、異空間の穏やかな気候と静けさでウトウトと、自室に引き返す浅い足取り。


 途中睡魔にも襲われる小さな旅路、その道中に寝ぼけ眼を擦りながら価値観の違いに対する見解――。


「――見た目だけ寄せても、肝心なのは中身じゃない……」


 ま、自分には関係のない事だけど。


 と。


 聖女は微睡み始める意識を保ち後ろ手で、扉を閉める。


  …


 ――数時間後。


 既に二度寝を終えて自室で読書をしていた聖女は、舞い戻ってきた竜の姿を窓越しに見て一階へと下り、草原で出迎えた。


 丁度家の扉を開けたところでドラゴンは元の青年に姿を戻し、聖女の姿を見るとニカッと古臭い笑みを見せてから、述べる。


「最ッ高じゃったわいッ、これほど心が躍ったのは久方振り――千年振り位じゃィ!」


「……よかったわね。で何をしてきたの?」


「ほっほ、ちょいと都市部や王城の周辺を飛行し皆を驚かせてやったわい」


「――お前は馬鹿か」


「ほ?」







 

投稿を安定させる為、マイペースに公開をしております。

※執筆が遅いです。平常時、月2程度のペースです。

――現状は【あらすじ】をご確認ください。

――但し、人気や“意欲”のある時には一段と頑張って執筆します。(/・ω・)/

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