第11話 村の建て直し
馬車から荷物を下ろして、要らない物は兵士にあげている。
まずは木を切り倒し、建築魔法で簡単に建てる事が出来た。
あっという間に新しい小屋が出来上がって、それを見ていた兵士は口をポカンと開けていた。
「凄い...本来なら数ヶ月かかるが、これなら数時間で終わらせられそうだ」
ラファル達に近づいたのは、階級章が四つある男性に話しかけられた。
話によると魔法技術を提供してほしいとの事だ。しかし...。
「お断りします」
「何故ですか?そんな素晴らしい魔力をお持ちですし、我々の軍にいれば、技術は格段に上がります」
「それでもです。我々エルフは、人間に恨みを持っています。耳が尖っているだけで討伐され、魔力が人間より高ければ奴隷にされる。もう...裏切られたり、殺されるのは見たくありませんので」
「.....そうですか、では私はこれで。あっ、そうだ」
手渡してきたのは一枚の手配書で、男は部隊の方に戻って行った。
書かれていたのはシュラーク・ブリッツの名前と詳細などが細かく書かれていた。それを冷めた目で見つめて、炎で燃やして塵にする。
彼女に見せたら絶望するかもしれないと分かるから。
その夜、食事の時間になり、みんなで囲んでいた。今日の食事は少し豪華だ。なぜなら兵士の人達に少しだけ分けていたから。
スプーンを口に運ぶ。肉の脂身が舌をなぞる、美味い...。
今夜はいい夢が見られそうだ。エルフ達は他愛のない話をしていて、その中に金と言う単語が聞こえ、すぐに立ち上がって皆の輪に入った。
「なぁ!今金って言ったやつどこだ!」
「ここだよ」
手を上げたのは女性のエルフだ。隣に行くと、羊皮紙に何か図面が描かれていた。
名前はリタファールと言った。彼女は設計士であり、数々の機械を作り上げてきた人物とのこと。....ん?待てよ?私と彼女との設計が合わさればより良い物が作れるのでは?
「なぁ、一緒にやらないか?私と一緒にさ」
「ええ...?なんで」
「ほらここの図面、ちょっとペン貸して」
彼女に羽ペンを手渡すと、スラスラと書き始めた。ベルトコンベアを追加し、その隣に燃料タンクを縦に大きく書く。出来上がったのはなんと硬貨製造機だったのだ。
二人はお互いの顔を見つめた。
「工場みたいなの出来ちゃった...」
「だな、どうする?組み立てるか?」
「いや、待った方がいい。あの山がどうなってるか。私が行ってくる」
夜になって、二人のエルフに連れられて入り口まで来た。地面に生えているのはさまざまな属性がある鉱石が多く存在していた。小さいツルハシを手に取って、結晶に向かって振り下ろすと、大きな鉱物が取れた。
すると、割れた箇所からみるみる再生を始め、元の形に戻った。
シュラークは驚いた後、色んな鉱石を背負い籠の中に放り込んだ。
奥に進むと鉄鉱石があり、それらを取り尽くし、再生を確認したら帰って行った。
彼女がいる作業部屋の暖簾をくぐって、床に置いた。
「ただいま〜、いや〜!まさか再生するなんて思ってもいなかったよ!おかげで二個カゴ使っちゃった」
「...え?あんた今なんて?」
「え?だから再生したって、その鉱石が」
「はあぁあぁあああっっっ!!!??冗談でしょ!??」
「声デカいね。いや、私も見た時はびっくりして腰が抜けそうになったんだ。だけどね、これがあれば借金も返せて億万長者も夢じゃない!」
「......と、とりあえず、壁、組み立てようか。まず場所は...」
一週間後、エルフ達が住む小屋も完成し、市場まで完成している。もう村というより集落のようだった。一方でシュラーク達はというと、左側の開けたスペースには工場らしき建物が建てられていた。壁は鉄で囲われていて、屋根は薄い木の板で作られていた。
肝心の内部はというと...。何かの装置があって、まだ動いていない状態だった。そこに銅鉱石を放り込むと稼働し始めた。炉の中に入れられて液状に溶かされる。溶けた後、鉄製のベルトコンベアで流れて行く、プレス機で薄く伸ばされ、その上から丸い形に打ち込む。
10枚になったところで冷却されている水の中に降りて行き、蒸気が大量に噴き出した。30分ほど浸けて、引き上げる。別の所に移動していき、囲いの下で止まり、横なり上下に揺らすと自重で落下した。元の位置に戻って行き、これをずっと繰り返すのだ。
銅硬貨が出来たことで、シュラークは喜んだがリタファールは平然としていた。
一旦止めて、作業場に戻って行った。
「リタファール!何が足りないんだよ!」
「工程数だよ。あれじゃ効率が悪い」
「...確かに」
「アンタも手伝って」
「あっ、ああ!」
◇◇
その頃、マツィー大陸の王都に位置しているヴァル家公爵。
その人物は執事が伝えられた言葉によって、言葉を失った。
「.....本当か。それは」
「ええ...パライオンストリート領地が跡形もなく更地となっていました」
「....犯人は誰か分かっているのか」
「はい。市民の話では、翼の大きな爬虫類と言っております。殿下、まさかと思われますが」
「ああ、そのまさかだ。絶滅したとされるドラゴンが生きているなんてな。それより、死者は出なかったか?」
「はい。それにしても、何が目的でこんな事を...」
「とにかく、全ての騎士を集めろ」
外套を手に取って、外に出た。自分専用の馬に乗り、近衛騎士団と共にパライオンストリートに向かった。




